不動産市況と2020年東京オリンピックの関係?!
更新日2020-07-11 (土) 23:13:13 公開日2019年1月19日
2020年 いよいよ東京オリンピックが開催されます。
56年ぶりとなる日本でのオリンピック開催ですね。
不動産市況について、いろいろと話しがありますが、東京オリンピック開催後(2020年以降)の日本は、いったいどのように変化するのでしょうか。
🎖日本でのオリンピック開催
▶(1964年)東京オリンピック
1964年に開催された東京オリンピックを振り返ると、開催後の約1年間、日本は「オリンピック不況」に陥りましたが、その後すぐに活気を取り戻し、オリンピック開催から4年後の1968年には、日本のGNP(国民総生産)は世界第2位となるまでに成長しました。
その後も高度経済成長は続き、不動産価格も上昇し続けました。
このことから、「土地の価格は決して下がることがない」という“土地神話”が喧伝され、この状況は1991年にバブルが崩壊するまで続きました。
▶(2020年)東京オリンピック
今回の東京オリンピックはどうでしょうか。
オリンピック開催に向けて、晴海エリア(東京都中央区)には選手村が作られており、オリンピック後にはおよそ6000戸規模の住宅エリアになるプランが決まっています。
その他の湾岸エリアも、オリンピック開催に向けて、高層タワーマンションの建設計画が次々と立てられています。
その数は、およそ1万戸にも及ぶとみられます。
🎖現在、東京の不動産価格は上昇しているが、オリンピック開催まで持たない?
現状として、2020年の東京オリンピック開催や、日銀の大胆な金融緩和による円安などを背景に、海外の投資家が、東京の不動産を購入しています。
そのため、今後1〜2年は日本国内の不動産価格上昇が予想されています。
中でも中国の投資家の影響で、東京のマンション価格は過去2年間で約11%上昇しています。
中国の投資家は、これまで東京や大阪といった都市部の不動産見学ツアーなどにも積極的に参加していました。
中国の投資家は、2008年の北京オリンピック開催時に北京エリアの不動産価格が高騰したことから、2020年東京オリンピック開催時も東京エリアの不動産価格が上昇すると見込んでおり、将来の値上がりを期待して不動産を購入しています。
しかし、2012年のロンドンオリンピック開催後、イギリス政府は、「オリンピック開催と不動産価格は関連がない」と結論付けています。
現在、東京の不動産に投資をしている投資家も、ロンドンオリンピックの事例があるため、東京オリンピック開催前に売り抜ける可能性があると言われています。
そうなってしまえば、今上昇している不動産価格は、オリンピック開催を待たずに下落するかもしれません。
🎖2022年問題(生産緑地)
✿2022年問題とは
生産緑地(農業を継続することを条件に固定資産税・相続税等の税務上のメリットを受けることのできる農地)の8割が2022年に指定解除となり、都市部にある生産緑地が宅地として大量に市場に供給されるという問題といいます。
都市部をはじめ、全国各地に、生産緑地として指定されている農地があります。
全国合わせると、その土地の広さは、東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積の約135個分です。
それだけの広さの土地(農地)が、(宅地)となり、大量に市場にでてくることになります。
その結果、とうぜん土地価格は間違いなく値下がりします。
🎖2025年問題(少子高齢化)
現在は、オリンピック開催効果などを背景に、東京に人口が流入していますが、これも2020年にはピークに達して、その後は徐々に東京の人口は減少すると予測されています。
また、バブルの時代に住宅を購入した、いわゆる「団魂の世代(1947年から1949年生)」の人々が、東京オリンピック開催の前年の2019年には70歳、2025年には75歳以上となり、日本の人口の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化社会になります。
団魂世代の多くが、東京の郊外や埼玉、千葉、神奈川のベッドタウンなどに住宅を購入し、生活を営んできました。
そうした郊外の街から急激に人口が減っていく可能性が高いのです。
住む人がいなくなった戸建てが増え、入居者が減ったマンションで管理が滞り、街全体が荒れてしまうことも考えられます。
人口減少が続く地方都市では、すでに不動産価格が下落しているところが多数あります。
東京オリンピックの選手村の跡地には6000戸規模のマンションが建設される予定ですが、2020年以降に始まる人口減少で、住宅が供給過剰となり、都内の不動産価格が下がる可能性も十分にあります。
🎖空き家問題
総務省の「住宅・土地統計調査(2013年度)」によると全国の空き家の数は820万戸あり、総住宅戸数の13.5%でした。
中でも、東京の空き家の数は約81万7000戸で、すでに全国で一番多い状態です。
また、先ほどお話した団魂世代の人たちが、これまで住んでいた家を出て、老人ホームなどの施設や病院などの医療機関に入ることが予想されており、ますます空き家が増えていくと考えられています。
仮に、これまで住んでいた家を子供たちに相続したとしても、そこに住むことは多くありません。
その結果、中古の不動産がどんどん増えていき、不動産価格は間違いなく値下がりします。
🎖金利の上昇が不動産価格にも影響
日銀の国債買い入れなどで、現在の日本の金利は非常に低く抑えられています。
しかし、今後、東京オリンピック開催などによる経済効果でインフレが進み、日銀が政策目標とする「インフレ率2%」が達成されると金融緩和を続ける必要はなくなります。
そうなれば、金利の上昇局面を迎えることになります。
日本の国債が信用を失い、国際価格の下落が金利上昇を招く可能性もあります。
この場合は、好景気や政府、日銀による政策的な金利上昇ではなく、「意図せざる」金利上昇となり、ハイパーインフレを引き起こして景気動向や不動産価格に深刻な影響をもたらす可能性があります。
こうした金利上昇が2020年の東京オリンピック前に起きるのか、後になるのか、どの程度の上昇になるのかは予測できません。
いずれにせよ、金利が上昇すると住宅ローンの金利も上がるため、ローンを組んで戸建てやマンションを購入する人が減ります。
こうなると不動産業者も販売価格を下げたり、用地の仕入れを抑え、供給を減らしたりすることになり、不動産価格は下がらざるを得ません。
🎖オリンピックが開催されるから不動産市況に影響がでるの?
現在、東京は、オリンピック開催決定により、世界から高い注目を集めており、東京の不動産価格は上昇しています。
しかし、オリンピック開催後は、今回ご案内したように良い状況とは言えません。
ただ、「オリンピック後」という表現をされていますが、オリンピックが開催されるからということが原因そのものではなく、同じタイミングで2020年以降にさまざまな問題があるから、そのような表現をされるのかもしれません。
では、東京オリンピックは関係ないのかと言うと、オリンピック開催に向けて、公共投資が活発になっているのは確かです。
そして、オリンピック後は、それらがなくなりますので、景気への影響はないとは言えません。
どちらにしても、2020年以降の不動産市況は、一時的ではなく、景気が後退するのかどうかを見極めることが重要になってきます。
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