不動産の価格は何で決まる?2020年の東京オリンピック後に本当に下落するのか?!

更新日2020-07-11 (土) 23:12:59 公開日2019年2月7日

①本当?

2020年に東京オリンピックが開催されますが、オリンピック開催後に不動産(戸建住宅・マンション・土地)の価格が下落するという話があります。
本当にそうなのでしょうか。

結論から言うと、不動産の価格がどうなるか(上昇するのか、下落するのか)と言うのは、なかなか難しくて、正確に予想できるものではありません。

その証拠というわけではありませんが、もし、不動産価格が上昇することが事前にわかっていたら、間違いなく、たくさんの人がどんどん不動産を買って、買った人全員が大儲けできることになります。
反対に、下落することがわかっていたら、買う人は誰もいないはずです。

🏠なぜ東京オリンピック後に不動産価格が下落するという説があるのか

▶2020年問題

【S20】2020年問題

農地を守ることを目的とし、1991年に生産緑地法が改正されました。
その翌年、これにもとづき、生産緑地として指定された農地が存在します。

この法律のメリットは、条件を満たした緑地は固定資産税や相続税が優遇され、自治体からの援助も受けられることです。
その代わりに、30年間の営農義務があり、農地以外で使用することは認められません。

それがなぜ問題なのか

2022年には、30年間の営農義務が解除されます。
指定解除された農地は、固定資産税・都市計画税などが、宅地並みに課税される事から、たくさんの土地が大量に不動産市場に売り出されることが予想されています。

その土地の広さは、全国合わせると、東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積の約135個分です。

結果、土地の価格は下落すると予測できます。

▶2025年問題

団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)になり、超高齢化社会になります。
ほとんどの人が病院や施設に入居することになります。

その結果、不動産は空き家が多くなります。
仮に相続したとしても、相続人がそこに住む可能性は少ないと考えられます。
中古の家がたくさん売りに出され、当然、不動産の価値は下落すると予測されます。

あわせて、「少子化問題」もあります。
日本の人口は少子化により急激に減少しています。

【S20】人口数減

2053年には総人口1億人を割り、約50年後の2065年には8,808万人になると推計されています。
中古住宅が売れにくくなるのは必然的と言えます。

▶土地適正化計画の問題

人の住むエリアを都市郡に集めるという「土地適正化計画」もあります。
地方の住むエリアを狭くするという計画です。
このことで地方の不動産価値は下落すると予測されます。

他にも消費税アップの問題もあります。

オリンピック開催後には、これらの問題が次々と表面化されます。

過去のオリンピックのデータを見ても、オリンピック開催後に、そこまで不動産が下落したという情報はないため、オリンピック開催とほぼ同時期におこるこれらの問題を含め、「東京オリンピック開催後に不動産の価格が下落する」という説になっているのかもしれません。

🏠不動産の価格は(何で・どうやって)決まっているのか?

不動産の価格は、「需要と供給」で決まります。
そして、少し特殊ですが、銀行の融資でも決まります。

▶需要と供給で決まる

②需要と供給

不動産に限らず、“ものの価格”というのは、すべて「需要と供給」で決まっています。
欲しい人が多ければ、価格は上がりますし、少なければ下がります。

■不動産価格が上昇している時

不動産価格が上昇している時、売りたい人と買いたい人はどんな心理でしょうか。

③上昇

売りたい人は、「不動産価格が上昇しているから、まだ上がる可能性があるかもしれない」と期待して、売ることを保留します。
買いたい人は、「不動産価格が、どんどん高くなるかもしれないから、早く買わなくては」という気持ちが強まります。

不動産価格が上がっている時は、このような心理状況になり、その状況から、不動産の価格が上がっている時は、更に価格が上がる傾向にあります。

■不動産価格が下がり始めた時

不動産価格が下落している時、売りたい人と買いたい人はどんな心理でしょうか。

④下落

売りたい人は、価格が下がっているから、少しでも早く売ろうと考えます。
買いたい人は、もう少し待てば、もっと下がるかもしれないと考え買うのをやめます。
価格が下がりはじめると、買う人の購入意欲が冷え込んでしまいます。

これは不動産に限ってのことではありません。
需要と供給で、ものの価格は決まってきますので、売りたい人と、買いたい人の心理的なバランスが重要になってきます。

■不動産以外のものと、不動産の需要と供給の相違点

不動産以外のもので、たとえば“おもちゃ”や“ゲーム”を例にすると
(需要)ゲームやおもちゃが流行る→売り切れになる→価格が上がる
(供給)人を増やす・工場を増やす・→生産を増やす。

不動産との相違点は、不動産は、供給量が決まっているということです。
たとえば、土地を買いたいと言う人がいるからと言って、同じ土地を大量生産することなどあり得ないからです。

国土交通省:不動産鑑定評価基準 第4章不動産の価格に関する諸原則 より抜粋

Ⅰ 需要と供給の原則
一般に財の価格は、その財の需要と供給との相互関係によって定まるとともに、 その価格は、また、その財の需要と供給とに影響を及ぼす。 不動産の価格もまたその需要と供給との相互関係によって定まるのであるが、不動産は他の財と異なる自然的特性及び人文的特性を有するために、その需要と供給 及び価格の形成には、これらの特性の反映が認められる。

これを、簡単に言うと、不動産価格は需要と供給のバランスで決まるということです。
そして、その不動産価格もまた、需要と供給に影響を及ぼすと記されています。

このように、不動産の価格は、売りたい人と買いたい人の心理的条件(需要と供給)で決まります。

▶銀行の融資で決まる

⑤融資

これは、不動産ならではかもしれません。

銀行の融資は、けっこう重要になってきます。
不動産は高額ですので、購入する際は、住宅ローンを受ける人がほとんどです。

もし、銀行が「融資できません」と言えば
買いたい人は、買いたくても買えません。
売りたい人は、売りたくても売れなくなります。

そうなってくると
買いたい人が極端に減ってしまいます。
売りたい人は価格を下げるしかありません。
価格を下げたとしても、資本家のような人が現金で買ったり、その価格(下げた価格)であれば融資を受けられると言う人が買うという感じになります。

そのような状況もあり、銀行の融資が不動産の価格を握っているところもあります。

更に、投資用の物件であれば、もっと融資が絞られています。
特に地方の物件を持っている人は、どんどん価格を下げています。

メガバンクがエリアを絞ってきていますので、融資が難しくなります。
そうなれば、地元の信金さん、信組さん、地銀さんにお願いするしかありません。
どんどん融資を受けられる人が少なくなり、その影響で不動産の価格が下がってくるということになります。

また、不動産の価格が上がりすぎると、「高すぎるため融資できません」となります。
買う人の年収は決まっています。
「年収の何倍までだったら融資できる」というような上限が決まっています。
給料は上がらずに物件の価格だけ上がっていくと、融資の上限を上回ることもありますので、結果、買えないいうケースもあります。

🏠不動産価格の予測

▶不動産価格は下落するという予測

2018年下半期で、不動産の取り引きが34%減りました。
「不動産が高すぎて買えない」ということで、買い控え(買い手が買うことや買う量を控えること)がおこっています。

高すぎて利益がでないため、ファンドとしても買いません。
個人としても、買いたくても高くて買えないとなり、不動産取引が減ってきています。

また、中国では、国外に資産を移すことに規制がかかりはじめ、中国人投資家が、買っていた物件(特に5年以上経って長期譲渡所得となった不動産)を売りに出す可能性があります。
その影響で、不動産価格がどんどん下がる兆候が現れているという見解です。

日本経済新聞(2019.1.27) 

▶不動産は3年以内に調整局面がくると言う予測

「1~3年内に調整局面は必ず来る」
オリックス井上亮社長の見解です。
「今後、不動産の価格が下がった時に備えて事業計画を練っている」とおっしゃっています。
不動産価格が下がってもいいように、今から準備されているということです。

日本経済新聞(2019.1.16)

▶まだそこまで悪い兆候はないという予測

中古マンションの取引(成約)件数は、微減ながら横ばいでほぼ変わらず、価格は6年連続で上昇しています。
一方、新築マンションは、供給量も価格も変わりありません。

新築マンションは、高くて買えないが、中古マンションは、価格は上昇しているものの、新築マンションと比べると割安なイメージを受けるという市況で、中古マンションを買う人が増えている。

・需要と供給はそこまで変わらない
・価格は、新築は変わらないが中古は少し上ってきた。
この状況から、現段階では、まだそこまで悪いという兆候は見えていない。
エリアが良い不動産は上昇し、地方の不動産は下落するというような予測です。

Suumoジャーナル(2019.1.30)

🏠データ管理が重要

▶不動産価格の予想は難しい

予想はなかなか難しいと思います。
それならどうすればいいのか
難しいとしても、今、どうゆうデータが出ているのかをタイムリーに確認することが重要になります。

▶不動産価格は「需要と供給」「銀行の融資」で決まる

売にだされている量や、売出価格を見ることで、需要と供給のどちらが強いのかを確認しましょう。

▶不動産取引きが減ってきた・下落の兆候?

「取り引きが減ってきた=買い手が減ってきている」ということが、データを確認していたら把握できます。

▶不動産を売却する可能性がある人は価格を把握する

自分が所有している不動産を売却する可能性がある人は、一括査定にだして、複数の不動産業者に査定依頼をすることをおすすめします。

そうすることで、今、自分が持ってる不動産がいくらくらいの価値があるかを把握することができます。
また、住宅ローンの残りとの比較も重要です。

不動産の価格を予想するのは難しいことですが、少なくとも、常に、最新のデータを追っていき、都度どういった状況なのかを把握していく必要があります。

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