売主の瑕疵担保責任!告知すべき内容・相手・タイミングについて確認しよう!
更新日2020-07-11 (土) 23:51:48 公開日2019年5月16日
不動産(マンション・一戸建て)を売却する時、注意しなければならないことに「瑕疵担保責任」があります。
✿瑕疵とは
見えない欠陥や不具合のことをいいます。
✿瑕疵担保責任とは
買う時にはわからなかった隠れた物件の瑕疵(雨漏り・シロアリなどの不具合)について、売主が負う責任を言います。
▶売主が瑕疵を知らない場合
見えている欠陥や不具合であれば、売主から買主に伝えることができますが、売主にもわからない(知らない)欠陥がある場合もあります。
この場合
瑕疵担保責任の期間は、民法上では、買主が隠れた瑕疵を見つけてから1年間は売主が責任を負うと定められていますが、1年は売主が責任を負うのは不利益が大きすぎるという事を踏まえて、一般的には買主との協議により、売買契約で瑕疵担保責任の期間を定めています。
▶売主が瑕疵を知っている場合
また、知っていることであれば、売りに出す時点で売主が伝えるべきことですが、なかには瑕疵があることを知っているのに、早く売却したいために隠している売主も存在します。
瑕疵担保責任が定められていても、売主が瑕疵を知りながら隠していた場合は、期間経過後も売主が責任を負うことになります。
このように瑕疵担保責任(告知)は十分な注意が必要です。
ここでは、雨漏りやシロアリによる不具合の他に、瑕疵に含まれる具体的内容や、どのタイミングで誰に告知するべきか等についてご案内します。
🏠告知事項は重要
不動産取り引きにおいて、不動産を売る時、売った後のトラブルを未然に防ぐためにも、告示事項はとても重要です。
事実を知っていたのに言わずに売却したことで、その契約が解約になったり、あとあと責任を負わされたりするケースがけっこうあります。
裁判になった場合も負けるケースもあります。
少し民法のお話をします。
民法第572条
売主は、担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら
告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利
については、その責任を免れることができない。
中には「瑕疵担保責任なし」という契約もけっこうあります。
しかし、そのような契約であったとしても、「知りながら告げなかった事実」があった時は責任は免れることはできませんという内容です。
このような内容が民法で定められています。
そのため、告知事項がとても重要になってくると言うことです。
次に、告知すべき内容と、告知するタイミングについてご案内します。
🏠告知すべき内容
売主さんが気づかない場合もありますので、事前に確認されることをおすすめします。
▶1.雨漏り
天井の雨漏りだけではなく、外壁のシミ、サッシ取付部分などからの吹込みなども考えられます。
▶2.シロアリ
シロアリは、建物だけではなく、敷地内の物置、建物周辺部の植木等にも注意が必要です。
マンションは一戸建てと比べるとシロアリ害は少ないのですが、浴室や洗面所などで発見される場合があります。
▶3.建物の主要な構造部分の腐蝕や破損、劣化(有りの場合はその内容)
腐蝕は木部だけとは限りません。
ベランダやバルコニーなどの鉄製部分のサビも含まれます。
特に、水まわり(浴室・洗面所・台所等)は注意が必要です。
マンションの場合、漏水(上層階からの水漏れなど)も該当します。
▶4.給排設備の配管の状況や故障
配管が割れている・水漏れがある・水のにごりや詰まりなどが該当します。
▶5.浸水や天災・火災の被害
浸水や天災・火災の被害については、お住まいになっていたり、所有されていたらわかることです。
おおよそ何年の何月頃にこういった被害にあったというような内容を事前に伝えましょう。
なお、火災にはボヤも含まれます。
▶6. 土壌汚染、軟弱地盤等
土壌汚染、軟弱地盤等については、売主さんが、その不動産を買われた時に、引き継いた内容や、周辺から聞いた内容など、わかる範囲でかまいません。
その情報を伝えましょう。
たとえば、その土地が過去水田・池・沼などだったことにより地盤が弱いという場合が該当します。
▶7.リフォーム・増改築の履歴(有りの場合は、その時期と箇所)
リフォーム(壁や柱の撤去または移動、間取りの変更など)した場合は、耐力構造に影響を及ぼす可能性もあります。
たとえば、戸建てを増改築した場合、増改築してもらった業者から設計図、見積書、領収書などを受け取っていると思います。
それらを、増改築の履歴として提示し、この箇所を増改築したという内容を伝えましょう。
該当がある場合は、必ず事前に伝えることが大切です。
仮に、瑕疵担保責任はないという契約だったとしても、その事実を知っているのであれば一般常識として伝えなければいけません。
▶8.心理的瑕疵(事件・事故・自殺など)
これは非常に大事です。
事件・事故・自殺などがあった場合ということになります。
当然、これにより値段も変わってきますし、心理的瑕疵というのは、そのことを知っていたら購入しなかったというような重たい事情の告知事項になります。
これだけは、もし伝えていなかった場合、確実にトラブルになります。
該当があれば必ず伝えましょう。
▶9.その他の事項
・その地域特有の決まり(自治会。町内会など)
・近くに暴力団事務所がある
・嫌悪施設(下水処理場・火葬場・ゴミ処理場など)がある
・騒音、振動、臭気(道路・電車・飛行機・工場など)
・物件に何らかの影響を及ぼす恐れがある建築計画
・建物の傾き(全体の傾きだけではなく部分的な傾きも含む)
・境界や超堺の問題
・電波障害
🏠どのタイミングで誰に伝える(告知)べきなのか
告知するタイミングは、法的には、売買契約の前に告知します。
売主・買主間の決まり事の中では、契約前に書面化しておこなうことになっています。
しかし、実務的には、販売開始前に不動産業者の担当者(営業マン)に伝えることが大事です。
もっと早く、査定の段階でも良いと思います。
心理的瑕疵や雨漏りの履歴がある場合は、販売価格にも影響しますので、査定段階で不動産業者に伝え、価格査定をしてもらうことをおすすめします。
それにより、売り方も変わってきます。
不動産業者もいろいろと聞いてくると思います。
ただ、不動産業者も聞くのを忘れたり漏れたりする場合もあります。
あとあとトラブルにならないように、売主さんが知っていることは、自ら不動産業者の担当者に伝えるように心がけることが大切です。
🏠まとめ
不動産の売買においては、売主は買主に、売買する不動産について、瑕疵を含め、知っている情報を「物件状況等報告書」と言う書類に記入し説明する必要があります。
万が一、瑕疵があることを知っていたにも関わらず、売主が買主に伝えなかった場合は、不動産売買契約書の条項に関係なく、売主に対し損害賠償義務等が発生する可能性があります。
なお、買主が売買契約締結時に瑕疵の存在を知っていた場合、売主が責任を負う必要はありません。
このことから、売主が知っている瑕疵については、可能な限り正確に伝えることが、売主にとって重要なことであると言えます。
不動産の売却をお考えの方は、今回ご案内した内容を確認いただいて、該当するものがないかを整理し、できるだけ早めに告知されることをおすすめします。
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