収益物件(賃貸物件)「売却or保有」どっちがいい?!

更新日2020-07-11 (土) 23:56:12 公開日2018年11月18日

収益物件(賃貸中物件)をお持ちの方で、さまざまな理由により、売却したいと考えている方がいらっしゃると思います。
特にその物件が、賃貸中の場合は入居者がいらっしゃいますから、簡単にはいきません。

または「収益物件を売却したほうがいいのか、保有していた方がいいのか」と迷っていらっしゃる方もいらっしゃると思います。

【S13】保有と売却

収益物件の「保有」と「売却」
どちらが良いのでしょうか・・また、その判断方法は・・

売却したい理由

■高めの価格設定
収益物件(投資用の不動産)の売買価格設定は、多くは収益還元法により、計算され高めの価格設定が可能になるため

✿収益還元法とは
対象の収益物件の今後の収益の想定価値を現在の価値に置き換えて収益価格を決定するという方法です。
のちほど詳細をご説明します。

■維持コスト
収益物件が古くなってきて修理等の費用がかかるため

■入居者の確保
今後の入居者の確保を不安に感じるため

■新たな収益物件購入
今の物件を売却して、新たに収益物件を買いたいため

■長期譲渡所得
物件取得後5年経ったので、長期譲渡になり税金が安くなるため

✿譲渡所得とは
不動産を売却したことによって生じた所得を譲渡所得といいます。
譲渡所得に対しては、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。
なお、譲渡所得がマイナスの場合には課税されることはありません。
譲渡所得は、保有期間が5年以下の短期譲渡所得では所得税と住民税で約40%の税金がかかりますが、5年超の長期譲渡所得になると半分の約20%になります。

【S12】譲渡所得

しかし、収益物件は、何でもかんでも売ればいいというものではありません。

エリアで考える

「保有」または「売却」は、まず収益物件のエリアによって大きく変わってきます

これから、人口が増えるエリアと過疎化していくエリアの二極化がすすんでいくと思います。

▶人口がどんどん増えるエリア(首都圏)

・入居者が増える
・家賃を上げていける
・空室リスクが下がっていく

現在、首都圏でエリアが良いところは、2020年のオリンピックに向けて、どんどんインフラが整いつつあります。
そんな中、今後を見た時「オリンピックが終わったら、確実に価格が下がるのではないか?」という疑問もありますが、そこは、エリアによって、反対にキャップレートが下がるところもあると考えます。

✿キャップレートとは
還元利回り、収益還元率、期待利回りなどのことです。

▶人口が減り過疎化していくエリア(地方圏)

・入居者が減る
・家賃を下げても入居者が決まらない
・どんどん人口が減っていき空室が増える
・相続対策などで周辺に土地があまっていてアパートができる

地方圏の場合、だんだん厳しくなってきます。
所有している物件の周辺にも、あまっている土地があって、そこに新しいアパートが建ったらどうなるでしょう。
今、入っている入居者は、みんな新しい物件に移行していくと思います。

これが、首都圏であれば、新しい物件は、とうぜん家賃も高くなりますので、また話は変わってきます。
しかし、地方圏の場合は、もともとの家賃設定が低いため、みなさん新しい方へと移るケースが多いようです。

収益物件の評価について考える

基本的には不動産の収益性に着目した収益還元法という評価方法になります。
不動産価格の算出方法は、「収益還元法」と「積算法」の2つがありますが、銀行も、どちらかと言うと、積算法(積算評価)より収益還元法に移行しています。

【S13】不動産価格算出方法

収益を基準とするため、高い収益を見込める物件(家賃が上がるような地域)は、物件価値も高くなります。
反対に、収益が見込めない物件(家賃が下がる・空室リスクが高くなる)は、物件価格も下がります。

【S13】収益還元法

現在所有している物件を、次の投資家さんが買うときに「このくらいの利回りがほしい」と期待する利回りがあります。
たとえば「このエリアでこのアパートであれば利回り6%欲しいと期待する」それがキャップレートです。

▶人口がどんどん増えるエリアの場合

この計算方法により物件価格は高くなります。
リスクが低いため、たとえば今まで6%のキャップレートを希望していた人も「5%でも買います」となり、仮に利回りが低くなっても買い手がつきます。

▶人口が減り過疎化していくエリアの場合

この計算方法により物件価格が安くなります。
リスクがあるのに利回りも高ければ、投資家のおもしろみはありません。
「7%・8%・できれば10%欲しい」となります。

入居者がいても売却できるのか

【S13】入居者がいて売却

現在の所有者(売主)が買主に売却する場合

買主が、その物件を居住用として買うのであれば、空き家でなければいけません。
しかし、投資用として買うのであれば、入居者がいても売却することが可能です。

入居者はそのままでオーナーだけが代わることになりますのでオーナーチェンジ物件とも呼ばれます。

・このことに関する特別な手続きはありません。
・入居者が既に入っているため、物件購入後、買主に家賃が入ってきます。
・入居者が退去する場合の敷金返還の義務も買主に引き継がれます。

ただし、入居者がいる場合は、空き家と比べて価格が安くなります。
その理由は、入居者がいらっしゃる場合、買主は、家賃が入ってくるというメリットはありますが、入居者がいらっしゃるからこそ、部屋の状態等を確認できないというデメリットがあるためです。

もし、投資用としてではなく、居住用として売却を考え、更に売却を急いでいないのであれば、空き家にして売却したほうがいいかもしれません。

そのためには、入居者に退去をお願いしなければいけません。
これは、慎重に行う必要があります。
トラブルになり兼ねませんので、専門の不動産業者にお任せした方が良いと思います。

結論:「保有」と「売却」=「エリア」と「保有期間」がポイント

つまり、収益物件の売却は
その物件を持っている保有期間やエリア等によって「今、売却したほうがいいのか、それともそのまま持ち続けた方がいいのか」で判断するということになります。

▶地方圏で収益物件を所有していらっしゃる方で、あまり運営が上手くいってない場合

「タイミング的に長期譲渡になって税金も下がるから売却を考えたい」という時には、いったんここで売却された方が良いかもしれません。

この場合、通常、収支状況を見ると、あまりよくないことが多く、過去3年、5年と比較したときに、その頃より現在の方が空室リスクが上がっていると言う傾向があります。

「その収益物件を買って・運用して・売却して」
この期間中は、あまりうまく運用できていなかったけど、このタイミングで売却すると、そこそこいい金額で売れて、儲けがでるというケースが多かったりします。

資産を保有している中で、今後を見た時、「ちょっとリスクがあるのかな」と思う場合は、「高く売れる時に売却する」ということも選択肢に入ると思います

▶首都圏の好立地に物件をもっているけど売却したいと考えている場合

これから先を、どうゆうふうに見るかによって変わってきますので、一概には言えませんが、やはり場所がいいところというのは、今後まだまだ安定する(キャップレートがまだまだ下がる)と期待される地域ですので、もう少し安定させて、まだまだ2年、3年は、様子を見ていただいた方がいいと思います

収益物件の売却は、あせらずじっくり見ていただいて、正しい判断(オーナーさんにとってより良い方法)をされてください。

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