【不動産売却】決済日(物件の引き渡し時)に必要な書類と取得方法
更新日2020-07-29 (水) 17:15:45 公開日2018年12月21日
決済日(物件の引渡し時)に必要となる書類(もの)とその取得方法をお話する前に、不動産売却にとって、とても大切な売買契約締結や、決済日について少しだけご案内します。
不動産(戸建て・マンション・土地)の売却を開始して、買主さんが見つかったら、「売買契約」を結びます。
売買契約締結時には、宅地宅建取引士により、重要事項の説明をおこないます(宅建業法35条)
売主さんと買主さんの双方が、署名・捺印し、買主さんから手付金が支払われます。
売主さんは、(実印・印鑑証明・身分証明書)と、できれば権利証が必要です。
売買契約締結後は、決済日(物件の引き渡し)へと進みます。
当日は、司法書士も立ち会います。
司法書士により、抵当権抹消(売主さんが住宅ローンを一括完済した場合)や所有権移転登記(不動産の所有権を売主さんから買主さんへ移転する手続き)の手続きがおこなわれます。
決済日(物件の引き渡し)は、一般的には、買主さんが融資を受ける銀行で行われます。
買主さんより売主さんへ残代金が支払われます。
✿決済日とは
手付金以外の残代金を買主から売主へ支払う日のことです。
同時に細かい費用の清算が必要になります。
(売主さんの諸費用清算)
・税金などの清算
・不動産業者へ仲介手数料の支払い
・司法書士へ報酬支払い
・住宅ローン返済
✿物件引き渡しとは
売主さん所有の家具等、すべての私物を撤去し買主さんに引き渡すことです。
売買契約締結日から決済日(引き渡し)までの期間は、1.5カ月〜3カ月後になるのが一般的です。
ある程度の時間はありますが、決済日(引き渡し)までに、売主さんが準備しなければならない書類がたくさんありますので、ここでは、そのタイミングで必要となる書類(物も含みます)とその取得方法についてご案内します。
ただ、今回ご説明する書類は、すべて必須ということではありません。
必要書類は、次のように分かれます。
◩必須書類
必ず準備しなければいけない書類です。
◩状況により必要な書類
不動産の種類(戸建て・マンション・土地)によっても多少異なります。
更に、売主さんや物件の状況、あるいは、不動産業者によっても、準備する書類が異なる場合もあります。
◩あればより良い書類
準備されていると、買主側が物件を選ぶときの効果的な判断材料になります。
はじめに、必須となる必要書類についてのご案内です。
🌻本人確認書類
一般的には、運転免許証やパスポートが使用されます。
売主さんが不動産の所有者本人であることを確認するために必要です。
🌻実印・印鑑証明書
実印登録済みの印鑑及び実印登録を証明する書類として印鑑証明証が必要です。
登記関係書類への押印のために必要となります。
印鑑証明証の有効期限:発行から3カ月以内
▶印鑑証明書の取得方法
取得先(印鑑登録をした役所の窓口)
印鑑登録証または住民基本台帳カードによる印鑑登録カードの持参要
▶本人確認書類についての注意点
不動産の売買は、取引相手が本人かどうかを必ず確認します。
そのため、本人を確認するための書類はとても重要です。
もし、不動産の所有者が複数いらっしゃる場合、全員分の「本人確認書類・実印・印鑑証明書」を揃える必要があります。
すぐに連絡が取れない方がいらして、当日までに全員分が揃わないということにならないよう、早めに準備されることをおすすめします。
🌻銀行口座の通帳
不動産の売買金額(残金)は、大きなお金になりますので、一般的には、売主さんの口座へ振り込みされます。
そのため、銀行の振込先情報が必要となります。
🌻登記済権利書または登記識別情報
登記名義人がその物件の真の所有者であることを証明するものです。
法務局が登記名義人に対して交付します。
2005年(平成17年)3月に不動産登記法が改正され、インターネットでの登記申請ができるようになりました。
改正後は登記済権利書の代わりに登記識別情報が、書面申請もしくはオンライン申請で通知されるようになっています。
この書類は、司法書士に提出します。
登記の抹消手続きや買主さんに名義変更するための手続きに必要となる非常に重要な書類です。
▶登記識別情報の取得方法
🌻固定資産評価証明書
✿固定資産評価証明書とは
総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価した価格を市長が決定し、固定資産課税台帳に登録したものです。
この評価額は、不動産に課税される税金の計算根拠となります。
司法書士が所有権移転登記時に法務局に提出する必要な書類です。
🌻カギ
決済日(物件の引き渡し時)に、売却する不動産のカギを買主へ引き渡します。
ここからは、状況により必要となる書類または、あればより良い書類のご案内です。
🌻物件のパンフレットなど
購入時に入手した不動産のパンフレットです。
一般的にパンフレットには、物件の構造・築年数などの概要・設備の詳細・間取りなどが記載されています。
もしあれば、買主さんにお渡しすることで、有効な物件情報になります。
🌻建築確認済証・検査済証
この書類は、一戸建ての売買の際に必要となります。
再発行できない書類になりますので大切に保管されてください。
✿建築確認証とは
その物件が、建築基準法で定められた基準で建築されたものであるかを証明するものです。
✿検査済証とは
現地で実施された検査に適合した物件であることを証明するものです。
▶取得方法
どちらも市区町村の役所で取得可能です。
または検査をおこなった検査機関から交付されます。
🌻建築設計図書・工事記録書
✿建築設計図書とは
設計図面(その物件がどのように設計されているか)など、建築物の施工に必要な書類の総称です。
✿工事記録書とは
施工の工事項目に対するスケジュールや実績などを記録した書面です。
この書類は、必ず必要というわけではありませんが、設計や工事についての情報は、いずれリフォームをするときにも役立つ情報源となりますので、買主様の信頼を得るためには効果的です。。
▶取得方法
戸建新築の場合:設計事務所や施工会社から渡されます
中古物件の場合:前所有者から渡されます。
マンションの場合:管理組合や管理会社で保管されています。
🌻耐震診断報告書
✿耐震診断とは
既存の建築物で旧耐震基準で設計され、耐震性能を保有していない建物を、現行の構造基準
(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することです。
耐震診断については、売買契約締結時、重要事項として、不動産業者が買主さんに説明することが義務付けられています。
売却の方針によっても異なりますが、耐震診断を受けていない場合は、助成制度を設けている場合もありますので、市区町村の役所へ相談されることをおすすめします。
▶取得方法
戸建ての場合:耐震診断を受けている場合は売主さんが所有されています。
マンションの場合:管理組合または管理会社に耐震診断有無の確認をされてください。
🌻アスベスト使用調査報告書
耐震診断と同様、重要事項として、不動産業者が買主さんに説明することが義務付けられています。
アスベスト(吹き付け石綿)は、繊維が極めて細いため、措置を行わないと石綿が飛散して人が 吸入してしまうおそれがあります。
以前は保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、昭和50年に原則禁止さ れました。
古い住宅の場合、アスベスト使用の可能性がありますので、調査を行うことをおすすめします。
▶取得方法
建築物を施工した(建設業者・工務店)、住宅を販売した宅建業者に問い合わせをおこない、設計図書(建築時の施工図・材料表)などで確認します。
国土交通省:アスベスト対策Q&A
▶注意点
アスベストの使用が記載されていない場合や、何年か経って改修工事や補修工事をおこなった時に、アスベストが使用された可能性もありますので注意が必要です。
🌻地盤調査報告書
✿地盤調査報告書とは
地盤の状態を調査し、地盤の強さを示す地耐力を知ることができるものです。
この結果をもとに地盤補強が必要かどうかを判断します。
🌻住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
✿住宅性能評価書、既存住宅性能評価書とは
「住宅性能表示制度」という住宅の性能を、法律に基づいた一律の基準で評価したものです。
▶取得方法
全国の登録住宅性能評価機関に相談します。
🌻住民票または戸籍の附票
現住所と売却する不動産の登記住所が違う場合、住所の返還履歴の証明として必要になります。
状況により必要書類が異なります。
住民票の有効期限:発行から3カ月以内
住民票除票の保管期限:5年
🌻必要書類は専門家にチェック依頼を
必要書類はたくさんありますので、準備は大変です。
しかし、仮に必須ではないにしても、できるだけ多くの書類を準備することは、買主さんの効果的な判断材料となり、成約へと繋がる可能性が高くなります。
更に、のちのちのトラブルを避ける効果もあります。
スムーズに売買契約をすすめるためにも、不動産業者と相談しながら、できる限り多くの書類を余裕をもって準備されることをおすすめします。
また、必要書類は、決済日(引き渡し)に、まとめて持参しても良いのですが、準備できた書類は、''少しずつ不動産業者や司法書士に提出''されることをおすすめします。
信頼できる専門家にチェックしていただくことで、安心して当日を迎えられます。
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