譲渡所得と10年超長期所有軽減税率の特例を理解しよう!
更新日2020-07-11 (土) 23:18:03 公開日2019年7月10日
居住用不動産(マイホーム)を譲渡(売却)した時の税金対策として特例制度があります。
ここでは、その特例の1つである「10年超長期所有軽減税率の特例」についてご案内します。
✿譲渡所得とは
譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にはなりません。
もう少し細かく説明すると
「譲渡収入(土地や建物を売った金額)」から「取得費(土地や建物を取得した時の金額)+譲渡費用(売ったときにかかった費用)」を差し引いたときの利益(譲渡益)ということです。
(参考)No.1440譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)国税庁
利益(譲渡益)がでた場合、所得税・住民税が課税対象となります。
利益(譲渡益)がでなかった場合は、課税されません。
さらに2013年から2037年まで所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課税されます。
🏠計算方法
▶譲渡所得の金額<課税譲渡所有金額>の計算方法
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
▶譲渡所得に対する税金の計算方法
次の3つの計算式の金額合計になります。
①所得税=譲渡所得×所得税率
②住民税=譲渡所得×住民税率
③復興特別所得税=所得税×2.1%
🏠所得税と住民税の税率
譲渡所得にかかる税率は、譲渡した不動産を所有していた期間によって異なります。
「短期譲渡所得」:売却した不動産の所有期間が5年以下のとき
30%(所得税率) 9%(住民税率)
「長期譲渡所得」:売却した不動産の所有期間が5年を超えるとき
15%(所得税率) 5%(住民税率)
🏠10年超長期所有軽減税率の特例
▶特例の内容
長期譲渡所得(譲渡年の1/1時点の所有期間が10年を超えている場合)で、譲渡所得が6.000万円以下の場合、長期譲渡所得の税額を、通常の場合よりも低い税率で計算する「10年超長期所有軽減税率」の特例を受けることができます。
とてもメリットが多い特例です。
適用前の長期譲渡所得税率:(所得税)15%、(住民税)5%
適用後の長期譲渡所得税率:(所得税)10% (住民税)4%
ただし、譲渡所得が6.000万円超の税率は、適用前と同様です。
(参考)No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 国税庁
▶適用を受けるための要件
①日本国内にあるマイホームの家屋または家屋とともにその敷地を譲渡(売却)すること
②住んでいない場合は、住まなくなってから3年目の12/31までに譲渡(売却)すること
③譲渡(売却)した年の1月1日において、家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
④譲渡(売却)した年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと
⑤譲渡(売却)した家屋や敷地について、他の特例を受けていないこと
⑥親子や夫婦など特別の関係がある人に対して譲渡(売却)していないこと
▶ポイント
この特例の大きなポイントは、居住用財産を譲渡した場合の3.000万円特別控除の特例と併用可能という点です。
3,000万円特別控除の特例は、所有期間に左右されないため、10年超所有軽減税率の特例と併用が可能なのです。
このことにより、10年超所有している場合は、大きく税金が減らせることになります。
10年超の所有期間であれば、3,000万円控除を適用したうえで、譲渡所得6,000万円以下の部分については、合計で6%以上も税金の軽減が受けられ、大変な減税効果といえます。
▶注意点
①不動産の譲渡所得については「譲渡の特例」を含めて所有期間譲渡した年の1月1日時点で判断することになります。
②住宅ローン控除や特定居住用財産の買換え特例との重複適用は受けられません。
③10年超所有軽減税率の特例の適用を受けるためには、売却した翌年の確定申告を行う必要があります。
(確定申告時の必要書類)
・売却した不動産の売買契約書類
・売却した不動産購入時の売買契約書類
・仲介手数料や印紙税など諸費用の領収書
・売却した不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
・住民票の写し
🏠不動産を売却して損失が出た場合
譲渡所得は、土地、建物などの資産を譲渡(売却)することによって生ずる所得(利益)をいいますので、損失が出た場合は当然課税はありません。
不動産所得や事業所得は損失が出てしまった場合、一定のルールのもと給与所得などの別の所得と相殺されます。
しかし、不動産の譲渡については、特殊な場合を除き損失を別の所得と相殺することはできません。
ただし、同年に複数の不動産を売却し、その中に利益がでたものと損失がでたものがあった場合は、それらを相殺することは可能です。
🏠まとめ
税金は少しでも安くしたいものです。
減税される特例制度もたくさんあります。
減税される特例制度を理解しているかどうかで、大きく異なってきますので、所有している不動産(売却予定の不動産)の状況に応じて、税金やその税金に対する特例制度の仕組みを理解しましょう。
もし、どの特例制度を適用したほうがいいのかわからない、または判断が難しいという場合は、正しく理解するためにも、管轄する税務署または税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。
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