不動産売却時の税金・印紙税とその納付方法、節税方法

更新日2020-07-11 (土) 23:19:08 公開日2018年10月23日

不動産売買契約書

特記
不動産売却に関する売買契約書等に係る印紙税の税率の特例処置の適用期限が延長され2020年3月31日までになりました。



不動産を取得する場合、印紙税・登録免許税・不動産取得税が課されます。

また、不動産を贈与により取得する場合は贈与税が課され、相続により取得する場合は被相続人の残した財産の金額によって相続税が課される場合もあります。

ここでは、まず印紙税について解説します。

★目 次★


不動産売却時の印紙税

画像の説明

印紙税は、印紙税法で定められた課税文書に対して課税されます。

不動産を売却するときの印紙税は、不動産の売買契約書に記載された売買金額や住宅ローン利用の際の契約書(よく金銭消費貸借契約証書等と言っています)に記載された貸借金額に応じて課される税金です。

原則として契約書1通ごとに収入印紙を貼付し、消印することによって納税します。
尚、印紙税は国税となります。

不動産売却に関する売買契約書等に係る印紙税額

不動産売却に関する売買契約書等に係る印紙税は軽減措置の対象となり印紙税の税率は下表のとおりとなります。
【軽減後の税率】

契約金額本則税率軽減税率
1万円未満非課税非課税
10万円以下200円200円
10万円を超え 50万円以下のもの400円200円
50万円を超え 100万円以下のもの1千円500円
100万円を超え 500万円以下のもの2千円1千円
500万円を超え1千万円以下のもの1万円5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの2万円1万円
5千万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え 10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え 50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円


印紙の消印の方法

印紙を消す方法は印章又は署名によることになっていて(令第5条)、消印は印章でなくても署名でもよいとされています。

但し、消印は該当する文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています(法第8条第2項)。

この方法は消印が印紙の再使用を防止するためのもののための処置なのです。

署名は自筆によるのですが、その表示は氏名を表すものでも通称、商号のようなものでも構いません。

しかし、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たりませんから、消印したことにはなりません。

また、印紙は判明に消さなければならないこととされていますから、一見して誰が消印したかが明らかとなる程度に印章を押し又は署名することが必要であり、かつ、通常の方法では消印を取り去ることができないことが必要です。

(参考)国税庁:印紙の消印の方法


印紙税は節約できる?

①節税

不動産売買契約書は売主買主双方用として通常2通契約書原本を作成しますが、原本1通のみとすることも可能です。

印紙税は原則として契約書1通ごとに収入印紙を貼付し、消印することによって納税しますから不動産売買契約の場合、契約書原本を一通作成し、もう一通は単なる控えとしての複写(コピー)とすることによって節約可能となります。

ただし、複写(コピー)についても、契約当事者の直筆の署名押印があるものなどについては、契約の成立を証明する目的で作成された文書であると解されるため、原本と同様に課税文書に該当しますので、注意が必要です。

通常買主側は原本を持つ必要があります。

しかし売主側は複写(コピー)でもその後の事項に契約書原本である必要はないため、このようなことが可能なのです。

当然に契約書原本は印紙を貼付し消印することによって税を納める必要があります。

印紙税は、売主と買主が連帯して納付する義務があるので折半にしましょう。

また契約内容を巡って訴訟になったときには少々リスクがあることを認識しておきましょう。

この方法はよく任意売却時に採用されている方法です。

単なる控えとするための写、副本、謄本等は、原則として課税文書にはなりませんが、写、副本、謄本等であっても、契約当事者の双方又は相手方の署名押印があるなど、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかである場合には、課税文書になります。

すなわち、印紙税は、契約が成立したという事実を課税対象とするのではなく、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものですから、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その2通以上の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであるならば、すべて印紙税の課税対象になります。

つまり、契約当事者の一方が所持するものには正本又は原本と表示し、他方が所持するものには、写し、副本、謄本などという表示をしても、

それが契約の成立を証明する目的で作成されたものであるならば、正本又は原本と同様に印紙税の課税対象になります。

(参考)国税庁:写、副本、謄本等と表示された契約書の取扱い


不動産売却時の売主から発行する領収書の印紙税

印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られ、通常の理解では商業取引に関連する文書に対して課税されるものとされています。

この課税文書は、第1号文書から第20号文書まであり、非課税文書に該当しないものは、原則印紙税の課税対象になります。

不動産を売却した領収書

不動産会社等が所有する不動産を売却した領収書には、印紙を貼らなければなりませんが、一般の個人が売主となりマイホームやセカンドハウスを売却する場合、発行する領収書には営業に関しない受取書として扱われるため印紙税は不要です。

マイホーム・セカンドハウス以外の不動産については、印紙税がかかる場合があります。

売上代金に係る金銭の受取書にも印紙税が課税されます。

ただし、マイホーム・セカンドハウス以外の不動産については、印紙税がかかる場合があるので、注意が必要です。

受取書(領収書)の印紙税額

契約金額本則税率
5万円未満非課税
100万円以下200円
200万円以下400円
300万円以下600円
500万円以下1,000円
1,000万円以下2,000円
2,000万円以下4,000円
3,000万円以下6,000円
5,000万円以下10,000円
1億円以下20,000円
2億円以下40,000円
3億円以下60,000円
5億円以下100,000円
10億円以下150,000円
10億円超200,000円
記載金額のないもの200円


印紙を貼り忘れたら売買契約書の効力は?

印紙を貼付し忘れても契約の効力には影響はありません。

しかし、印紙を貼らなかったり、消印を忘れていたりすると後日より多くの印紙税を納めなくてはならないので注意が必要となります。

不動産売却時の印紙税・まとめ

注記
平成30年4月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
詳細については最寄りの税務署にて確認してください。

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