不動産売却時の不動産売買契約の流れ&決済の流れ

更新日2020-07-11 (土) 23:06:46 公開日2018年10月20日

握手500

不動産の売却は、大抵の方は一生に一度か二度、あるかないかだと思います。
そのため不動産売買契約書に署名押印をする時、緊張しますよね。
ここでは、まず不動産売買契約の当日の流れとして、その時、実際にどうゆう風景で事が進んで行くのかと言うお話をしたいと思います。
次に、不動産売買契約の決済についての進め方についても解説します。


★目 次★


不動産売買契約当日の流れ

不動産の売買契約をおこなう場所

不動産売買契約は、一般的には、売主さん側の不動産会社(事務所)でおこないます。
売主さん、買主さん、それぞれご夫婦でいらっしゃる場合は、並んで座るケースもあります。
だいたい多くのパターンでは、この売買契約の時に、売主さんと買主さんがはじめて出会います。
ここで、初対面の緊張した挨拶(お互いの紹介)があります

不動産の売買契約時の様子

重要事項説明

まず、最初に重要事項説明書という書類をもとに説明をおこないます。
なぜなら、売買契約を締結するまでの間に、買主さん(予定者)に対し、物件に関する重要事項の説明をしなければならないということ、また説明すべき事項が、宅地建物取引業法で定められているためです。
(宅建業法35条)


不動産売却時時の重要事項説明書

重要事項を説明するのは、宅地建物取引士(宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者)です。
必ず取引士証(カード)を提示して、口頭にて説明をおこないます。

重要事項説明書に記載されている内容は大きく次の3つに分けられます。
①物件関係事項(登記簿上の権利関係、法令上の制限など)
②取引条件関係事項(代金・賃貸など以外に授受される金銭について、契約の解除についてなど)
③ローン関係事項

その中で、細かい例をあげると、床面積、土地面積、などの物件に対する説明が書いてあります。
これらの重要事項を書面にした「重要事項説明書」を買主さんに交付します。
また、この時「付帯設備表」や「物件状況報告書」というものがついてきます。
これは、買主さんへ、その物件の情報提供として、売主さんしか知らない内容を記載するための書式です。

■付帯設備表

「この家には、エアコンがついています。網戸がついています。」というような細かい設備がずらっと並んでいて、それぞれの設備の状態として故障・不具合の有無が記載されています。

不動産売却時の付帯設備表

■物件状況報告書

「この家で過去雨漏りがありました。洪水がきて浸水したことがあります。」というような、対象住戸の状況が記載されています。

不動産売却時の物件状況報告書

買主さんは、重要事項の説明を受けて、不明点があれば納得できるまで確認します。
また、この時点で不安な点があれば、「やっぱり契約はしない」と断ることも十分できます。

■重要事項説明の注意点

重要事項説明は、一般的には、売買契約と同じ日におこないますが、できれば事前にすませていた方が無難です。
なぜなら、売買契約当日に、重要事項の説明を受けて、疑問をもったまま先に進んでしまった場合、のちのちトラブルになる可能性があるためです。

たとえば、売主さん、買主さんに、事前に重要事項説明書をメールで送り、確認していただくという方法も良いと思います。
この時、通常は、重要事項説明書を売主さん側の業者が作り、それを買主さん側の業者もチェックします。双方で間違いないことを確認したあと、売主さんと買主さんに確認していただくという流れが一般的です。

重要事項説明が無事に終わったら、契約書の読み合わせをおこないます。

売買契約書の読み合わせ

契約書に記載されている代表的なものには次の内容があります。

・売買価格(いくらで売ります・買います)

・決済日(何月何日に残代金をすべて払い、買主さんがその物件の所有を得る)

・特約

建物について、瑕疵担保の特約をつける場合があります。
瑕疵担保とは、たとえば、建物が古いために、万が一不具合があるかもしれないが、あったとしても、売主側は責任を負いませんというような内容です。
また、ローンを使う場合に、買主側のローンが通らなかったときは、ペナルティなしで白紙にしますというような特約をもりこむこともあります。

印紙・押印(手付金・仲介手数料の支払い)

契約書の読み合わせをおこない、売主さん、買主さんの双方が納得した場合、契約書に印紙を貼り押印し、手付金や仲介手数料の支払いへと進みます。

■押印
お互いに印鑑を押します。
契約時の印鑑は、実印ではなく認印でも可能です。
ただ、不動産は金額も大きいため、「確かに売買の意思があります」という意味で実印を押す場合が多いということはあります。

【例】

不動産売買契約時の金種

■手付金
契約書を作りおえたら、買主さんは、売主さんに手付金の支払いをします。
手付金というのは、「確かに契約をしました」という証拠になるお金です。

しかし、手付金には別の意味もあります。
ひとつめは、買主さんが、「手付金は払ったけれども、やっぱりこの契約を破棄したい」となった場合、この手付金を放棄すれば、契約を白紙撤回できるということがあります。

もうひとつは、売主さんが、「売ると言ったけど、やっぱり売りたくない」または「もっと高い金額で買ってくれる人がでてきた」という場合は、手付金の倍返しといって、手付金を返して更に手付金とおなじ金額を払うことで契約を解除できるということもあります。

手付金は物件価格の5%から10%ですが、一般的には5%になります。
今回の例の場合、物件価格が3000万円ですので、手付金は150万円(5%)です。

■手付金の支払方法
手付金の支払いは、現金または小切手になります。
銀行振込みは、ほとんどありません。
なぜなら、売買契約より前に払いこんでしまった場合、もしこの契約がなしになれば困ることになるためです
基本的には、現金か小切手で、売買契約当日、その場で渡すことになります

■仲介手数料の支払い
同日、不動産会社(仲介業者)に、仲介手数料を払います。
不動産会社が仲介手数料を受け取るタイミングはいくつかあり、不動産会社によっても異なります。

①売買契約当日に仲介手数料の全額を受け取る。
②売買契約当日には受け取らず、最終的に残代金の決済が終わった時にまとめて受け取る。
③売買契約当日に仲介手数料の半分を受け取り残代金の決済が終わった時に残り半分を受け取る。
一般的に多いのは、③のパターンです。

仲介手数料の計算方法は「仲介手数料=物件価格(売買価格)×3%+6万円(定額:調整用)+消費税」です。
例にあてはめると、①と②の場合は、「3.000万円×3%+6万円=96万円(消費税別)」となり、③の場合は、売買契約時に半分の48万円(消費税別)、残代金の決済が終わった時に残りの48万円(消費税別)を受け取ることになります。

仲介手数料を払う場合、売主さんは、買主さんから手付金を受け取りますので、手付金から売主さん側の不動産会社(仲介業者)に支払います。
一方、買主さんは、手付金とは別に仲介手数料も準備して買い手側の不動産会社(仲介業者)に払うことになります。
■印紙

不動産売買契約書にかかる印紙税額

国税庁:不動産契約書の印紙税の軽減措置
印紙代は、1千万円を超え5千万円以下のものは1万円と定められています。

これで、売買契約当日のひと通りの手続きは終了です。

■【余談】売買契約が終わったあと
買主さん:銀行ローンを使う場合は、ローンの審査に入っていきます。
売主さん:その物件の掃除や、まだ住んでいらっしゃる場合は引っ越しをして引渡しをするための準備をします。のちのちのトラブルにならないように特に水回りはきれいに掃除が必要です。

如何でしたでしょうか?
不動産売却の契約は知っていれば何も難しいものではありません。
一番大切なことは、自分が有利かどうかを確認するだけです。
では以下では不動産売却時の売買決済の流れについて解説します。

不動産売却時の売買決済の流れ

■決済日
決済(残代金の支払い)方法と、そのお金はどうやって動いていくのかについてお話します。
不動産を買う時の決済方法は、ローンとキャッシュの2つに分かれます。

不動産売却契約決済時の金種

■ローンを組んで払う方法
ローンの場合、支払方法は「振込み」しかありません。
買主さんが金融機関からローンを借ります。
銀行に行って、銀行の部屋を借りて手続きをします。
ローンの承認がおりたら、銀行から売主さんの口座に振り込まれます。
お金は買主さんの前を通り過ぎて見ることなく終わるというのがローンを組んだ場合の流れです。

■手持ちのキャッシュで払う方法
キャッシュでの支払方法は、「振込み」「小切手」「現金」のいずれかになります。

振込みの場合
ほとんどの場合、振込みで支払われます。
お金を預けてある銀行に行って振込みの手続きをおこないます。

小切手の場合
小切手での支払いは1割から2割くらいです。
預金小切手(支払いが確実にされている小切手)を使います。
預金小切手とは銀行が預金をとりくずして持っていて、必ず売主さんに支払われる小切手です。
小切手を受け取ったのはいいけど換金できないとなると困ったことになるため必ず預金小切手を使います。

現金の場合
現金で支払われることはめったにありません。
なぜなら、支払った際に、売主さんがひたすら大金の札束を数えなければいけなくなるからです。

■着金確認
現金、振込み、小切手それぞれに着金確認があります。

現金の場合
大変ですが、単純に売主さんがお金を数えたら終わりです。

小切手の場合
受領してしまえば、現金といっしょですから確認はできます。

振込みの場合
問題は振込みの場合です。
本当に自分の口座(売主さん)に入っているのかが心配です。
もし、その売物件に抵当権がついていて、抵当権を物件を売ったお金で抹消するという場合であれば、銀行も絡んできますので、銀行として、ちゃんと着金があったのかということを確認します。
この場合、銀行は自分のところで確認できますが、一般の売主さんの場合、そうはいきません。

着金確認の方法として、もっとも多いのは、あらかじめ自分が口座を持っている銀行(着金予定の銀行)に「いついつこの口座に着金があるから着金したらすぐに教えてください」と連絡しておくことです。
着金があれば銀行から電話があります。

ただ、給料日や月末、そして額が大きい場合は、銀行の中でのチェックも増えますので、着金確認に時間がかかる場合もあります。
また、金融機関側の手続きもありますので、14時ぐらいまでに振込手続きができない場合は、売主さんへの着金確認が延期になるケースもあります。

以上が不動産売却時の売買決済の流れになります。

不動産売却時の契約&決済の流れ・まとめ

各々の流れ時には不動産売却を任せている不動産業者の担当者が取り仕切り進めることになります。

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