不動産売却時の土地建物割合のうち建物価格、建物の原価法について

更新日2020-07-11 (土) 23:08:58 公開日2018年10月25日

中古の一戸建て住宅の売却を考えた時、重要となってくるのは売却価格です。

売却価格を決めるためには、複数の不動産会社に査定依頼を行ったり、相場価格を含め、ご自身でもさまざまな確認が必要になります。

一戸建ての価格は、土地と建物の価格の合計で出されます。

物件の査定方法はいろいろありますが、今回ここでは、“中古の一戸建て住宅の建物代はどうやって割り出し計算するのか”ということについて見ていきましょう。

土地部分は、また別の見方がありますのでそちら説明します。

土地は土地、建物は建物で別に考えて、最終的にその合計金額が、中古一戸建ての価格と考えていくほうがわかりやすいと思います。

中古戸建住宅の建物代の計算方法!

建物代の目安→基準線をもとに調整

「建物代がいくらなのか?」ということは、意外に難しい問題です。
戸建住宅は、物件によって大きく内容が異なることもありますので、建物をぱっと見ただけでは、判断しにくいところがあります。

だからと言って、何も目安がなければ、まったくわかりません。
ここでは目安となる基準線を作り、その基準線をもとに調整するというやり方をご紹介します。

建物価格【建物代】の目安

鉄骨やRC造(柱や梁などの主要構造部に鉄筋の入ったコンクリートを用いたもの)あるいは3階建てとなりますと、また考え方が違ってくるため、ここでは木造2階建てに限定してお話しています。

基準線の引き方

■再建築価格基準
建物代を計算する時、再建築価格を基準にすることがよくあります。

再建築価格とは
その建物を一度更地にして、同一の建物をその場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費のことを言います。

『再建築価格はどのくらいなのか、また何年で償却0になるか』という考え方です。
建物の大きさなどは関係なく、基本的に2階建ては再建築価格1.800万円と考え、且つ、25年で償却0になると計算します。

建物の価格【再建築価格】

これを1年あたりで見ますと、年間72万円ずつその建物代が下がっているということになります。
10年後になると、720万円下がることになりますので、築10年の建物であれば、1.800万円から720万円を引いた1.080万円がこの建物代金のとりあえずの基準線と考えます。

再建築するときの価格

建物代の調整

この説明をすると、「建物の面積が100㎡でも150㎡でも同じ計算になるのか?」と疑問に思われる方がいらっしゃると思います。
あるいは、建物のグレードで、ものによっては、内装やデザインが大きく変わったり、性能も、昔の建物であれば微妙なところがあったりして、中には高い建物もありますので、「そういったところは、まったく考えないのか?」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。

そのような部分については、まったく考えないのではなく、最後に調整部分として考えます。

建物代の調整

どうゆうことかと言いますと、先ほど例にした、築10年の建物であれば、とりあえず、基準線を1.080万円で考えます。
次に、基準線からのプラス・マイナスで計算をします。

(例)
・普通の建物より面積がかなり広い場合→1.080万円からプラス50万円、100万円くらい高くする
・デザインが非常に優れている場合→1.080万円から150万円、200万円くらい高くする
・シロアリがいる場合→1.080万円から、50万円、100万円くらい安くする

基準線を引く理由

なぜ、基準線を引くという考え方をするかと言いますと、0から考える(0から、この物件は1500万円くらい、1800万円くらいのものと考える)より、基準線を一度引いて、そこからプラス50万円あるいはマイナス100万円など、プラス・マイナスで考えていったほうが、考え方としてわかりやすいと言うこともありますし、大きな範囲で見ていくよりも、小さな範囲でプラス・マイナスをやっていくほうが、誤差が少なくなるのでわりと相場に近い価格がだせると考えているからです

中古の注文住宅と建売住宅の差

人によって、いろいろな反応がありますので、不動産(戸建住宅)を売りたいという方の中には、この考え方を納得されない方も多いのではないかと思います。

たとえば、今回、再建築価格1.800万円ということで説明しましたが、20年前くらいにハウスメーカーや工務店から非常にグレードの高い注文住宅を建てた方であれば、1.800万円どころか、3.000万円、4.000万円かかっている建物もあります

「そういった建物も一律1.800万円で計算するのか?」となるわけですが、原則は、先ほどとおなじように、1.800万円で計算して、非常にグレードが高いということになれば、そこの基準線からプラス200万円、300万円と調整することになります。

なぜなら、注文住宅と、建売住宅で比較した場合、確かにデザインや性能が大きく違うことはありますが、当初の建築費用に2.000万円の差があったとしても、それが中古になった時、おなじように2.000万円の差があるかというとそんなことは、まずありません。

もちろん他の条件がまったくおなじであれば、グレードが高い分、高く売れるというのは確かですが、その差は、あくまでも、グレードの差として調整分に入る範囲内だと思います。

中古の戸建て物件として、市場に出た時には、やはりどうしても再建築価格から判断される、あるいは相場として評価されるということが多くなります。
注文住宅でお金をかけることが間違いという話では決してありませんが、万が一、売らなければいけなくなった時は、価格が下がることがあるということを、ある程度承知の上で判断されるべきだと思います。

基準線を引く以外のやり方

建物代を出す時に、建築費が4.000万円だったから、4.000万円から逆算していくという方法もあると思いますが、逆算で計算した場合、現状の相場とは、かなりかけ離れてしまうと思います。

一方で、グレードやデザインは、人によって非常に個人差が大きいため、確かに相場より300万円ほど高くしてもいいのではないかと思う建物もあります。

そのようなことも中にはありますが、相場や、実際に売れている成約事例などを見ていきますと、やはり、基準線から計算して、プラスα、プラスいくらということで計算していったほうが実際の成約価格に近い金額になることが多いと思います。

損得ではなく価値観の問題

損得ではなく価値観の問題

この話をしますと、「つまり注文住宅は損なのか?」と言われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは損得の話ではなくて、“どこに力をかけるのか、どうゆうふうにお金をかけるのか”など、どちらかと言うと価値観の問題だと思います。

自分の希望も入れて注文住宅を建てた
4.000万円かかかった
中古となった今、とても建物の値段が下がっている

(損得で考えた場合)
金額の下がり幅というのは例外もたくさんありますので、一律には言えないところはありますが、この例を金額(損得)だけで見た場合は、おなじ時代に、建売住宅を買った人からみると、おそらく下がり幅は大きいだろうと思われます。

(価値観で考えた場合)
注文住宅は、間取り、外観、仕様など、すべてにおいて自由度が高いというメリットがあります。
そのためまったく同じ家もありません。
たとえば、外観はこんなふうにしたい。キッチンやリビングは広めにしたい。明るくなるように大きな窓がたくさんほしい。内部デザインや、寝室、子供部屋の間取り、耐震性、安全性など、さまざまな希望を実現することができます。 

実際に住まいというのは滞在時間が長いところであり、自分たちの希望を取り入れたその住まいから、与えられる影響、感覚は非常に大きいものです。
たとえば10年、20年で、1千万円単位で余計にお金がかかったとしても、住んでいる期間、十分それだけの効力、価値はあったという考え方もぜんぜんおかしくないと思います。

考え方はさまざま・・ポイントは基準線!

今回、1つの考え方についてお話しましたが、この考え方については、本当に人によって違いますので、一律にどうとは言えません。

人それぞれ計算の根拠も違います。
実際のところ、地方によってもぜんぜん違います。
「1㎡あたり16万円、18万円などで計算します」と言われる方もいらっしゃいます。
そう言った違いがさまざまあります。

今回のポイントは、お話してきた考え方そのものよりも、中古の戸建住宅の建物代を計算する時は、基準線を引くことが重要であるということです。

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