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不動産売却、土地売却時の測量(必要性・種類・費用・流れ)について
更新日2020-07-11 (土) 23:04:37 公開日2019年6月15日
土地を含む不動産(一戸建て・更地)を売却する時には、土地の測量が必要になる場合があります。
マンション一室を売却する時には測量する事が不可能な場合もあり、また既に測量されている場合も多く必要ではない事が多いですが、しかし、通常は不動産を売却する時は土地の測量は必要になります。
・測量をする理由は何か
・測量費は何をもとに決まり、どのくらいかかるのか
・測量費として提示された費用が妥当かどうかわからない
実際、測量について非常に重要にもかかわらず、詳しく理解している人は少ないと思います。
理解しないまま売却すると、のちのち大きなトラブルになり兼ねません。
また、売却するときに査定を不動産会社に依頼すると思いますが、土地の確定測量が済んでいないと査定額も低くなります。
そこでこの記事では、測量の必要性・種類、測量にかかる費用、流れについて解説します。
★目 次★測量の必要性・種類、測量にかかる費用、流れ
土地売却に必要な測量図とは⁉
測量図には、後程詳細解説しますが、地積測量図、現況測量図、確定測量図の3つが有ります。
このうち土地(一戸建てやアパート1棟、ビル1棟)を売却する時に必要な測量は、確定測量図になります。
この確定測量図を作成するに土地を測量します。
マンション1室の売却時には土地持分も売買対象になりますが、しかしその土地の確定測量図が無くても、まず支障が無いためわざわざ作成する事は無いでしょう。
測量はなぜ有るの?測量の必要性(理由)
なぜ、測量の必要があるのかについて質問される方がいますが、その理由はトラブルを避ける事です。
日本の国土に在る以上、必ず土地には境界が有ります。
また、土地の面積は法務局で取得できる土地全部事項証明書(登記簿謄本)により知る事が出来ますが、土地を売るにしても、どこからどこまでが売買対象地なのかわからなければ買い手は買ってはくれませんし、ゆえに売却する事はできないのです。
従来からその土地に住み、自地がある程度判明していて近隣とも昔からのお付き合いがあり、売却する事も考えられないという土地は、測量しないままでも何ら問題無いかもしれません。
ただ、一旦売却しようとしたとき、購入検討者はその土地の使用利用状況が解らず、どう利用使用したらいいか全くわからないのです。
では、境界を確定(測量)しないためにどのようなトラブルが生じるかを具体的に見てみましょう。
境界トラブル
土地境界を明確にしていないために、近隣住人との間に「境界トラブル」が発生する可能性があります。
実は、この近隣住人との間の境界トラブルは多く、死傷事件まで起こっていたりするから大変です。
近隣住人との境界トラブルについては、別ページを設け詳細解説していますから、そちらをご参照して頂ければと存じます。
ただ、境界トラブルを避けるためにも、隣地や道路との境界を明確にする測量が必要になるのです。
「境界トラブル」についてはこちらをご確認ください。
売却金額の差異
一戸建ての売却、土地(更地)のみの売却では、土地面積により不動産会社の査定額も、更に売却できる金額も大きく変わります。
通常、土地の面積は「1坪○○万円」と表記されます。
1坪いくらかにもよりますが、隣地や道路との境界が不明確な場合、大きく損してしまう可能性もあります。
そうならないためにも明確にするための測量が必要になります。
測量が必要なケースと不要なケース
実は、土地売却時に土地測量図を作成するケースと、作成しないケースがあるのでここでご紹介しておきましょう。
測量が必要なケースとその理由
不動産の売買には「確定測量図」が必要というお話をしましたが、「確定測量図」があったとしても、再度、「確定測量」が必要なケースがあります。
たとえば、確定測量図が古く、そのものの存在意義が既に無い場合に考えられます。具体的には以下のような場合が考えられます。
境界に塀やフェンスなどが無い・有っても目視でその存在意義が無いとき
(理由)確定測量図は確かにあるものの、しかし長らく土地に住まううちに、境界の塀やフェンスなどが傷んでしまって取り壊し撤去する事はあると思います。また、有っても目視でその存在意義が無いガタガタの物もあり、境界判明できそうにない場合が有ります。
このような時は、境界の位置が変わっている可能性があるため改めて測量する必要があります。
都市部などで地価が高い地域の土地・土地面積が大きい土地
(理由)土地売買には、必ず売買金額が有りますが、この売買金額が、都市部などで地価が高い地域の土地・土地面積が大きい土地の場合で地積測量図が無かったり、またとても古かったりした場合、土地登記簿謄本にある地積より縄伸び、縄ちじみしている場合が考えられ、地積の誤差が大きくなる事が考えられます。
このような時は、売買価格に大きな差が出てしまう可能性から改めて確定測量図を作成します。
境界杭や境界鋲などが無い・有ってもガタガタしている
(理由)境界の隅々で重要な部分には金属鋲や石等でできた境界杭を打ち込んで境界を明示していますが、たとえば道路工事などでこれらが破損したり、飛んでしまうという状況が考えられます。
そのような状況であれば再度測量して境界杭を改めて打ち込まなければ、境界が視覚的に分からなくなってしまいます。
相続税納付のための物納時
(理由)相続時にお金(税金)の代わりに土地を物納する場合が有ります。
実は、税務署へ土地物納する時にはちゃんとした土地測量図(確定測量図)の作成をしておかなければ、物納を認めないケースが多々あるのです。
ゆえに新規で測量し直し、確定測量図を作成する事となります。
次は、測量が不要なケースとその理由についてみてみましょう。
測量が不要なケースとその理由
土地の売買時に、測量をしないで言いケースがあるのでご紹介しておきましょう。
地価の低い地域(地方)の土地
(理由)近年、地方では空き家が急増していて、所有者が不明な場合や、所有者が解っていてもあまりに多数なため管理が行き届いていないという不動産が多数あります。
実は、土地所有者が不明な物件は日本全国で九州の土地全部より広いと言われているくらいなのです。
このような不動産には値段が有って無いような状態の物件が多くあります。
このような土地を売買する時には、地価が数十万円からの低い物件となる反面、確定測量にかかる費用と時間の方が高くつくため測量せず売買する事が多々あります。
また、近接の所有者も不明な場合もあるので、測量する事が難航するため測量不能なケースがあります。
土地が広大
(理由)広大な土地は、その購入者が限られます。例えばマンション業者(マンションデベロッパー)などの場合、購入者自身が土地測量図を作成するため、売主自身が作成する事はほぼ有りません。
地方の広大な土地の場合は、上述の理由と同様です。
行政の承認が取れていない
(理由)例えば、隣接する土地が公道のとき、その所有者は都道府県など行政な場合が有ります。この行政が所有者である場合においては、ある程度購入者のとの協議において測量を省く事があります。
理由は、行政が所有する土地の場合、測量確定するまでにかなりの時間がかかります。また費用もそれなりに係ります。
ゆえに、行政所有以外の隣接地の所有者との立ち会い時に問題がなければ、そのまま売買契約を結ぶ事があります。
隣接地の所有者の署名捺印が終わっていない
(理由)隣接地の所有者と合意はしていても、何かの事情で署名捺印だけ終わっていないという場合、時間がかかってしまうため、購入者が合意すれば売買契約を結ぶこともあります。
この時の購入者には不動産買取業者で開発業者が多いです。
【注意しよう!】
確定測量しないままの状況で売買契約を結ぶ場合、以下のような特約を結ぶことが一般的です。
・隣接する土地所有者との間で境界確認できなければ白紙解約とする。
・確定測量の結果、土地面積に差異が生じた場合は売買金額を1㎡につき金額を決め清算する。
土地売却時に、売主はなるべく自身の作業をしたくない方がいますが、しかしこのような特約は、売主にとって解約というリスクにつながりますので、可能な限り早めに確定測量を済ませることが重要となってきます。
小まとめ
使用使用勝手がわからないばかりに、その土地に住んだ後に近隣住人とトラブルになる事も考えられます。
このように境界が不確定な土地は、近隣住人とのトラブルの元なので、しっかり境界を確定し自用地を確認するためにも測量は必ず必要なのです。
測量図の種類
測量したあとに作成される測量図には3つの種類があります。
3つの測量図の違いについて説明します。
現況測量図
測量士や土地家屋調査士が、その土地(現況)から測量図を作成した図面(仮測量図とも呼びます)です。
隣接地所有者の立ち合いも合意もないため、土地の境界について承認されているかどうかは不明です。
地積測量図
地積測量図1つの土地を複数に分ける「文筆」をする時などに作成する図面です。
法務局に登録されています。
ただし、戦前に作成されたものなど、古い地積測量図は、当時の測量技術が低いことや、隣接地所有者の合意がない状態で登記されているものもあるため信用力は低くなります。
確定測量図
厳密には境界確定測量と呼ばれます。
土地の境界について、隣接地の所有者、測量士、土地家屋調査士などの資格をもつ人の立ち合いの下、行政(国土地理院が作成する)の図面をもとに境界杭や境界標を打ち、土地の境界を正しく確定させる測量をいいます。
確定測量図は基本的に所有者本人が保管しており、法務局などで取得できるものではありません。
上述した「現況測量図」と「地積測量図」と「確定測量図」の大きな違いは、隣接地所有者の合意有無です。
不動産売買において、隣接地所有者の合意がない測量図(「現況測量図」と「地積測量図」)は、参考資料としては有効ですが、効力のある図面としては無効になります。
結果として、不動産の売買契約では「確定測量図」が必要となります。
また、「現況測量図」や「地積測量図」の場合、境界について隣人が指摘してくる可能性もあります。その結果、自分の土地面積が減ってしまったり、仮にその状態で売却できたとしても、あとあとになって、購入者からクレームが入る可能性もあります。
測量は誰に依頼するのか
確定測量をする目的により、誰に依頼するかは違います。
土地を含む不動産売却(一戸建てや工場など)が目的な場合、自ずと測量すれば良いだけではなく、その後に登記が必要になるケースが多々あります。
ゆえに登記の有無により、測量を依頼する専門家を選ぶ必要があるのです。
土地売却に絡む土地測量が必要な時は、土地家屋調査士か測量士へ依頼します。
土地家屋調査士と測量士の違いは、登記ができるかどうかになります。
土地家屋調査士は、登記を目的とした測量はできますが、測量士は登記を目的とした測量が出来ないのです。
なお、不動産売却が目的なときで、確定測量すべきかどうかわからないときは、測量士や土地家屋調査士を探すのではなく、売却を依頼する不動産会社へ相談してもいいでしょう。
不動産会社が売主の現状と、'「現況測量」と「地積測量」と「確定測量」の3つのうち、どの測量方法で進めるかを判断し、登記するかどうかまで考え、取引のある測量士か土地家屋調査士を紹介してくれるはずです。
但し、下記に測量費用について解説しますが、売却を依頼する不動産会社によって測量費用額が大きく違ってきますから、くれぐれも売却時の仲介手数料が無料とか、安いからと言うだけの理由で不動産会社は選ばないほうが良いです。
測量費用は何をもとに決まるのか
土地の面積
当然ながら、土地の面積が広ければ広いほど費用は上がってきます。
道路の接道状況
一方向の道路で接道しているのか、二方向の道路と接道しているのか、建築基準道路と接道しているかどうかという状況により費用は変わってきます。
隣地の件数
お隣の数が何件接しているか、それにより立ち合いの人数が変わってきますので隣地の件数によっても費用は変わってきます。
公道が境界確定しているか
道路が私道であったり区道であったりという時に確定するためにお迎いの方も呼んだりしますので行動の境界が確定しているかどうかによって費用が変わります。
なお、県や市区町村(行政)の所有する土地(公道など)と境界確定する作業を『官民査定』といい、その他一般者と境界確定する作業を『民民査定』と言って区別しています。
官民査定になると、行政とのやり取りが発生し、また時間や手間がかかるので費用は高額になる事が多いです。
登記をするかどうか
土地の分筆や土地の地積更生など登記をする場合は登記費用が発生します。
おおむねこれらの流れで測量費用が決まっていきます。
確定測量の費用相場
現況測量と確定測量の相場は違います。確定測量は、現況測量のおおよそ2倍になると思っていいでしょう。
◎測量方法とその費用
測量方法 | 費用 |
---|---|
現況測量 | 30〜50万円 |
確定測量 | 50〜100万円以上 |
土地売却の場合、通常確定測量する事になります。
確定測量の費用は、売主が負担するのが一般的です。
確定測量の費用は、100坪以下の土地を例にした場合、60万円~80万円が相場ですが、場合によっては100万円以上もかかるケースがあります。
「えっ、なぜ、土地の確定測量するのにこんなに測量費用に差があるの?』と思われたかもしれませんね。
その理由は、時間やかかる手間、またその他の費用によって結果的に測量費用が高額になる場合があるからです。
官民立ち会いが必要
(理由)道路や水路などといった行政が所有している領域に、所有している土地が隣接している場合は、行政の人と土地の所有者(売主)が一緒に立ち会って、土地の境界を確認する必要があります(官民立ち合い)官民立ち合いになれば、行政とのやり取りが発生し時間と手間がかかります。
土地が広大・複雑
(理由)土地が広かったり、複雑な形をしているときは、測量自体に時間と手間がかかります。
近隣と紛争が発生している
(理由)隣人への立ち会いのためのアポや境界確定の交渉が難しく、測量する測量士や土地家屋調査士の手間がかかります。
相続時など関係者が多い
(理由)確定測量の境界確定は、隣人以外にその土地の所有者の合意も必要です。その土地の所有者が多いほど測量の時間と手間がかかります。
確定測量の流れ
①資料調査(法務局調査)
法務局・市区町村役場、道路管理者で、公図、登記簿謄本、共同担保目録、地積測量図、建物図面、その他保管書類、などを中心に調査します。調査後に見積書提出となります。
②測量準備
現地状況の確認、取得した資料に基づいて測量計画を立てるための準備を行います。
隣接する土地の所有者、もしくは行政の担当者に連絡します。
測量を行う旨の事前説明を行い、立ち会いなどの了承を得てアポ取りという流れで進行します。
③現地測量
実際に現地の測量を行います。
④現地立ち合い
土地所有者、隣接地所有者、道路・水路などの公共用地管理者など、すべての関係者立会いのうえで、境界ポイントについて確認を行います。
⑤境界確定
すべての関係者立ち合いのもと、境界を確定させます。
⑥境界杭設置
既に境界杭があり、その杭の位置で問題なければそのままですが、境界杭の破損や新たに設置する必要がある場合は、現場に適した方法でコンクリート杭や金属標などで改めて境界杭を埋設します。
⑦確定測量図作成
確定した境界をもとに、境界確認書などの境界立会に関する書類、確定測量図の作成、登記申請書の作成を行います。
境界確認書(筆界確認書)は売主と隣接地所有者が1通ずつ所有します。
⓼登記
土地の面積が確定しましたので登記を行います。
登記することで登記簿謄本に記載されている面積と確定測量図が一致することになります。
確定測量の期間は、1カ月半から3カ月以上かかる可能性があります。
とくに、先述したように官民立ち合いがある場合や隣接地の所有者が承認しないなどの場合は、期間が長くなる可能性があります。
まとめ
普段住んであるだけでは測量する必要は無いでしょう。
ただいったん売却するとなると、確定測量図は必要になります。
確定測量図が無いと、新しく確定測量してその図面(確定測量図)を作成する事となりますが、そんなときは、まずは信頼できる不動産会社への相談をおすすめします。
地元の不動産会社は地域のその地域性に詳しく、土地のことに詳しいものです。また専門知識を豊富に持っているため、測量するときの注意点もわかりやすく教えてくれて、確定測量以外の不動産に関する相談にものってくれるはずです。
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