不動産取得税・固定資産税と各特例(軽減措置)を理解しよう!

更新日2020-07-11 (土) 23:18:33 公開日2019年11月11日

①地方税

地方における行政府が課税し、地方における行政府に対して納付する税金を地方税と言います。
ここでは地方税のうち不動産取得税と固定資産税、及びそのそれぞれの特例(軽減措置)について解説します。

★目 次★【地方税(不動産取得税・固定資産税)と各特例(軽減措置)を理解しよう!】


不動産取得税について

②地方税①

✿不動産取得税とは

不動産(土地・建物・区分建物など)を取得した時に、一度だけ課せられる税金です。
※区分建物:一棟の建物のうち構造上区分されている部分で、独立して住居等の用途に使用できるもの(不動産登記法第2条第22号)具体的には分譲マンションの各住戸が該当します。
その不動産が所在する都道府県に税金を納める(都道府県税=地方税)になります。

1.納税方法

納税方法(課税方法)は普通徴収になります。
普通徴収とは、各都道府県から取得者に納税通知を送付し、納税通知に従い納税義務者が各都道府県に納税する方法です。
取得後6カ月〜1年半くらいの間に各都道府県から「納税通知書(納付書)」が届きます。
これを使用し、金融機関で納付します。

2.課税対象となるもの

不動産(土地・建物・区分建物など)の「売買・新築・贈与・増改築・交換」などが課税対象となります。※増改築は価値がアップしたということで課税対象となります。

登記の有無は無関係

不動産取得税は、あくまで法人、自然人に限らず実体的に不動産を取得した人に課税されるため、登記申請をしたかどうかは関係ありません。
登記申請をしていなかったとしても不動産を取得した人に課税されます。
たとえば、増改築した部分が未登記だったとしても税金はかかってきます。

贈与の場合は、贈与税と不動産取得税の両方が課税される

たとえば、土地を贈与でもらった(贈与を受けた)場合、贈与税はもちろんかかりますし、その土地を取得したことになりますので、不動産取得税もかかってきます。

不動産を取得した全ての人に課税されます

自然人(個人)だけでなく法人にも課税されます。

課税されないケースとは

不動産を相続して取得した場合、または法人の合併の場合は課税されないことになっています。

3.課税標準

税金の基本の計算式は、「課税標準額×標準税率=税額」です。
この「課税標準」は、役所の固定資産税台帳の価格になります。

免税点

次の場合は、免税になります。
土地:10万円まで
家屋の新築増改築:23万円まで
売買・交換・贈与などで家屋を取得した場合:12万円まで
これらの価格は課税されません。

4.標準税率

納税額は取得した不動産の価格と、その時期の標準税率によって計算されます。
前述したように、税金の基本の計算式は、「課税標準額×標準税率=税額」です。
・課税標準:固定資産台帳価格
・標準税率:住宅・土地(3%)/ 店舗・事務所(4%)
原則4%とされていますが、2021年3月31日までに取得した住宅と土地にかかる税率は特別措置により3%に引き下げられています。

不動産取得税の特例(軽減措置)

③軽減措置

取得時期や不動産の種類によって、特例措置や軽減措置を受けられる可能性があります。
不動産取得税の軽減にかかる控除額などについては、各都道府県によって若干の相違がありますので、詳細は不動産所在の各都道府県税事務所にご確認下さい。

一定の新築住宅または中古住宅を取得した時の課税標準の特例

「一定」とは
・住宅の床面積が50㎡以上240㎡以内であること
・中古住宅の場合は耐震基準に適合するものであること
上記に該当する場合は、課税標準が軽減されます。

◎新築住宅であれば、価格から1,200万円を控除

「(課税標準額-1,200万円)×3%=不動産取得税額」

◎中古住宅(新耐震基準適合)であれば、価格から1,200万円を上限(築年数による)に控除

「(課税標準額-控除額)×3%=不動産取得税額」
控除額(東京都)は次の通りです。
※控除額は自治体により異なります。

④控除額

なお、中古住宅取得の際、土地も取得した場合は、住宅が軽減の要件を満たす場合に限り土地にも軽減制度を適用することができます。

◎軽減の内容

新築住宅の軽減措置と同じです。

◎軽減の要件

①住宅より先に土地を取得した場合は土地を取得した人が取得日から1年以内にその土地の上にある住宅を取得していること
②住宅より後に土地を取得した場合は住宅を取得した人がその取得後1年以内にその敷地を取得していること

宅地(土地)の課税標準が2分の1となる特例

※2分の1特例は2021年3月31日までの適用

土地の不動産取得税の計算方法

「課税標準額×2分の1×3%-軽減額(控除額)=不動産取得税」
軽減額は次のうち多い金額が軽減されます。
◎45,000円
◎「a×b×3%」
 a:1㎡あたりの土地の価格×2分の1
 b:住宅の床面積×2

買取再販で扱われる住宅の取得などに係る特例措置

宅建業者が改修工事対象住宅を取得して販売する場合その不動産取得税が軽減されるという特例です。
宅地建物取引業者は業務として、こういうものを取得し販売している訳ですので、このような不動産取得税の軽減措置があります。
控除額は以下の通りです。

⑤買取再販控除額

詳細についてはこちらをご確認ください。
国土交通省:買取再販で扱われる住宅の取得等に係る不動産取得税の特例措置pdf

不動産取得税・まとめ

⑥新築軽減措置まとめ

⑦中古住宅軽減措置まとめ

固定資産税について

⓼固定資産税

✿固定資産税とは
土地や家屋などを所有している者が、それが所在する市町村に税金を納める市町村税(地方税)です。

前述した不動産取得税は、地方税(都道府県税)で土地や家屋(不動産)を取得した時に一度だけ納める税金でしたが、固定資産税は地方税(市町村税)となり、持っている限り毎年税金を納めることになります。

1.固定資産税の納税方法

マイホームを持っていると毎年課税される固定資産税。その税額のもとになるのが「固定資産税額」(通称「固定資産税評価額」です。
固定資産税の納税方法(課税方法)は普通徴収になります。
各市町村から毎年1月1日に所有者として登記・登録されている者に納税通知を送付。納税通知に従い納税義務者が納税する方法です。

2.固定資産税の課税対象となるもの

固定資産を保有している事実に対して税金が課せられます。
固定資産とは、土地・家屋及び償却資産(事業用資産の一種)を言います。

3.固定資産税の課税標準

固定資産税の課税標準も役所の固定資産税台帳の価格になります。

価格の見直し

この価格は3年に一度見直しされます。
ただし、地目変更、家屋の増改築などの場合はその時点で価格の見直しが行われます。

利害関係者は台帳の閲覧、証明書交付の申請

利害関係者は台帳の閲覧、証明書交付の申請ができます。

免税点

次の場合は、免税になります。
土地・建物・償却資産それぞれの課税標準の合計が次に満たない場合は課税されません。
土地:30万円
建物:20万円
償却資産:150万円

4.固定資産税の税率

税金の基本の計算式:「課税標準額×標準税率=税額」
・課税標準:固定資産台帳価格
・税率:1.4%(自治体で異なる税率を定めてもOKとなっているが一般的には1.4%)

固定資産税の課税標準の特例

住宅用地の特例です。

・200㎡以下の部分(小規模住宅用地)の 納税額は6分の1になります。
6分の1減額されるのではなく6分の5減額されるということです。

・200㎡を超える部分(その他の住宅用地)の納税額は3分の1になります。
3分の1減額されるのではなく3分の2減額されるということです。

たとえば、250㎡の土地の上に建物(住宅)が建っていた場合、200㎡までは6分の1になり、残りの50㎡は3分の1の税額になります。

固定資産税の納税額の特例

新築住宅で「床面積が50㎡以上280㎡以下」「居住部分の割合が全体の2分の1以上(併用住宅)」のとき、
一定期間「3年間(3階以上の中高層耐火建築物は5年間)」、一定範囲:「床面積120㎡以下の部分のみ」で納税額が2分の1に減額されます。
つまり、上記に該当する場合は、新築住宅を建てると3年間は納税額が半分に減額されるということです。

固定資産税の税額減額措置の拡充

長期優良住宅の認定を受けて改修されたことを証する書面を添付して市町村に申告すれば、改修工事が完了した翌年度分に限り固定資産税の税額減額幅が3分の2に減額されます。
3分の1になるということです。
減額制度により住宅は固定資産税が大きく軽減されますが、長期優良住宅は一般住宅に比べ、さらに減額内容が優遇されます。長期優良住宅の固定資産税の減額措置の概要、および軽減額の算定例については別頁で紹介します。

☛ 長期優良住宅の固定資産税優遇制度の解説

固定資産税の軽減措置は建物によって適用する特例が異なる

併用住宅では、5階建て以上の耐火建築物であるか、4階建て以下の耐火建築物またはそれ以外の建物であるかによって適用される固定資産税の特例が変わります。

5階建て以上の耐火建築物の併用住宅

5階建て以上の建物で、耐火建築物である場合は、下記の特例措置が受けられます。

・居住部分以外の併用スペースが総面積の4分の1以下の場合…専用住宅の土地と同じ特例
・居住部分以外の併用スペースが総床面積の4分の1超、2分の1以下の場合…4分の3が軽減対象
・居住部分以外の併用スペースが総床面積の2分の1超、4分の3以下の場合…2分の1が軽減対象

4階建て以下の耐火建築物とそれ以外の併用住宅

4階建て以下の耐火建築物である併用住宅とそれ以外の併用住宅では、下記の特例措置が受けられます。

・居住部分以外の併用スペースが2分の1以下の場合…専用住宅の土地と同じ特例
・居住部分以外の併用スペースが2分の1超、4分の3以下の場合…2分の1が軽減対象

このように、5階建て以上で耐火建築物である併用住宅とそれ以外の併用住宅では、受けられる特例措置が変わります。また、特例措置を受ける際は、住宅用地の認定を受けていれば特別な申請は必要ありません。

併用住宅を検討する際は、固定資産税の軽減措置も併せてチェックしましょう。

併用住宅にはさまざまな種類があり、その種類や総床面積に占める併用スペースの割合、建物の種類によって、適用される固定資産税の軽減税率の計算方法などが異なるのです。

耐震建て替えに関する軽減措置

耐震改修に関する特例処置

【所得税の投資型減税(住宅ローンの借入れの有無にかかわらず利用可能)】
旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)により建築された住宅を現行の耐震基準(昭
和56年6月1日以降の耐震基準)に適合させる耐震改修を行った場合について、当該耐震改修に係
る標準的な工事費用相当額(上限:250万円)の10%がその年分の所得税額から控除されます。

詳細は ☛ 耐震改修に関する特例処置【国土交通省HP】へ

省エネ改修に関する特例措置

個人が、自己の居住の用に供する家屋について一定の省エネ改修工事を行った場合において、工事費相当
額の10%をその年分の所得税額から控除します。
(注)投資型減税、ローン型減税、住宅ローン減税のいずれか選択制となります。

詳細は ☛ 省エネ改修に関する特例措置【国土交通省HP】へ

注意)特例(軽減措置)については、税改正等で変更になる場合があります。

タワーマンションに対する固定資産税(都市計画税)の見直し

⑤タワーマンション税制改正

タワーマンションについては、平成29年、30年に固定資産税の税制改正が行われています。
タワーマンションに対する固定資産税(都市計画税)の見直しということで、高層階になればなるほど低層階より固定資産税が高くなるという改正です。
財務省:3 居住用超高層建築物に係る課税の見直し

タワーマンションというのは同じ80㎡の床面積で間取りも同じだったとしても、5階と30階では購入価格が違います。
当然、上の階になるたびに高くなっていきます。
それを税額に反映しようというのがこの改正です。

区分所有家屋の各部分の固定資産税(都市計画税)

原則:各区分所有者の持分割合で案分
例外:タワーマンション(居住用超高速建築物:高60m超の建築物のうち複数階に住戸が所在している物)の場合、階層別専有床面積補正率等により補正する。
上の階は補正した税率で修正するということです。

これにより
・タワーマンション一棟全体の固定資産税は改正されていないため高層階ほど固定資産税が高くなる・
・不動産取得税、都市計画税についても同様の改正となる
・階層別の補正率は1階を100とし1階増すごとに10/39を加えた数値がかかってくる

タワーマンションは固定資産税・都市計画税・不動産取得税もすべてこの考え方となります。

固定資産税の税額減額措置の拡充

長期優良住宅の認定を受けて改修されたことを証する書面を添付して市町村に申告すれば、改修工事が完了した翌年度分に限り固定資産税の税額減額幅が3分の2に減額されます。
3分の1になるということです。
減額制度により住宅は固定資産税が大きく軽減されますが、長期優良住宅は一般住宅に比べ、さらに減額内容が優遇されます。次のページでは、長期優良住宅の固定資産税の減額措置の概要、および軽減額の算定例について紹介します。

☛ 長期優良住宅の固定資産税優遇制度の解説


注意)特例(軽減措置)については、税改正等で変更になる場合があります。

関連する制度

長期優良住宅の補助金や他の優遇制度などにはいったいどのようなものがあるでしょう。
一覧にしました。

次世代住宅ポイント制度(新築住宅)
※原則、消費税率10%で新築住宅を取得する方で、一定の省エネ性または耐震性等を満たすなどの場合、様々な商品等と交換できるポイントが発行されます。

●すまい給付金

※消費増税による住宅取得の負担軽減として給付金が支給されます。最大50万円

●2019地域型住宅グリーン化事業

※長期優良住宅や低炭素住宅といった省エネルギー性能等に優れた木造住宅を、主に新築する場合に補助金が交付されます。
最大50~140万円/戸

●2019ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業

※使うエネルギーと発電するエネルギーがほぼ同じであるZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)を取得、または、ZEHへ改修する場合に補助金が交付されます。
70万円~/戸

●2019エネファーム設置補助

※家庭用燃料電池システム「エネファーム」を住宅等に導入する場合に、補助金が交付されます。
最大8万円+α

●2019長期優良住宅化リフォーム補助金

※「耐久性があり、地震に強く、省エネ性が高く、維持管理がしやすい」長期優良リフォーム済みの住宅を購入する場合に補助金が買主に還元されます。
最大100万円~300万円/戸

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