登録免許税を減税するために必要な「住宅用家屋証明書」について理解しよう!

更新日2020-07-11 (土) 23:39:07 公開日2019年10月11日

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土地や建物といった不動産の売買を行う際には、所有権移転登記や抵当権設定登記などの登記申請が必要となります。

登記申請をする際には「登録免許税」という税金が発生します。

ただし、一定の要件を満たしている場合、この「登録免許税」の軽減措置を受けることができます。

軽減措置を受けるためには、一定の要件を満たしていることを証明するものが必要です。
それが、市区町村から発行される「住宅用家屋証明書」です。

この「住宅用家屋証明書」は一般的に売買の登記を担当した司法書士が取得するものです。
ただし、大変難しいとは思いますが、各登記を含め、すべての手続きを司法書士に依頼せず個人で全て行うことも出来ない手続きではありません。

ここでは、個人で「住宅用家屋証明書」を取得する場合の「要件・取得方法・どのくらい減税になるのか」等について解説します。

住宅用家屋証明書とは

個人が住宅を取得して自己の居住用としてその住宅を使用する場合、「登録免許税」の軽減措置の適用を受けるために登記(所有権保存・移転・抵当権設定)申請時に添付する証明書です。

こちらは様式の例です。
江東区住宅用家屋証明申請書及び住宅用家屋証明書見本

書面の名称は発行する各市区町村で異なり、「専用住宅証明書」や「登録免許税の減税証明書」などと呼ばれることもあります。

住宅用家屋証明書を添付したときのメリット

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登録免許税額は原則としてこの方法で計算します。
税額=課税標準×税率

登録免許税(課税標準および通常の税率)についてはこちらの記事をご確認ください。

通常税率及び軽減税率の比較

画像の説明

上記の比較を見ると、住宅用家屋の減税措置で税率が軽減されていることが分かると思います。
各登記申請時に住宅用家屋証明書を添付することで、登録免許税の税額が、数万円あるいは数十万円も変わってくる可能性があります。
とくに所有権の移転や抵当権の設定にかかる登録免許税の減税率は高くなりますので、要件が揃うのであれば住宅用家屋証明による減税措置を受けることをおすすめします。

ただし、住宅用家屋証明は無条件で取得できるものではありません。
ここからは、住宅用家屋証明書発行の要件について解説します。

住宅用家屋証明書発行要件

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住宅用家屋証明書発行の要件を要約すると次の通りです。

①購入した家屋の登記事項証明書に記載されている延床面積が50㎡以上あること。

②所有権の移転登記の場合は、当該家屋の建築後の年数が、木造及び軽量鉄骨造では建築後20年以内、鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリート造等では建築後25年以内であること(築年数は不動産登記簿の表題部を確認すればわかります)また、当該家屋の取得原因が売買、または競落であること。

③新築の住宅の場合は新築後1年以内、建築後未使用の住宅(建売住宅・分譲マンション)または建築後使用されたことのある住宅(中古住宅)の場合は取得後1年以内に登記を受けるものであること。

④個人が自己の居住の用に供する家屋であること。

⑤マンションなどの区分所有物の場合、建築基準法で定める耐火建築物、または準耐火建築物に該当していること。

⑥事務所、店舗等の併用住宅の場合は、当該家屋の床面積(確認図面、もしくは土地家屋調査士作成の「床面積の算定証明書」)の90%を超える部分が居宅であること。

これらの条件が該当するようであれば、住宅用家屋による登録免許税の軽減措置ができる可能性があります。

ここでは、6つの要件をあげていますが、厳密に言えばこの限りではありません。
また、内容はおおむね同じですが、各市区町村によって表記の仕方も多少異なりますので、詳細は当該物件所在の役所(市区町村)の担当部署窓口に問合せされることをおすすめします。

築年数の要件が満たない場合

『②所有権の移転登記の場合は、当該家屋の建築後の年数が、木造及び軽量鉄骨造では建築後20年以内、鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリート造等では建築後25年以内であること』

上記は、先ほど説明した住宅用家屋証明書発行要件の1つですが、仮に築年数の要件を満たさない家屋であっても、住宅用家屋の軽減措置が受けられる方法があります。
その方法は、一定の基準を満たした場合に建築士が発行する「耐震基準適合証明書」といった書類の取得です。

たとえば築年数が木造25年の家屋であれば、築年数の要件を満たしませんが、耐震基準適合証明書等を添付して申請したものについては軽減措置が受けられる可能性があります。

ただし、どういった家屋で軽減措置が受けられるというわけではありませんので、これも事前に詳細を確認する必要があります。

住宅用家屋証明の取得方法

取得先

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住宅用家屋証明は、当該住宅のある各市区町村の役所(建築課・市民税課など)で取得することができます。
担当する部署はそれぞれ異なる可能性がありますので事前確認が必要です。
ホームページで申請書類などの様式がダウンロードできる役所もあります。

場合によっては、建築士など専門家によって作成された書面の提出が求められることもありますので、住宅用家屋証明を受けるための必要書類の準備は余裕を持って行いましょう。

必要書類の提出手段と住宅用家屋証明書の交付期間

必要書類の提出手段も市区町村によって異なります。
郵送でも受け付けているとこともありますが、一般的には窓口に直接提出することが求められているようです。

また、住宅用家屋証明は、代理人(弁護士や司法書士など)を立てて申請することも可能です。
その場合は委任状が必要です。

住宅用家屋証明書の交付期間については、原則として必要書類を役所の窓口に提出した時点で即日交付されます。

住宅用家屋証明を取得するために準備するもの

住宅用家屋証明を受けるためには、各必要書類と申請にかかる手数料が必要です。
必要書類と手数料も各市区町村役場によって異なります。
事前に窓口やホームページで確認されてください。

一般的な申請料(手数料)は、1,000円~1,300円前後/件

必要書類については概ね次の通りです。
①住宅用家屋証明申請書
②住宅の所有者の住民票の写しまたは印鑑証明書
③登記事項証明書(新築未使用または既使用の場合)
④建築確認済証または検査済証(新築未使用の場合)
⑤家屋未使用証明書(未使用の場合)
⑥売買契約書または譲渡証明書、または登記原因証明情報(未使用、既使用の場合)

その他、住宅の種類や登記内容の種類(保存登記、移転登記など)によっても必要書類が変わってきますので注意が必要です。

注意点

ポイントとして、自分の住宅がどのような要件を満たし、どの登記を行うのかを見極めてから申請するということです。

住宅用家屋証明書や提出した必要書類は返却されない場合もあります。
必ずコピーをとっておきましょう。

確定申告

その理由は、住宅用家屋証明書は、登録免許税減税のためだけではなく、不動産取得税の手続きや確定申告などでも必要になるためです。
特に、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を取得した場合は、所得税の住宅ローン控除の手続きの際にも住宅用家屋証明書が必要になります。

住宅用家屋証明書は再発行ができません。
万が一紛失した場合は、再度申請手続きを行うことになります。
大切に保管して、紛失や破棄などがないように注意しましょう。

もし「住宅用家屋証明の取得(確認や手続き)を自分でするのは難しい…」と感じるようであれば、少しでも多く減税するためにも、行政書士や司法書士などの専門家に相談されることをおすすめします。

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