売買契約の契約解除について理解しよう!

更新日2020-07-11 (土) 23:07:52 公開日2019年6月2日

契約解除

不動産売買契約をおこなう時、気をつけなければいけないのが契約解除です。

契約解除に関する項目はいろいろありますが、ここでは代表的な4つの項目(手付解除・引渡し前の滅失・契約違反・瑕疵担保責任)についてご案内します。

🏠手付解除

④手付金

▶手付金とは

不動産(一戸建て・マンション・土地)などの売買契約締結時に必要となるお金です。

手付金は、確かに売買契約を行ったという「証拠」の役割があります。
言いかえれば、売買契約を結んだあとになって、売主さん、買主さん共に、「やっぱりこの契約はしない」と安易に言い出すことが出来ないようにするためでもあります。

この他の手付金の役割となるのが「解約金としての役割」そして「違約金としての役割」です。
こちらの役割については、それぞれのタイミングでご案内します。

▶手付金の相場(金額)は?

売主さんが個人の場合(不動産会社ではない場合)手付金の金額に制限はありませんが、相場としては、「売買価格の5%~10%」が一般的です。

▶買主さんが手付金を支払うタイミングは?

売主さんと買主さんが売買契約を結ぶ時に、買主さんから売主さんへ売買金額の一部としてお支払いすることになります。

ちなみに、手付金以外の残金は、物件引き渡し日(決済日)に買主さんから売主さんへ支払います。

▶契約解除となる場合、手付金はどうなるのか

手付解除について、売買契約書には次のように記載されています。

第14条 (手付解除)
1.売主および買主は、本契約を表記手付解除期日までであれば、その相手方の本契約の履行の着手の有無にかかわらず、互いにその相手方に書面により通知して、本契約を解除することができます。
2.売主が前項により本契約を解除するときは、売主は、買主に対し、手付金等受領済みの金員を無利息にて返還し、かつ手付金と同額の金員を支払わなければなりません。買主が前項により本契約を解除するときは、買主は、売主に対し、支払済の手付金を放棄します。

引用元:(公社)全日本不動産協会

もう少し砕いて説明すると

手付金が200万円で、契約解除となる理由が

■買主都合の場合

期日内買主都合契約解除

手付金として支払ったお金を放棄すれば契約を破棄することができます。
つまり、支払い済の手付金は返ってきません。
この意味でいうと、手付金は契約解除となった場合の「解約金」の役割もあります。
当然、売主は手付金を返す必要はありません。

■売主都合の場合

期日内売主都合契約解除

手付金を返還して、さらに手付金と同額を買主に支払うことで契約を破棄することができます。
つまり、売主の都合で契約を解除したいとなった場合は、手付金の倍返しをすることになります。

▶手付解除期日を超えて契約解除したい場合は?

期日超過の場合は?

何らかの理由により、定められた期日を経過したあとで契約解除となる場合は、契約違反による解除となり、違約金が発生します。
契約解除する時の手付金の動きも変わってきます。

(例)売買価格が4,000万円で手付金200万円

(期日内)
買主都合:手付金200万円放棄(戻らない)
売主都合:手付金200万円を買主へ返還+200万円(手付金同額)=400万円を買主へ支払 

(期日超)
期日を超えてからの契約解除は違約金が発生します。
違約金額については、売買金額の10%または20%が設定されているケースが多いです。
売買契約書の違約金箇所に記載されていますので、ここも事前に確認が必要です。

売買価格の10%と定められている場合、4,000万円×10%=400万円となります。

期日超買主都合契約解除

買主都合:手付金200万円放棄(戻らない)+200万円=400万円

期日超売主都合契約解除

売主都合:手付金200万円を買主へ返還+400万円=600万円を買主へ支払 

▶手付金の注意点

■注意①:手付金の設定

手付金は可能な限り多く請求することが大切です。

手付金の割合設定は非常に重要です。
相場は「5%~10%」ですが、中にはとても安く設定したり、手付金不要と言う場合もありますがこれは注意しなければいけません。

なぜなら
ご案内したように定められた期日内であれば、買主は手付金さえ放棄すれば契約解除ができます。
結果、契約解除をされやすくなります。

手付金を多く設定している場合は、買主さんも簡単に契約解除はできません。
それでも、買主さんが契約解除すると言ったとしても、売主さんとしては、手付金が手元に残りますので振出しに戻るだけということになります。

■注意②:買主さんの住宅ローン審査

売買契約を結ぶ前に、買主さんの住宅ローン仮審査の結果を確認する必要があります。

不動産を購入する買主さんは、住宅ローンを組むことが一般的です。
ただし、買主さんが、審査に通らず住宅ローンが組めない場合があります。

売買契約において、「住宅ローン特約」を設けることが一般的です。
これは、万が一、住宅ローンの審査に通らなかった場合は無条件で契約を白紙にもどすことができるという特約です。

白紙になるということは、何もない状態で戻すということになりますので、売主さんは買主さんから受け取った手付金を返還しなければいけません。

売主さんは、そうならないために、買主さんの住宅ローン仮審査結果を、契約を結ぶ前に、確認されることをおすすめします。

また、万が一のことがあってはいけませんので、住宅ローンの結果がでるまでは、受け取った手付金に手を付けない方が望ましいと言えます。

注意

🏠②引渡し前の滅失・毀損(きそん)

地震

引渡し前の滅失・毀損(きそん)とは、たとえば、物件引き渡しの前に、大地震があり、建物に被害があった場合などが該当します。

買主さんが、住むための家として、その物件を買う予定だった場合、そのままでは、住むことができません。
こういった問題が起きた時に契約解除ができるという項目です。

契約解除になった場合は、契約が白紙に戻りますので、買主さんから受け取った手付金は返還することになります。

ただし、その地震での被害が少なかった場合、物件引渡し日までに売主さんがきちんと修理して引き渡す意思があり、買主さんも承諾されるようであれば、契約はそのまま進行し、建物を修理した後で引渡しすることになります。

引渡し前の滅失・毀損(きそん)については、売主さんと買主さんがお互いに協議した上での取り決めが必要になってきます。

🏠③契約違反

契約違反に対する解除です。
売主さん、買主さん共に、不履行が起きた時に「違約金」が発生します。

たとえば
(買主)手付金以外の残金を引渡し日までに準備できない。
(売主)引渡し日までに家を空けた状態で引渡す準備(引っ越し)ができない。

この準備がお互いに期日までに出来ない場合、違約(ペナルティ)となり違約金の支払いが発生します。

これは、いきなりではなく、売主さんが原因であれば、売主さんから買主さんへ、買主さんが原因であれば、買主さんから売主さんへ、書面で通知します。(期日の再設定などについて)
それでも、契約通りに出来ないとなった場合は、契約違反による契約解除の適用となります。

こういった意味でも、手付金は、買主が違反した場合の「違約金」の役割もあります。

▶違約金(例)

違反

手付解除でご案内した違約金と同様です。

(例)売買価格が4,000万円で手付金200万円

違約金額については、売買金額の10%または20%が設定されているケースが多いです。
売買契約書の違約金箇所に記載されていますので、ここも事前に確認が必要です。

売買価格の10%と定められている場合、4,000万円×10%=400万円となります。
買主原因:手付金200万円放棄(戻らない)+200万円=400万円
売主原因:手付金200万円を買主へ返還+400万円=600万円を買主へ支払 

🏠④瑕疵担保責任

瑕疵担保責任

▶瑕疵担保責任とは

瑕疵とは、たとえばシロアリがいる、雨漏りする、柱の木部が腐蝕しているなど、目には見えない(隠れている)ところの欠陥を言います。
隠れているため、売主さんも買主さんも発見できなかった瑕疵が、あとで見つかる場合があります。

瑕疵がみつかった場合に、売主さんがもたなければいけない責任を瑕疵担保責任(民法570条)と言います。

この瑕疵担保責任によって、買主さんが住むことができないくらい大きな問題が発生した場合、適用となるのが瑕疵担保責任による契約解除です。

契約解除になった場合、売主さんは買主さんに下記例の違約金を支払うことになります。

▶違約金

手付解除でご案内した違約金と同様です。

(例)売買価格が4,000万円で手付金200万円

違約金額については、不動産会社により異なります。
売買契約書の違約金箇所に記載されていますので、ここも事前に確認が必要です。

売買価格の10%と定められている場合、4,000万円×10%=400万円となります。
買主原因:手付金200万円放棄(戻らない)+200万円=400万円
売主原因:手付金200万円を買主へ返還+400万円=600万円を買主へ支払 

🏠まとめ

不動産売却時時の重要事項説明書

それぞれ、ケースバイケースで対応が変わってくる可能性もあります。
契約の条項等を含め、重要事項説明書、売買契約書に記載される内容について、事前に不動産会社の担当者によくよく確認し、きちんと説明を受け、しっかり納得されてから契約に進まれることを強くおすすめします。

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