広告は出せば売れる!って、そんな簡単なことじゃない!

よく、広告をあれもこれもたくさん出せば早く売れるんじゃないんですか?

と聞かれますが、

ここではっきり回答を言いましょう。

広告はただただ出せば売れる!って、そんな簡単なことじゃない!ということを。

確かに、物件は売っていることを購入予備軍の全員に知らしめなければいけない事なので、その方法がたくさん広告することというのは間違っていないのです。

ただ、広告はその種別によって多額のお金が掛かることでもあるのです。

そのお金=広告代はいったいどこから賄うのでしょう?

不動産屋に支払う予定の仲介手数料でしょうか?

仮に5000万円の中古マンションを販売するとして、その仲介手数料を上限額の3%+6万円とした場合、156万円となります。

このうち広告費として捻出できる費用はおおよそ半額の78万円程でしょうか。

この広告費をどのように振り分けましょうか?
まず一度計算してみましょう。
計算方法は1カ月間として考えてみます。

新聞折り込み広告(約200,000円)

新聞折込広告は、全国で規格化が進んでいて、チラシのサイズごとに、1枚あたりの基本配布料金が設定されています。

例えば東京都の世田谷区では新聞の宅配部数が朝日新聞と読売新聞で118,900部(2018年10月時点)。
世田谷区ではB4サイズのチラシを新聞折込で配る場合、1枚あたり配布単価は3.3円なので、配る料金としては392,370円掛かります。
仮に物件の周辺にはだけ折り込む場合でもおおよそ2万部は必要でしょう。
よって2万部×3.3円=66,000円掛かります。
しかし、これには印刷代が入っていません。
従って印刷代(20,000円)込みでおおよそ86,000円掛かることとなります。
1回の反響期間が一番短いところから、月2回は折り込みしたいところでしょう。
1回の折り込み料が消費税込みで9万円掛かるとして、2回では18万円になります。

チラシポスティング(約20,000円)

チラシポスティングは不動産会社の社員が行えばチラシ印刷代だけで済みそうです。
従って1回5000部×月4回撒くとして20,000円程でしょう。

インターネット広告(約50,000円)

SUUMOやYahoo!不動産、アットホームには掲載したいところです。
これらの掲載料は、不動産会社は枠買いしているので、1件単価は出ませんが、おおよその単価は分かります。
1カ月合計50,000円と言ったところでしょうか。

上記合計額で25万円かかる計算になります。

これで成果が出ないことが多いので、翌月も同じようなします。
結果50万円程となり、翌月もとなれば合計75万円となり、媒介契約期間の3カ月で広告費は使い切る計算になります。

※こんなに広告出す不動産会社は有りませんが。

もし、これら広告を出しても成約しなかったら、仲介手数料は成功報酬なので不動産業者が全額負担することとなるわけです。
従って、専属専任媒介契約でもなければ1カ月目からのすべての広告は難しいとなるでしょう。特に費用の高い新聞折り込み広告は難しいですね。
ただ、売主が新聞折り込み広告の費用を全額出すというのであれば、どの不動産業者も新聞折り込み広告を出すことに躊躇しないとは思います。

最近、この新聞折り込み広告はあまり見かけなくなったと言われます。
それは、新聞を取っているご家庭がどんどん少なくなってきているからで、しかも、それだけでは無いんです。

購入検討者のある行動が、この新聞折り込み広告やチラシポスティングをしなくなったことに関係していると言われています。

その行動こそ、インターネットの登場と普及、スマホの普及です。

今の買い手は、以下のような行動をとり、最後は買う物件を決めていると言われいています。

⑴新聞折り込み広告やポスティングされたチラシを見て、良い物件が有れば見てみたいと思う。

⑵チラシ掲載した不動産屋にお問い合わせして、内容を確認するとともに物件を実際見たい場合内見する。

⑶実際に物件を内見してみて、購入諸費用を出してもらう。しかし要検討として保留する。
保留期間は短ければ丸1日、長くても1週間程度。
但し、物件を見始めたばかりの場合、ほぼ99%この段階で買う事にはならない。
その他の物件も何件か一応は見てみて決断する。

⑷本気で買おうと思っている、またはたまたま本気で買おうと思うようになってきた買い手は、その後SUUMOやアットホーム、Yahoo!不動産などを虱潰しに確認する。

⑸条件に合う物件が見つかりました。

⑹ネットで購入時費用などお得な不動産業者を調べ、掲載されている物件が仲介できるかどうか問い合わせ確認。
(Yahoo!不動産のおうちダイレクト以外、掲載されている物件はどこでも仲介できることを知り始めていて広まり始めたから。)

⑺仲介手数料のお得な不動産業者から内覧する。

⑻購入希望と同時にネット系銀行へ住宅ローン事前審査申し込み

⑼売買契約締結

はい、この流れで購入者は自分に合った物件を買い求められています。

そのために何をやるのか?を考えて販売活動するのが今の広告になって来ているのです。

だから、どんどん広告を出してたくさん告知すれば早く高く売れると思うのは、半分は正解で半分は間違いなのです。

ただ、マーケティングから言えば広告を多く出すというのは確かに基本です。

だから、チラシ広告をポスティングしたり、新聞折り込み広告に折り込んだりしたら反響が上がり売れるのではないか?

是非やりたいと思っておられる売主もおられるでしょう。

しかし、

例えば、たくさん広告を出してたくさん告知をすれば、もしかすると誰か一人は高値で買ってくれるかもしれないでしょう。

しかし、それほどたくさん広告を出しもなかなか高値で買ってくれる人が見つからないのが今の状況になっています。

その理由は、毎年多くの売出情報=不動産情報が増加しているからに他なりません。

昔、そうですね~、インターネットのまだまだ発達していない、スマホの登場もない10年も前なら、まだまだ不動産情報が少なかったので、まだ広告を出しただけでも売れたのです。

2018年の今は、販売中のライバル物件も多数あり、ネットはいつでも利用でき、しかもスマホは一人一台の時代に、広告を出したから早く高く売れるとは限らなくなっています。

そのことを反映しているような在庫データも出てきています。

下記のグラフをご覧ください。

画像の説明

しかもこんなデータもあります。

2008年における首都圏中古マンションの成約件数は28,744件(前年比0.9%増)で、前年を上回っています。
2017年における首都圏中古マンションの成約件数は37,329件(前年比0.4%増)で、3年連続で前年を上回り、前年に続いて過去最高を更新しています。

2008年の新規登録件数は170,929件(前年比22.4%増)で、過去最高を更新しています。
すべての都県・ 地域で前年を大幅に上回り、特に東京都区部は前年と比べて32.5%増えています
2017年の新規登録件数は193,988件(前年比0.2%減)で3年ぶりに前年を下回っています。
都県・地域別に見ると、東京 都区部と千葉県が前年を下回っています。


如何でしょう。

今と約10年前とを比べてみると、首都圏中古マンション販売数で約23000戸も今の方が多くなっています。

確かに購入者も約8500人ほど多くなっていますから、そんなに変わらないじゃないかと思われる方もいるかもしれません。

ただ、この成約数はアベノミクス下の過去最高を更新した時の人数となり、今年はその数は前年比を大きく下回ることは間違いないのです。
しかし、新規登録件数は、毎年過去最高を更新し続けるでしょう。

その裏付けとして、これから先日本の人口は毎年約30万人以上減り続けます。
2020年以降には数年間ですが50万人以上も減ると言われています。
また、その結果、世帯数も減り始めていて、世帯構成も核家族化などで変化しています。

反対に、空き家はどんどん多くなっています。
2016年の発表では、約830万戸もあると言われていて、この数はこれからが加速度的に増えると言われているのです。

この状況の中では、広告は出せば売れる!って、そんな簡単なことじゃなくなっているのです。

だからってどうしたらいいのか?

マーケティングの基本は広告は多いに越したことはないのです。

どんなに良い物件でも、売っていることを知ってもらえなければ存在していないのと同じなのです。

ここで、ある有名なアメリカのマーケティングの権威の言葉をご紹介しましょう。

『商品が売れない一番の理由は、「知らない」もしくは「忘れている」だ』と。

この言葉、「確かに、そうだよね!」って思います。

現在は、こんなにたくさんのマンションが売りに出されています。その中からあなたのマンションを見つけて売っていることを知ってもらわなくてはいけません。

あなたのマンションを「こんな部屋を探していたんです!」っていうお客様は必ずいるはずです。
しかし、売っていることを知られていないのでは話になりません。

購入見込み者に一日でも早く「知ってもらえる」ように働きかけをしていかかなければいけばらならいのです。

忘れるについては、見つけてもらう後にしか来ませんから、このことは今は忘れましょう。

あなたの売っている物件を見つけてもらうこと。しかし、これができるのはあなたではありません。
あなたが売却を任せる不動産業者なのです。

ここで、今の購入者が不動産を購入時、どう動いているのかのデータがあります。
ご覧ください。
下記の表は 公益財団法人 不動産流通推進センターが発表した「不動産統計集(2018年3月までの最新データ・2018.4.24更新)」です。

「不動産統計集(2018年3月までの最新データ・2018.4.24更新)」

このデータは『購入検討者の物件に関する情報収集方法』の推移を表したものですが、最近2017年度において購入者の物件収集は不動産業者で探すことが急落し、その反面ネット広告で探す人が多くなっているという現実があるのです。

このデータは2016年から2017年にかけての推移ですから、今現在2018年では、もっとネット広告で収集する人が多くなり不動産業者で収集をする人を引き離していることでしょう。

データは嘘をつきません!

今やネット広告は必需品となっていて、このネット広告を如何に利用するかで見つけてもらう機会が変わるのです。

まずは、見つけてもらうという事が大事と言いました。
従って、店頭掲示板への展示や、新聞の折り込み広告には入れてもらいないのではないかと、不安視される売主様もおられるかもしれませんが、こちらも全く心配に及びません。

仮にそれらに展示や広告がなされなくても、今の購入検討者は必ず100%購入検討時上記SUUMOやアットホーム、投資用なら楽街などのネット広告をチェックして比較しています。

なぜ比較されるのか⁉

こちらも理由は簡単、あなたの不動産は世界に2つと無い有一無二の物だからです。

新聞折り込み広告などの広告を多く出しても、買い手は最後にはSUUMOなどのネット掲載をチェックするのです。
という事は、このネット広告をちゃんとやることに集中すべきなのです。

しかし、このネット広告を中途半端に出す不動産業者がとても多いという事の方が大問題なのです。

こちらの方が大、大問題です。

広告を出すなら、ちゃんとネット広告に掲載してくれる不動産業者を選びましょう。
このちゃんと掲載するとは、出すだけではありません。
出すだけでは反響が取れなくなっても来ているからです。

このネット広告もやり方を間違えれば「諸刃の剣」になってしまいます。

次回は、このネット広告もやり方を間違えれば「諸刃の剣」になってしまうことを解説しますが、今日は、広告はただ単に出せば良いという問題ではないという事を解説しました。

あなたの役に立ったらシェア!

コメント


認証コード8573

コメントは管理者の承認後に表示されます。