重要事項説明書とは! 流れ・記載内容・売主が押さえるポイントをご案内! 

更新日2020-07-11 (土) 23:07:18 公開日2019年5月30日

不動産売却時時の重要事項説明書

不動産の売買契約で大切なものと言えば「売買契約書」です。
そして、売買契約書とおなじくらい大切になるのが「重要事項説明書」になります。

✿重要事項説明とは
宅地建物の取引において、宅地建物取引業者(宅地建物取引士)が取引当事者に対して、取引物件や取引条件など、契約上重要な事項を説明することを言います。
また、説明の際に、その内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書と言います。

ここでは、重要事項説明書にはどんな内容が記載されているのか、どのタイミングで使用されるものなのか、誰が作成するのか、そして売主が押さえなければならないポイントについてご案内します。
あとあとトラブルにならないように、しっかり理解しましょう。

🌻重要事項説明書作成までの流れ

▶重要事項説明書は誰がつくるのか

売主が媒介契約(仲介)をした不動産会社が国交省推奨の標準書式を使い作成することが一般的です。
大手不動産会社の場合、独自の書式を使用することもありますが、その点はとくに問題ありません。
不動産会社の担当者が作成あるいは、同不動産会社の別のスタッフが作成する場合もあります。

▶重要事項説明書を作成するために必要な確認および調査

調査

①建物・道路について(法務局登記所や市町村で確認)
②売主情報(住民票や免許証で確認)
③物件の登記内容(法務局で確認)
④マンションの場合、概要・間取り・設備など(マンションカタログ、売物件購入時の情報にて確認)
⑤区分所有など管理に関するもの(アスベストや耐震診断などを管理会社で確認)
⑥接する道路や公共インフラ設備(市町村で確認)

実際にはもっと細かい法律も関わってきますので確認する事項は多岐にわたります。

不動産会社の担当者から売主へのヒアリングもありますので、報告・連絡・相談を密におこないましょう。

③報連相

🌻重要事項説明書が使用されるまでの流れ

▶説明のタイミング

不動産売却(仲介)の流れは、次のステップで進行します。

不動産売却(仲介の流れ)

11番目の売買契約の締結
このステップは、買主も決まり、売買契約を交わすタイミングです。

重要事項説明書に基づいた説明は、このタイミング(売買契約書の説明の前)で行われます。

これは、売買契約を締結するまでの間に、買主に対し、物件に関する重要事項の説明をしなければならないこと、また説明しなければならない事項が、宅地建物取引業法で定められているためです(宅建業法35条)

③宅地建物取引士証

重要事項説明書に基づき記載内容を買主に説明するのは、売主側の不動産会社担当者(宅地建物取引士資格者)です。

宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者になります。
必ず「宅地建物取引士証(カード)」を提示して、口頭にて説明をおこないます。

なぜ重要事項の説明も説明する者も法律で義務付けられているのでしょうか。

不動産は非常に高額な財産であることが大きな理由としてあげられます。
一般的に不動産を購入するというのは一生に何度もあることではありません。
高額な財産を何の説明も受けずに購入することは後々大きなトラブルになり兼ねません。

また、買主からすると何を参考にして何に注意した方が良いのかさっぱりわかりません。
そのためにあるのが重要事項説明です。
不動産の重要な事項の説明となりますので、不動産に関する知識がある宅地建物取引士が行うよう決められているのです。

注)この時、必ずネームプレートとID証で説明者が宅地建物取引士であることを確認しましょう。

▶説明時間

⑥時計

重要事項説明書の説明時間は1~2時間ほどが一般的です。

買主が項目ごとに質問する場合もありますが、買主の質問については、主に売主側の不動産会社(担当者)が回答します。
この時、売主としても担当者をフォローすることができたらベストです。

▶署名押印

重要事項説明書は、売主側の不動産会社が二部作成します。

買主が説明内容に理解した後、売主、買主、相互に署名・押印・割り印をします。

▶「付帯設備表」・「物件状況報告書」

「重要事項説明書」を買主さんに交付する際、「付帯設備表」や「物件状況報告書」というものがついてきます。
これは、買主さんへ、その物件の情報提供として、売主さんしか知らない内容を記載するための書式です。

■付帯設備表

エアコン、食洗器、シンクなど細かい設備が記載されており、各設備の状態として故障・不具合の有無が記載されるようになっています。

■物件状況報告書
雨漏り、外壁、基礎、バルコニーなど細かく記載されており、その現状が記載されるようになっています。

表1(付帯設備表記入例)・表2(物件状況報告書記入例)

▶注意点

ご案内してきたように、一般的に、重要事項説明は売買契約締結日と同日におこないます。

しかし、事前に確認することも可能です。
なぜなら、売買契約当日に、重要事項の説明を受けた場合、よくわからず、疑問をもったままどんどん進み、あとになって、トラブルになってしまう可能性もあるからです。

重要事項説明書は事前にメールなどでも受け取ることができます。
その場合、次の流れが一般的です。
①売主側の不動産会社が重要事項説明書を作成
②買主側の不動産会社がチェック
③双方で間違いないことを確認した後、売主、買主確認

この点は、不動産会社の担当者に相談されてください。

🌻重要事項説明書で説明される内容

代表的な事項を2つご案内します。

▶取引物件に関する事項

登記簿上の権利関係、法令上の制限です。
・物件の概要(所在地・床面積、土地面積など)
・所有権に影響する権利の有無
・何らかの権利が設定されている場合は購入時の解消可否
・家を建てたり、建て直したりする際の制限有無

(例)都市計画法では、市街化区域や市街化調整区域といった区域区分や用途地域などが定めてあり、また建築基準法では建ぺい率や容積率なども制限等がかせられている。

▶取引条件に関する事項

代金・賃貸など以外に授受される金銭、契約の解除などの内容になります。

・売買代金や固定資産税など代金に関する内容
・手付金の放棄による契約解除
・どういった場合に契約の解除ができるのか
・契約違反が起きた時の損害賠償額はいくらなのか

注)この時、売主が注意する点として、買主が住宅ローンを使って購入する場合、金融機関からの融資を受けられない可能性もあります。そのため、契約の解除の時期や方法、融資ローンの特約情報をつけるかどうかなどを事前に確認することが大切です。

🌻売主が押さえるべき重要事項説明書のポイント

ポイント

①事前に売主側の不動産会社から重要事項説明書案を受け取り確認すること
先ほどご案内した内容です。
事前(売買契約締結前)に重要事項説明書の記載内容に間違いがないかを確認しましょう。

②正しい情報を不動産会社(担当者)へ告知すること
たとえば、㎡数など記載項目に間違いがあれば、あとでトラブルになります。

③設定担保抹消についての説明できるようにしておくこと
買主は担保設定の抹消が間違いなくできるかを懸念します。

④解約条件の理解しておくこと
解約手付けであることの理解やローン特約による解約など。

⑤買主がいやがるだろうと思われる点も告知すること
隣地の建設計画・ペット規定・ごみ当番・駐車場割り当てなど
告知しなかった場合、のちのちクレームになる可能性があります。

🌻まとめ

⑤信頼関係

告知は正直がいちばんです。
良くない状況は、できるだけ早めに、信頼できる不動産会社の担当者に伝えましょう。

不動産は、とても高価な資産の売却になります。
慎重に行動し、今回ご案内した重要事項説明の内容等についても、ポイントをしっかりチェックされてください。

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