Top / fc104

不動産売却時の買取保証の罠!

更新日2020-06-04 (木) 16:53:10 公開日2019年11月17日

不動産売却時の買取保証の罠とは!?

罠

「仲介と買取」 不動産の売却方法にはこの2つがあります。
また、この双方の良いところを採用するという名目で、しかも売主の安心も保全するという事も考え、不動産会社が「期限までに仲介で購入者を見つけられなかった場合、仲介会社自身で買取ります」という約束付きで売却活動をおこなうことなどの買取保証サービスをおこなっている不動産会社が増えてきました。

買取保証は非常に良いサービスです。
ただメリット、デメリットについても知っておかないと、後悔することになります。
今回は、「不動産の売却時には、買取保証の罠にハマらないように注意しましょう」というお話をします。

ここでのお話は、買取保証のシステム自体がだめと言っているのではありません。
また、買取保証をやっているすべての会社にあてはまるということでもありません。
ただ、買取保証をやっている会社の中に、該当しているところがあるかもしれないというお話です。
「買取」は、有利にならない場合もありますので、特に不動産を売ろうと考えていらっしゃる方に参考にしていただけたらと思います。

★目 次★

★目 次★【不動産売却で買取保証を利用するメリット・デメリットを解説】


買取保証とは?

不動産売却時の買取保証メリットデメリット図①

買取り保証とは
売主さんと不動産会社が媒介契約をして、売却を依頼された不動産会社は、売主さんが希望する価格で、営業活動をおこない、買主さんを探します。
一般の市場にだして、営業活動を行いますが、万が一、一定期間(3か月が多い)経過後に物件が売れなかった場合は、媒介契約をおこなった不動産会社が、一定の価格(物件査定額の〇%)で、売主さんから物件を買い取ることを約束することを言います。
不動産会社によって細かなルールが違う場合がありますが、一般的には、最初に売りにだして、売れなかった場合は買取りをするというかたちになります。

買取保証のメリット

(最終価格の確保)
仲介で、一定期間売りにだしたあと、希望価格で売れなかった場合でも、不動産会社が買い取ってくれるため、“いついつまでに売れなかったらいくら”という価格が、概ね計算しやすく、延々と半年も一年も売れないということにはならないというのがメリットと言われています。
(売却)
一定期間内に確実に売却できる
(ワンストップ)
1つの不動産会社に依頼すれば、媒介契約から最終的に買い取るところまで、ずっと1社あるいは一人の営業マンを窓口にすればいいので、とても良いと考えられる方も多いかと思います。
(仲介手数料)
買取りの場合、仲介手数料がかかりません。

「仲介」と「買取」の不動産会社の利益

■仲介 一般の市場に売りにだして買主が現れ契約が決まる
■買取 最終的に不動産会社が買い取り、リフォームしたあと再販する

「仲介」と「買取」2つの売却方法それぞれの利益(不動産会社)についてお話します。

利益

「仲介」の利益
たとえば、売物件の査定価格が2.100万円くらいで、販売価格(成約価格)が2千万円だった場合、仲介手数料は、販売価格の3%+6万円(消費税除く)というかたちになりますので、66万円が不動産会社の利益になります。

不動産売却時の買取保証メリットデメリット図③

「買取」の場合
買取価格は、販売価格より安くなることが多いです。
だいたい相場の70%~最大90%くらいです。
例では1.800万円で買い取ったとします。
100万円かけてリフォームして、きれいになり、2.200万円で売れました。
となった場合、かかったお金が1.900万円、売れたのが2.200万円ですので300万円の利益がでるということになります。

不動産売却時の買取保証メリットデメリット図④

不動産会社は、どちらの売却方法が儲かるかというと、いろいろなしくみや、さまざまな経費もありますし、再販した時に、思うように売れない場合もありますので、一概にどうとは言い切れないところはありますが、語弊を恐れずに言えば、普通に仲介するより、買取再販の方が、2倍や3倍というような比率ではなく、圧倒的に利益が大きいということになります。

不動産会社に悪意があった場合・・

さて、今の話を頭に入れていただいた上で、「もし、不動産会社に悪意があり、自社の利益を最大にしようと思っていたら?」ということを考えなければいけません。

悪意の不動産屋

媒介契約後、一定期間の営業活動を不動産会社ががんばった結果、売れた場合、利益は66万円です。
おかしな話ではありますが、もし、営業活動をがんばらず、適当に流し、売れなかったということで最終的に不動産会社が買い取りをした場合の利益は、300万円です。
不動産会社はどちらを中心に考えるでしょうか。

このような話をしますと、買取保証をやっている不動産会社さんは多分怒られます。
「うちはそんなことはしない、一定期間の3か月も、ちゃんと一生懸命営業活動をしています」とおっしゃるはずです。

実際に、ちゃんと営業活動をおこなっている不動産会社もあると思います。
しかし、中には、営業活動の手を抜いて、買取再販にもっていこうとする会社もあるかもしれません。
その点を念頭においておくべきだと思います。

営業活動をちゃんとしない不動産会社が本当にあるのか?

売主さんは、不動産会社が、「営業活動をちゃんとしているか」そのすべてを確認したいと思いますが、残念ながら、すべてを把握するのは難しいと思います。

かりに、仲介で市場に売りにだしている期間に不動産会社が「営業活動を一所懸命やっています」と言ったとしても、実は、その後ろで営業活動の手抜きをしている、あるいは妨害しているということもあります。
どうしても、取引の打ち合わせや、内見のやり取り等は、見えないところで動いていることが多いため売主さんがすべてを把握するのは不可能に等しい状況です。

「一所懸命営業活動をしない不動産会社が本当にいるのか?」というような疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますので、具体例を少しお話します。

たとえば、買主さん側の不動産会社が、売主さん側の不動産会社に対して、「購入したいという人がいらっしゃるので、内見(建物の中を見せる)したい」と申しでた場合、いろいろと理由をつけて断られることが時々あります。

断る理由①両手取引(両手狙い)
両手狙いのため、他社の不動産会社を入れたくないという考えです。
両手取引とは、ひとつの物件の売買が行われる時に、不動産会社が売主さんと買主さんの両方の仲介をおこなうことを言います。
売主さん、買主さんの双方から仲介手数料を得ます。

不動産売却時の買取保証メリットデメリット図⑥

断る理由②買取再販
その断る理由こそが、もしかすると買取再販にもっていくためかもしれません。

繰返しになりますが、買取保証をやっている会社が、営業活動を適当にやっているとか、買主さん側の仲介業者から連絡があっても、すべて断っているかということではありません。
しかし、その可能性はありますし、そうなるための理由も、ものすごく大きくあると言うのは確かです。

買取保証の罠にハマらないための対策は?

対策はいろいろ考えられますが、1つの例をお話します。

不動産会社との媒介契約には次の3種類があります。
3つの媒介契約の中で、買取保証ができるのは「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」になります。

不動産売却時の買取保証メリットデメリット図⑦

①「一般媒介」で契約する。
「一般媒介契約」にすることで、複数の会社への媒介依頼が可能になります。
その場合、買取保証はできません。
「一般媒介契約であれば、とてもじゃないけど保証なんてできませんよ」と言うのが買取保証をしている不動産会社は多いと思います
そこは、1つの会社で全部まとめようと思った場合当然です。
②3か月営業活動をして売れなかった場合、一般媒介契約はなしにする。
③個別に複数の買取りをする不動産会社に交渉する

このような段階を経て、おのおのが、お互い競争するような仕組みを組んでいくやり方が確実だと思います。

ただ、このやり方の場合、デメリットもあります。
まず、とうぜんワンストップではできません。
「一般媒介契約」の場合、複数の会社といろんなやり取りをおこなう必要があり、もし売れなかった場合は、また複数の買取りをしている不動産会社に交渉しなければいけません。
正直、間違いなく面倒になります。

しかし、その一方で、何百万円単位のお金の差がでてしまう可能性があります。
今回の例で行きますと、200万円以上の差がでました。
もっと差額がでることもありますし100万円単位のものを、面倒だからと見送るのはどうなのかなと思います。

すべての買取保証会社がこのようなかたちで、ひたすら買取を優先し、営業活動の手抜きをすると言う話ではもちろんないのですが、一部でもそのような不動産会社があるのは確かです。

危険性があるのであれば、それに対する対策は、何かしら考えなければいけないと思います。
営業の内容がすべて見えないというような状況を考えた場合、売主さん側は保全対策を考えざるを得ないと思います。

買取保証はメリットもありますが、売主さんの手元に残る現金が大きく減る可能性もあります。
最初に、売却する物件の相場をしっかり把握し、買取保証を利用するかしないかの判断をすることが重要です。

あなたの役に立ったらシェア!