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海外在住者、海外赴任中の日本に在る不動産売却方法と注意点

更新日2020-07-12 (日) 00:00:59 公開日2019年4月25日

海外在住の不動産売却の注意点

海外転勤等により海外在住者の、日本国内の不動産(マンション・一戸建てなど)売却のご依頼が多くなっています。

実は、海外在住期間により、不動産売却のルールは異なっています。
海外在住期間1年未満の場合は、国内ルールが適用されますが、1年を超えると、非居住者扱いとなり、日本国内にいる売主と比べると、不動産売却の手続きが複雑になっているのです。

ここでは、海外赴任中や滞在中の日本国非居住者が、日本に在る不動産売却の方法と注意点を、すでに数多くの売却実績を持つ結い円滑支援アドバイザー兼宅地建物取引士が解説しています。

★目 次★【海外在住、海外赴任中の日本に在る不動産売却方法と注意点】


売却依頼する不動産業者の選別法

不動産業者

現在、不動産業者は日本国内に約12万社あると言われていますが、実は、海外在住者が売主となる不動産売却の仲介を行っていない不動産業者がたくさんあります。

不動産業者が、海外在住者の日本に在る不動産売却に経験と実績が無い場合、大きなトラブルが生じる可能性が有る為なのです。

海外在住している方(非居住者)の不動産売却のケースでは、安心して任せることができる不動産業者と言えるのは一握りしかいないのが実情なのです。

また、不動産会社の中には売主様が海外にいるからということで、売却活動に手を抜いたり、進捗情報のご報告をしなかったり、ひどい場合は不動産会社にとても有利な低い金額で売却を進める業者が多いという事実もあります。
ゆえに、海外在住者とだからこそ売却を任せる不動産業者はしっかり選別する必要があります。

従って、くれぐれも事前にしっかり海外在住者の日本国内の不動産売却の経験が有るかどうかを確認して、信頼できる不動産会社を見つけることを強くおすすめします。

不動産売却の対応可否確認

不動産業者に「所有者が海外在住であり、日本国内の不動産を売却したいが対応可能ですか?」と言う事を明確に伝え、対応可否について確認する必要があります。
確認方法は、Eメールや電話で問題ありません。

こんな不動産業者には注意

仮に、海外在住者の不動産売却に対応可能という回答が有りとしても、残念ながら、中には、次のような不動産業者が存在しますので、十分注意が必要です。

①不動産業者が、広告活動、売却活動、条件の交渉などを行う際、売主が不利になるようなことを行う
②進捗情報の報告をしてこない
③不動産業者にとても有利な低い金額で売却を進める

ただえさえ、不動産業者は「千三屋」と言われるほど、千に3つの事しか本当の事を言いません。ましてや売主が日本国内の近場に居ても囲い込みをして売主様の利益を損ねる行為を堂々と行う者がいる程です。
ゆえに、もし海外在住者と分かった場合は、不動産業者は売主が「カモがネギ持ってきた」と思うものなのです。
海外在住者の不動産売却は特殊な不動産売却だからこそ、このような不動産業者に依頼しないようにくれぐれも注意が必要なのです。

仲介の対応が可能で、なお且つ、信頼できる不動産業者を見つけることが重要です。

確かに海外在住している場合、不動産業者の売却活動チェックは難しいというのが現状です。
しかし、それでもチェックする必要があるので、以下ではたった3つ、これだけ確認してほしい事を解説しておきましょう。
この質問で必ずチェック出来ますので、諦めないでください。

①海外在住者の不動産売却を年間、何件くらい受任し、成約しているか⁉

  
目安としては年間10件以上の海外在住者の売却取引実数が有りたいところですが、ただそんなに数をこなしている業者は東京や大阪など大都市圏でもほぼ数社しかないと思いますから、あなたの売却したい不動産が在る近隣の不動産会社には該当しないかもしれません。

そんなときは、当機構の会員不動産会社なら徹底的に教育を受け、また当機構のアドバイスまで付いていますから安心して当機構経由でお近くの不動産業者に売却依頼されたほうがいいかもしれません。

②販売開始時、売買契約時、売買決済時に必要な書類は何か⁉ またどう集めたらいいか⁉

海外在住期間がが1年以上の非居住者は、日本国の住民票などの重要書類を発行できません。但し、それらに代わる書類を準備する必要があります。

海外在住者本人(売主)が用意する物
・売買契約時:不動産権利証(登記識別情報通知)
・印鑑証明書と実印

ちなみに、海外移住届を提出されている場合は、日本国の印鑑証明書が取れなくなりますので、自動的に実印の証明が出来ないことにもなります。
また、本人所在を確認する住民票も無くなってしまいます。
よって、それに代わるものを準備する必要があります。

・実印→サインで問題ありません。
・印鑑証明書の代用→サイン証明書
・住民票の代用→在留証明書

売主が売買契約や売買後決済に出席出来ない場合、売主本人と代理人が準備するものとして次の種類を用意する必要があります。

・売主本人から代理人に対する代理権限委任状
・代理人の印鑑証明書と実印
・代理人の本人証明書類(パスポート、免許証、健康保険証など)

因みに当機構の別頁で必要書類の取得方法など詳細に解説していますから、ここでは不動産業者に質問して頂く前に確認しておき、そのうえで不動産業者に質問してみて下さい。

☛ 海外在住中でも日本国非居住者の不動産売却時必要書類とその取得方法

的確な回答が得られない時は、まずその不動産業者に売却は任せないほうが良いでしょう。

③売買契約時や決済時に契約に立ち合えない時、どのような対処が可能か⁉

海外在住者の不動産売却は、所有者ご本人が売買契約も売買決済も立ち合えないケースばかりです。
ゆえに、そんなときの売買契約と決済はどうなるのか、売主の売却意思の確認はどうするのか、売買代金の授受や下記で解説する住宅ローンの完済や、抵当権抹消をどうすればできるのかはとても厄介な問題となります。
ゆえに、この対処法が理解していない不動産業者に売却は任せないほうが良いのです。

なお、この確認事項は海外在住者の不動産売却のプロフェッショナル不動産会社であり、当機構社員コーラル株式会社が監修しており、多くの実績がある確認事項となっております。

住宅ローンについて

①住宅ローン

売却予定の物件に(根)抵当権が設定されている場合

売却予定の物件に住宅ローンなどの借入により(根)抵当権設定されている場合、売買決済時に、全額繰り上げ返済し、(根)抵当権設定を抹消(解除)する必要が有ります。

この場合、ほぼ98%の金融機関では、利用者本人が帰国することなく、代理人での手続きが可能です。
ただ中には、必ず一度帰国しての手続きを求める金融機関もあります。
また、海外在住という事情から、抹消手続き機関が長くなる事もあるのです。

ゆえに不動産売却活動前に、必ず住宅ローンを利用されている金融機関に確認されてください。

結い円滑支援機構では、どの金融機関が必ず住宅ローン利用者本人自身が手続気しなければいけないか把握していますから、事前にお問合せ頂ければと存じます。

源泉徴収について

売却代金が1億円を上回る場合、売買価格の10.21%相当額を源泉徴収する義務が生じます。
非居住者が不動産を売却する場合の源泉徴収義務者は、売主ではなく買主(不動産の購入者)になります。

源泉徴収した10.21%相当額については、買主が対価の支払をした翌月10日までに所轄の税務署、または、金融機関で納付します。
その結果、非居住者(売主)に支払われる源泉徴収後の金額は、支払金額の89.79%相当額しかありません。

ここで注意しなければならないことは、もし、住宅ローンの支払いが残っていて、不動産を売却した代金でローンの返済をしようと考えている場合は、10.21%相当分が不足する可能性があるということです。

司法書士について

⓼司法書士バッチ

司法書士にも得手不得手があります。

このケースで不動産売却を行うときは、とても難しい確認事項があります。
このケースの取引における実績が少ない司法書士であれば、この確認事項のところで、後手後手になる可能性もあります。

また司法書士は登記費用が一律同額では有りません。
このケースの場合、割高になってしまう可能性もあります。

不動産業者に売却を依頼する時、司法書士の報酬やその他の費用についても確認されてください。
諸費用の比較はとても重要にです。
因みに当機構では海外在住者の不動産売却時に慣れた司法書士が会員としていますから、この点も安心して頂けるのではないかと存じます。

日本の不動産を「外国人」が売却する場合

近年、インバウンドの影響か、日本の不動産を「外国人」が売却する相談案件が増えています。おそらくコロナ後も更に増加するでしょう。
ここでは、日本語がわからない外国人が売主となる売買について注意点をご紹介しましょう。

日本語が堪能ではない外国人のお客さまが売買契約の当事者になる場合の注意点を確認してみましょう。

売却時に外国人や海外法人にて適用される法律

外国人や、海外法人が売買契約の売主になる場合でも、日本の不動産売買では日本の法律「民法」、「税法」、「宅建業法」などが適用されます。

売買契約時の説明はどうする⁉

日本人への説明と同じように、外国人へ日本語で説明した場合、宅建業者は説明義務違反になる可能性が高くなります。
理由は、宅建業者はお客さまへ不動産売買に関する重要事項を説明する「義務」があるからです。重要事項説明書と売買契約書をただ「音読」すればよいというわけではなく「理解」してもらう必要があるのです。
日本語がわからない外国人のお客さまに対して、売買契約書をそのまま日本語で解説しても理解できないでしょう。
ゆえに説明する場合は次のような対応をしなければならないでしょう。

◎通訳者を同席させ解説を同時通訳する。
◎通訳者にも売買契約書等必要書類に署名捺印をしていただく。

ただ、通訳者は日本語がわからない当事者の費用負担での用意となる場合が多いです。

代理人について

海外在住者の不動産売却の進め方や必要書類については、売主ご本人が売買契約締結時及び決済時に出席できるかどうかで変わってきます。

海外から帰国できない(出席できない)場合は、日本国内におられる信頼できる人を代理人に立てて、売買契約締結の権限を委任する必要があります。

不動産売却は大きなお金が動きますので、一般的には、親戚・知人・友人など、信頼できる方に代理人を依頼されることが多いようです。

海外在住者(非居住者)自身が、帰国して出席出来る場合は必要ありません。

また、出席可否により、必要書類も異なりますので注意が必要です。

確定申告

確定申告

提出先・納税先

海外在住者と言えども、不動産を売却して所得を得た場合は、課税対象となりますので確定申告が必要です。

・確定申告の提出先→日本の税務署
・納税先→日本の税務署または金融機関

で行うことになります。

納税管理人

海外在住者が、確定申告を行う場合は、その本人が確定申告書の提出や納税などを直接おこなうことができないため、納税管理人(海外在住者に代わって確定申告書の提出や税金の納付などをする者)を定める必要があります。

納税管理人は、法人、個人のどちらでも問題ありません。
ちなみに、納税管理人を税理士に依頼することも可能ですが、その場合は、別途料金が必要になります。

違法行為とみなされる可能性

違反

・買主
源泉徴収した10.21%相当額を期日までに所轄の税務署、または金融機関に納付しなかった。

・売主(海外在住者)
確定申告をしなかった

実際に源泉徴収するのを忘れ、延滞税・過怠税まで課税されるケースが起こっています。
税務署は厳しく対処しますから、くれぐれも怠らないよう注意が必要です。

なお、日本国内に主たる事務所や本店がない「外国法人」も同様にこの徴収法の対象になります。

いずれの場合も、違法行為となりますので、くれぐれも漏れがないように注意が必要です。

まとめ

昨今、とても多くなりつつある海外在住者や外国人など日本国非居住者の日本の不動産売却について解説してきました。
この手の売買の場合、通常の売買時書類と少々違う書類の用意が必要です。
日本国非居住者の売買に手慣れていないと後手後手となり、うっかりミスを犯し、取返しの付かない事態にもなるものです。
ゆえに、海外在住者や外国人などの日本国非居住者の売買には、多数の経験と実績のある当機構の会員宅建業者にお任せいただければと存じます。

関連記事(下調べが重要です!)

海外在住者が日本に在る不動産売却の手順や注意点について、知らないまま進めてしまうと、トラブルが生じる可能性があります。

また、海外在住者の売却という事で、不動産業者に騙される可能性も高くなるのです。

ゆえに、海外滞在中で日本にある不動産の売却を検討されるのであれば、日本在住時よりも徹底した調査と確認は絶対に重要です。

下記の関連記事もぜひ参考にされてください。

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