不動産売却時の媒介契約! 特徴・メリットデメリット・どんな人がどの契約を選ぶべき?

更新日2020-07-11 (土) 23:45:57 公開日2019年4月8日

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不動産を売却するときは、まず不動産業者と媒介契約を結ぶ必要があります。

✿媒介契約(ばいかいけいやく)とは
媒介=仲介 同じ意味です。
お持ちの不動産(土地・一戸建て・マンション)を売りたいと思った時、だいたいの方は不動産業者に直接出向いたり、問合せをされると思います。
その結果、正式に不動産業者に依頼することになったら不動産業者と売主となる方で契約を結びます。この契約が媒介契約です。

媒介契約は、宅建業法という法律で、売主さんから依頼を受けた宅建業者(不動産業者)は、この契約を結ぶ必要があるというふうに決まっています。
媒介契約を締結し、その後、依頼された不動産業者は、不動産を売るための売却活動に入ることになります。

この媒介契約には3つの契約方法があり、その中から、どの契約にするかを決める必要があります。

ここでは
・3つの媒介契約の詳細(違い)
・3つの媒介契約のメリット・デメリット
・どんな売主さんがどの媒介契約を結ぶのが良いのか
についてご案内します。

🌸3つの媒介契約の詳細(違い)

媒介契約の種類は次の3つです。
・専属専任媒介契約
・専任媒介契約
・一般媒介契約

それぞれの違いを5つの項目に分けてご案内します。

媒介契約

▶①不動産業者(複数)との同時契約

②媒介契約

不動産業者と媒介契約を結ぶ時に、複数社と同時契約ができるかどうかという内容です。

■「専属専任媒介」と「専任媒介」の場合

複数の不動産業者と同時契約することは不可能です。1社のみとなります。
「その不動産業者だけに任せます」という契約です。

■「一般媒介」の場合

複数の不動産業者と同時に契約することが可能です。
「不動産業者を1社に絞ることができない」という場合は、この契約を結ぶことで複数社に同時に依頼することができます。

▶②依頼者が自身でみつけた買主さんとの契約

③自己発見取引

たとえば、売主さんの親戚や友達が、依頼者(売主さん)の不動産を買いたいと言ってきた時、直接売っていいかどうかという内容です。

■「専属専任媒介」の場合

不可能です。
あくまで契約した不動産業者を通じて売らなくてはいけません。

■「専任媒介」の場合

不動産業者との契約は1社しかできませんが、それとは別に、売主さんが選んだ買主さんと取り引きすることは可能です。

■「一般媒介」の場合
売主さんが選んだ買主さんと直接取り引き可能です。

▶③契約期間

カレンダー

「専属専任媒介」と「専任媒介」の契約期間は法律で定められています。

■「専属専任媒介」と「専任媒介」の場合

定められている期間は、最長でも3カ月間です。
もし、これを超えた契約をしたとしても、それは無効となります。

不動産業者1社だけに依頼することになりますので、選んだ1社が、たとえば売却活動なども、まともにしてくれないような良くない不動産業者だった場合、嫌でもずっとその不動産業者と取引きしなくてはいけなくなります。
そのようなことにならないために期間が定められています。
良くない不動産業者と契約した場合、3カ月経てば別の不動産業者に変更することができます。

■「一般媒介」の場合

契約期間は自由です。
1年・10年・売れるまでなどで取り決めが可能です。

▶④レインズ登録

②レインズ(指定流通機構)

レインズへの登録する義務があるかどうかという内容です。

✿レインズとは
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムの名称です。
指定流通機構の会員不動産会社が不動産情報を受け取ったり情報提供を行うシステムで、会員間での情報交換がリアルタイムで行われています。

レインズに登録されると、依頼されてない他の不動産業者も、売りに出されている物件を確認することができ、幅広く流通することが可能になります。

■「専属専任媒介」の場合

契約締結後5日以内に掲載(登録)する義務があります。

■「専任媒介」の場合

契約締結後7日以内に掲載(登録)する義務があります。

■「一般媒介」の場合

掲載は任意です。
掲載してもいいし、しなくても問題ありません。

▶⑤販売状況報告の義務

④報告

契約した不動産業者から売主さんへの報告義務(問合せ数・内見依頼数など)についての内容です。

「専属専任媒介」と「専任媒介」は、法律で期間が定められており、電話、メール、訪問のいずれかにより報告されます。

■「専任媒介」の場合

1週間に1回以上、必ず売主さんに報告する必要があります。

■「専任媒介」の場合

2週間に1回以上、必ず売主さんに報告する必要があります。

■「一般媒介」の場合

任意です。
売主さんと不動産業者で話し合って決めることになります。

ここまでが3つの契約方法の違いです。

どの媒介契約を選択するかは売主さんの自由です。
ただ、メリット、デメリットといも言える特徴がありますので、そこは注意が必要です。

🌸3つの媒介契約のメリット・デメリット

ここからは、それぞれのメリット・デメリットについてご案内します。

⑤メリットデメリット

▶「専属専任媒介契約」の場合

■メリット

・1週間に1回以上の報告義務もあることから、3つの媒介契約の中で、売りにだしたあとの進捗状況が最も把握しやすいと言えます。

・1社だけに依頼しますので、不動産業者側からすると、契約が決まれば、自社に仲介手数料が間違いなく入ってくるというのがわかっています。
そのため、広告費用もかけて、積極的になるべく良い条件で売ろうとします。

■デメリット

・売主さんが買い手をみつけたとしても、必ず不動産業者を通す必要があります。(仲介手数料発生)

・1社のみの契約となりますので、他社との競争もなく、不動産業者(営業マン)次第で売却時期や金額なども左右される可能性があります。

▶「専任媒介」の場合

「専属媒介」のメリットとデメリットは、「専属専任媒介」と比較して、“レインズ登録の義務日数”と“販売状況報告の義務回数”以外は、ほぼ同等の内容です。

大きな違いは、「専任媒介」は、 “自己発見取引禁止の特例が付与されていない契約という点です。
これにより、売主さんがご自身で買い手をみつかえた場合、直接売ることができます。

また、「専属専任媒介」と「専任媒介」の共通のデメリットとして、依頼した不動産業者が万が一、あまり良くなかった場合でも、契約期間中(3カ月)は、その不動産業者しかお願いすることが出来ないという点がリスクになります。

▶「一般媒介」の場合

■メリット

・不動産業者何社でも依頼することができますので、他の媒介契約のように、良くない不動産業者に依頼するというリスクがありません。
また、複数の不動産業者が活動しますので買い手の幅がひろがります。

・もし売主さんが「他の不動産業者には知られずに買主を探してほしい(秘密で売りたい)」と希望されている場合は、レインズへの登録が法律で義務付けされている「専属専任媒介」や「専任媒介」ではなく、「一般媒介」で契約すると情報が公になりません。

■デメリット

・不動産業者側からすると、「複数の不動産業者に依頼してるので、他社で売れたら利益はまったくない」と考える場合があり、チラシを配ったり、インターネットのサイトに載せたりというのも、予算をおさえてやる可能性があります。

・販売状況の報告義務がないため、不動産業者の活動状況が把握しにくいというところがあります。

・レインズへの登録がないため、売却情報の広がりがありません。

🌸どんな売主さんがどの媒介契約を結ぶのが良いのか

▶「専属専任媒介」・「専任媒介」がおすすめな売主さん

・不動産業者(営業マン)で信頼できる人をみつけた
・とにかく不動産を早く売りたい
・もし売れなかったら不動産業者に買い取ってもらいたい

このような売主さんは「専属専任媒介」または「専任媒介」がおすすめです。

▶「一般媒介」がおすすめの売主さん

・売りたい不動産が良いエリア(人気のエリア)にある
・不動産を売りにだしていることを知られたくない

このような売主さんは「一般媒介」がおすすめです。

🌸まとめ

どの媒介契約を選ぶかは、売主さんの売りたい時期や希望(早めに売りたい・急がないけどできるだけ高く売りたい)また、不動産の状況などによりそれぞれ異なりますので一概には言えない部分があります。

不動産を売ることになったら、どの媒介契約にするかを決める前に、一括査定サイトなどを利用し、複数の不動産業者に、時期・希望・物件状況などを相談してみるのも良い方法だと思います。

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