不動産売却・権利証紛失・どうしたらいい?!

更新日2020-07-11 (土) 23:58:53 公開日2018年12月23日

①権利証が見つからない! (1)

不動産を売却する時の必要書類として、もっとも大事な書類が「権利証」です。
その「権利証がない!」というのは、大変なことですよね💦

見つからなかったら不動産の売却はできないのだろうか・・
そもそも権利証ってどんなものなのか・・
再発行はできないのだろうか・・
次々と不安になると思います。

でも、あせらなくても大丈夫です!
対処方法はあります!

ここでは、権利証を紛失した場合の対処方法についてご案内しますが、その前に、権利証が見あたらず、現在、探していらっしゃる方のために、
“権利証とはどんなものなのか”ということについて先にお話します。

🌸権利証ってどんなもの?

✿権利証とは
不動産の登記が完了した時に、登記名義人(所有者)に交付される書面です。
登記の申請人が登記名義人本人であることを確認するための本人確認手段のひとつでもあります。

2005年(平成17年)3月の不動産登記法改正により、現在では、改正前と改正後の2種類の権利証が存在します。

改正前:「登記済権利証書(登記済証)」
改正後:「登記識別情報」

この2種類の権利証についてそれぞれご説明します。

🌸改正前の権利証:「登記済権利証書(登記済証)

②権利証が見つからない! (2)

「登記済権利証書」と書かれた表紙がついています。
表紙には、登記した司法書士事務所の名称が書いてあります。
すべてが、まったく同じではありませんが、だいたいこのような表紙です。

中をあけると、書類の末尾の和紙に、朱色の「登記済」のスタンプが押してあり、登記した年月日、受付番号、法務局の押印があります。

③登記済証押印

不動産登記法が施工された明治32年から、改正された平成17年までの期間は、この「登記済権利証書(登記済証)が使われています。
この期間に、不動産を所有された方は、この権利証が残っているはずです。

▶注意点

この「登記済権利証書(登記済証)」自体が権利証です。
そのものを紛失しないよう大切に保管することが重要です。

🌸改正後の権利証:「登記識別情報

「登記識別情報」と書かれた表紙がついています。
先ほどとおなじように表紙には登記した司法書士事務所の名称が書いてあります。

中をあけると、「登記識別情報通知」と書かれたA4サイズの紙が入っており、その紙の下のほうに目隠しシールが貼ってあります。

改正前は、権利証自体に効力がありましたが、今は、この紙自体ではなく、目隠しシールの下に書いてあるものが効力をもっています。

④登記識別情報通知

目隠しシールを剥がすと、12桁の英数字がランダムに書かれています。
その英数字が「登記識別情報(パスワード)」です。

この権利証(紙)はどこにあっても良いのですが、登記識別情報(12桁の英数字)が非常に重要になってきます。

もし、この英数字を誰かに見られた(手書きでメモする・コピーをとる・写真をとる)場合、かりに権利証(紙)が家にあったとしても、権利証を盗まれたこと同じことになるのです。

「登記識別情報」は、目隠しシールが貼られた状態で不動産所有者に送られてきます。
シールが貼ってあると、「何だろう?」と思い、剥がしたくなると思いますが、この目隠しシールは、一度剥がしてしまえば二度と貼れなくなります。
目隠しシールが貼ってある状態であれば、誰にも見られてないという証になります。

▶注意点

登記識別情報(パスワード)は
・不動産を売却する時
・不動産を担保設定する時
このようなことがない限りは、必要ありません。
必要な時以外は、絶対剥がさず、大切に保管されることをおすすめします。

🌸権利証(改正前・改正後)を紛失した時の対処方法

本題の権利証を紛失した時の対処方法ですが、まず、お伝えしたいのは、法務局からの権利証再発行は、たとえどんな理由があっても不可能です。

でも大丈夫です。
ここからは、2つの対処方法についてご案内します。

▶対象方法①「本人確認情報の提供制度」

✿本人確認情報とは
権利証にかわる書類で、その不動産の所有者であることを証明するものです。
本人確認情報という書類が権利証の代わりになります。

◩作成者
司法書士が作成します。
司法書士が、不動産の所有者と直接面談します。
ヒアリング、身分証明書などから登記簿上の所有者で間違いないことを確認し、司法書士の責任によってそれを証明します。

◩作成費用
司法書士は、権限と責任によって証明することになりますので、作成費用は高額になります。
司法書士によっても異なりますが、3万円から場合によっては10万円程かかる可能性もあります。

◩登記申請
本人確認情報が発行されたら、確実に登記申請を行うことができます。
そのため、権利証を紛失した場合の不動産の取り引きでは、一般的にこの方法が使われています。

▶対処方法②「事前通知制度」

✿事前通知制度とは
不動産登記を申請するにあたり、権利証を提出できない場合に、登記の申請後、登記官が登記義務者宛に郵便を発送し、登記義務者が所定の期間内に登記所に間違いないことの申出をすることによって本人に間違いないことを確認する制度です。

◩事前通知制度の流れ

権利証以外の登記に必要なすべての書類を揃えて公証役場に行く

登記申請書(決済の時に使う書類)に、権利証を提供できない理由(紛失)などを記入し、署名・押印後、登記申請を行う

数日後、法務局より本人限定受取郵便で通知が届く
(「あなた所有の不動産を売却することで相違ありませんか?」という確認内容)

相違なければ、通知書に署名押印して法務局へ返送
(返送期限:法務局が通知を発送した日から2週間)

法務局で、間違いなく本人が自らの意思で登記申請を行っていると確認

◩費用
費用は安く、おそらく数千円単位ですむと思います。

◩登記申請
不動産の所有者が、すべての書類を揃えた上で、事前に出向き、期日内に返送できた場合は、登記の実行がおこなわれますが、そうでない場合は、登記申請は却下されます。

そのようなリスクがあることから、事前通知制度を利用するケースはほとんどありません。

確実なのは「本人確認情報の提供制度」です。
しかし、この方法の費用が安いのは魅力です。
書類の準備や返送などを期日内にきちんとされる方であれば、利用されても良いかもしれません。

🌸権利証の確認は早めに行うことが大切

不動産売却の流れがすすみ、決済(不動産の引渡し)の直前になって「権利証がない」ということになると、不動産業者もそうですが、司法書士も急いでたくさんの書類を準備しなければいけないので、みんな困ってしまいます。

売買契約を結ぶときに、不動産業者から「権利証を持ってきてください」と多分言われると思います。
あらかじめ「売買契約締結」のときに、有効な権利証があるかどうかをきちんと確認することが重要です。

もし、その時点で権利証が紛失している可能性があれば、その時点で不動産業者に相談してください。
その時点であれば、大きな問題もなく解決できます
事前に早めの対応をすることが大切です。

また、今回は、「不動産を売却したいけど権利証がない!」というテーマでお話しましたが、「不動産売却の予定はない」という場合でも、権利証の有無は確認されてください。

万が一、権利証を紛失しているのであれば、悪用される可能性もあります。
たとえば、
・知らないうちに他人に勝手に売却されていた
・知らないうちに担保にしてお金を借りられていた
そんなことになり兼ねません。

相続した不動産であれば、相続登記をする時に、新しい登記識別情報が発行されますので過去の権利証は紛失しても問題ありません。

⑤相続

しかし、そうではない場合、今回ご案内した対処方法はあるにしても、余分な手続きや大きな費用がかかってしまいます。

不動産売却の予定有無に限らず、権利証の確認と保管は大変重要となりますので、注意されることを強くおすすめします。



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