旧耐震基準の古い一戸建住宅を売る方法と対策

更新日2020-07-11 (土) 23:53:41 公開日2018年11月30日

「築年数が古い一戸建てを所有しているけど、旧耐震基準の建物だし、売りに出しても売れないだろう・・」
とあきらめていませんか?

旧耐震基準の一戸建ては本当に売れないのでしょうか・・・。

たしかに、旧耐震基準は、昭和56年以前に建築された建物となりますので、築年数が古いだけではなく、新耐震基準に適合していません。

そのため、売りにくいというのは現実です。しかし売ることはできます

ここでは、旧耐震基準の一戸建を売るための方法、そして売れなかった場合の対策などについてお話します。

耐震基準とは

【S20】耐震基準の概要 (2)

国土交通省:住宅・建築物の耐震化について

✿旧耐震基準とは
建築基準法にて、建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造として昭和56年(1981年)5月31日までに適用されていた基準です。
震度5程度の地震の揺れでも建物が倒壊しない構造と設定されていました。

✿新耐震基準とは
建築基準法の改正により、建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造として1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認において適用された基準です。
震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されています。
技術的には、地震力が加えられた場合の構造部材に生じる応力が許容応力以下であるだけでなく、一定以上の規模の建物については、靱性(粘り強さ)を確保することが求められています。
また、建物強度のバランスも必要とされます。

旧耐震基準か新耐震基準かを確認する方法

建築確認申請書の日付で確認できます。
日付が1981年5月31日までであれば旧耐震基準、その日付以降であれば新耐震基準です。
しかし、1995年の阪神淡路大震災がきっけとなり、木造建築物に関しては2000年にも基準があたらしくなり更に厳しくなっています。

旧耐震基準の一戸建が売れにくい理由

住宅ローンが借りにくい

住宅ローンを貸す金融機関は、ローンを借りる人の返済能力と購入する物件の担保価値の2つの観点で審査を行います。

住宅金融支援機構によるフラット35(長期固定金利の住宅ローン)の場合、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書を調査機関に依頼して取得する必要があります。

適合証明書には耐震評価基準が設けられています。
旧耐震基準であっても、耐震評価基準を満たしていれば借入が可能となりますが、その分費用も手間もかかるため、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。

住宅ローン減税(控除)が使えない

木造(非非耐火建築物)で20年以内であれば、住宅ローン現在が使えます。
しかし、築20年以上の場合は、現行の耐震基準を満たす必要があります。
方法としては、物件の引き渡しをする前に次のどちらかを行わなければいけません。

①耐震基準適合証明書取得
②既存住宅売買瑕疵保険の付保

✿住宅ローン減税(控除)とは
住宅を購入したとき住宅ローンの残債の1%が10年間にわたり所得税から控除される制度です。

✿耐震基準適合証明書とは
建物の耐震性が基準を満たすことを建築士等が証明する書類です

✿既存住宅売買瑕疵保険とは
万が一、引渡しを受けた建物の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分など、保険対象部分に瑕疵が見つかった場合は、その補修費用をまかなうことができます。
保険期間は5年間または1年間です。

その他の税金関係も優遇されない

築20年以上の建物は、贈与の非課税制度や登録免許税の優遇も使えません。
不動産取得税は、自治体によって異なりますが、旧耐震基準の場合は使えないことがほとんどです。

地震保険が高くなる

旧耐震基準の建物は、割引もないため保険料が高額になります。

旧耐震基準の一戸建を売る方法と対策①「早く売る」

旧耐震の一戸建の売却は

「いつか、そのうち」ではなく、なるべく早く売ることが重要です。
今後、旧耐震基準のみではなく、一戸建は、どんどん売れなくなります。
なぜ、売れなくなるのか・・・その理由は。

2022年問題(生産緑地)

【S20】2020年問題

都市部をはじめとした全国各地に「生産緑地」として指定されている農地が存在します。
その土地の広さは、全国合わせると、東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積の約135個分です。

その広さの農地だった土地が宅地となり大量に市場に売り出されます。
結果として土地の価格が値下がりします。

立地適正化計画

✿立地適正化計画とは
人の住むエリアを都市郡に集めるという計画です。
地方の住むエリアを狭くするという計画が各地で始まっています。

地方に住めなくする理由

どうしても地方は人口密度が低いという現実があります。
その現実により、インフラ(水道・下水・電気・電話・道路・橋・警察・消防・公共交通など)は、地方になればなるほど、大幅な赤字になっています。

なんとか維持してきたインフラが、急激な人口減少でさらに赤字がふくらみ、維持できなくなってきました。
これが現状です。
その解決策として、やむを得なく、地方に人が住まないようにして赤字を減らそうとする計画です。
これにより、地方では、不動産の価値が下がってしまい、突然売れなくなるときがくると予想されます。

国土交通省 立地適正化計画作成の手引き

高齢化問題

団魂世代の人たちが2025年以降、75歳以上となり、日本の人口の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化社会になります。

ほとんどの人が施設などに入居します。
かりにその不動産を相続したとしても、そこに住む人はほとんどいないでしょう。

その結果、中古の家がたくさん売りに出される可能性があります。
当然、不動産の価値は下がります。

【S20】高齢化推移
内閣府「平成29年版高齢社会白書」

少子化問題

日本の人口は少子化により急激に減少しています。
2053年には総人口1億人を割り、約50年後の2065年には8,808万人になると推計されています。

それに比べて、新築住宅は次々と建てられているのが現状です。
中古住宅が売れにくくなるのは必然的なことです。

【S20】人口数減

旧耐震基準の一戸建を売る方法と対策②「リフォーム費用分などを値下げして売る」

購入予定者の中には、新築住宅ではなく、あえて中古住宅を探している人がいます。
その理由は、自分の思い通りの住宅を手に入れるためです。
築年数が古い住宅を安く買って、自分の好きなようにリフォームするということを前提で購入しています。

少しでも高く売るためにと、売り出す前にリフォームされることもあるかと思いますが、リフォームしたからと言って、その費用分を販売価格に上乗せできるというわけではありません。
上乗せすれば、当然、販売価格が相場より高くなり、売れにくくなってしまうからです。

結果として、自分でリフォームするより、購入予定者のこのような状況を見越して、販売価格を少し高めに設定し、「リフォーム費用または耐震改修工事費用〇〇〇万円負担します」「リフォーム費用相談可」というような表現で売り出せば、購入予定者はいちばん喜びますし、最終的には、当初の売却予定価格より高く売れる可能性があります。

旧耐震基準の一戸建を売る方法と対策③「土地値で売る」

売却方法

一戸建の場合、土地という大きな価値があります。
土地は新耐震基準は関係ありません。
建物付きではなかなか売れない場合でも、最悪土地値で売れる可能性があります。

土地の価格について調べてみましょう!

土地総合情報システムは、国土交通省が提供している実際の取引価格情報を提供するシステムです。
不動産購入者のアンケート結果に基づいた取引価格情報、そして都道府県の地価調査情報を公表しています。
ここでは、次の内容を確認することができます。

■地下公示
標準的な土地についての正常な価格を示すものです。
地価公示法にもとづき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表します。

■不動産価格指数
不動産価格の動向を示すために指数化した統計データです。
国土交通省が2012年8月から公表しています。

■都道府県地価調査
国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年7月1日における地価の標準価格を判定するものです。

リスク(注意点)

土地値で売るとき、注意しなければいけないのは、解体の問題です。

先に解体して更地にして売る場合、解体費用がかかります。
解体費用の相場は一般的に「木造:一坪3万円~」「RC住宅:一坪5万円~」と言われています。

更に、更地にした場合は、更地にしてから1年以内に売却しなければ居住用財産の控除が適用になりません。

また、固定資産税などの税金負担が大きくなる可能性があります。
基本的に、住宅が建っている土地と更地の固定資産税は異なります。
建物が建っている場合は、更地の評価額を6分の1に軽減することが定められています(面積によって例外有)

リスクをさけるための対策

先に解体してしまうとリスクをともないますので、価格は土地値で売るとしても、解体せず次のような表現で売却することが望ましいです。

【S20】売る表現

旧耐震基準の一戸建を売る方法と対策④「信頼できる不動産業者に確認する」

ご自身でどの方法が良いか悩まれるときは、信頼できて、特に旧耐震基準の一戸建の売買経験が豊富な不動産業者に相談しましょう。

エリアや築年数によっても違ってきますので、経験豊富な不動産業者に直接相談することも良い方法です。

さまざまな売却戦略があると思いますので、1社ではなく複数の不動産業者に相談し、比較することが大切です。

不動産業者はどこが良いかわからないという場合は、一括査定サイトの利用をおすすめします。
スマートフォンやパソコンで、売りたい物件の情報を登録するだけで、複数社から査定見積もりが取れます。また、不動産業者が直接訪問し物件を確認します。
不動産業者の担当者と直接会って相談することも可能になります。

✿一括査定サイトとは

査定をしてほしい家やマンションの物件情報を登録することで、その一括査定サイトに加盟している複数の不動産業者から、
査定見積もりをとることができるwebサイト(無料)です。

一括査定サイト

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