どちらの不動産業者を選びますか?!「大手VS地元業者(地域密着)」

更新日2020-07-11 (土) 23:40:36 公開日2018年12月28日

不動産の売却をする時、さまざまな注意点が必要ですが、その中でも、総合的に重要になるのは、不動産業者の選択です。

「不動産業者なんてどこでも同じじゃないの?」
そんなことはありません。
信頼できる不動産業者を選択することが不動産売却の重要なポイントになります。

また、不動産業者には、「大手」と「地元業者(地域密着)」があります。
その中で、それぞれ、たくさんの不動産業者が存在します。

不動産の売却を考えた時、あなたは、大手と地元業者のどちらを選びますか?

大手と地元

大手と地元業者は、それぞれ特徴があり、得意分野や考え方なども大きく異なります。
その点を理解した上で、選んで頂きたいと思います。

ここでは、大手と地元業者のそれぞれの特徴(メリット・デメリット)についてご案内します。

🌸大手と地元業者 どんなところがある?

▶大手

◩財閥系
三井不動産、住友不動産販売、三菱地所・・

◩信託銀行系
三井住友トラスト不動産、三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売、野村不動産グループ・・

◩電鉄系
阪急阪神不動産、京阪電鉄不動産、近鉄不動産、東急不動産・・

▶地元業者

◩地域の中小零細企業
○○不動産・・

◩フランチャイズ加盟店など
センチュリー21、ピタットハウス・・
テレビコマーシャルをしているところもあります。
フランチャイズ加盟している中小零細企業さんです。
集客のためにフランチャイズ加盟で看板を借りて営業しています。
母体は大きいです。
実際に営業しているのは中小零細企業です。

🌸情報の流通量の違い

結論から言うと、大手であっても、地元業者であっても、情報の流通量に大きな差はありません。

不動産業者と媒介契約を結ぶと、大手、地元業者いずれにしても、売却する物件情報をレインズ(指定流通機構)へ登録します。

✿レインズとは
宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構です。
全国に4法人(東日本、中部圏、近畿圏、西日本)が設立されており、それぞれの法人が担当する地域の不動産情報の交換業務等を行っています。

②レインズ(指定流通機構)

不動産業者がレインズに登録することで、全不動産業者にその不動産の情報が行くようになっています。

🌸大手と地元業者の相違点

▶大手

③大手特徴

①知名度

広告費に莫大な予算をかけて広告や、テレビ、ラジオのコマーシャルもしています。
大手の強みは何と言っても資金力、宣伝力です。
そのため、知名度は高く、“聞いたことがある・見たことがある”ということで安心感もあるのではないでしょうか。
大手の場合、知名度がいちばんのメリットと言えます。

②社員教育

社員教育が行き届いていて、一定レベルの仕事が期待できます。
大手の場合、二次、三次面接を通過して、入社したあと、何か月もかけて研修します。
研修で、最低限のビジネスマナーや不動産の知識、物件調査のノウハウなどを学んだあと営業に出ますので、一定レベルの不動産の知識やビジネスマナーなどは身に着けている方が多いと思います。

③コンプライアンス

かたすぎるくらいコンプライアンスを守っています。
不動産売却の取り引きが始まって終わるまで(終わってからも)、とにかくトラブルがないように、不動産の調査や買主様に説明しなければならない事項などを徹底的に調査します。

契約書類なども(作る人・調査する人・チェックする人)など、すべて別の独立した部門があり、それぞれでダブルチェック、トリプルチェックを経て、最後に責任者の押印をいただいて、ようやくお客様にだせるというような、かなり厳重なチェックがあります。
その点が地元業者と比べるとしっかりしています。

半面、少しでも社内規定に反することをやろうとすると、「それは出来ない」ということが多く、融通が利かないというのが特徴です。
最悪、そのことで不動産の取り引きまで至らなかったということも中にはあります。

④営業活動

全国区になりますので、とうぜん広範囲での営業活動となります。

⑤宅地建物取引士

✿宅地建物取引士とは
宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者です。
宅地建物取引業者(一般にいう不動産会社)が行う、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の取引に対して、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に法に定める事務(重要事項の説明等)を行う、不動産取引法務の専門家を言います。

大手の場合、ほぼ全員が宅地建物取引士の資格を保有しています。
コンプライアンスや社員教育に力をいれていますので、不動産の仕事をするにあたっては、必ず宅地建物取引士の資格が必要になります。

そのため全員にとらせるようにきっちり教育をしています。
教育というのは、強制的に指示するだけではなく社内で研修をおこなったり、勉強するための学校に通う費用を負担しているところもあります。

▶地元業者

⑤地元業者特徴

①知名度

特定の地域では知名度があります。
地域に根づいた活動をしています。
これは地元の不動産業者の良いところです。
地域を絞って、他社には負けないサービスを提供しているからです。

②社員教育

大手のようなしっかりとした教育というのはない場合もあります。
と言うのも、地元業者は、大手ほど時間とお金がさけません。
「先輩の背中を見て仕事を覚える、わからないことがあったら都度聞く」そういった感じで、ある程度お話ができるようになったら、営業に出すというケースもあります。

半面、大手のように看板がありませんので、営業マンは自分を信用してもらうしかありません。
お客様とお話をして
・自分の人となりを見てもらって仕事を任せてもらう営業マン
・中途採用でガンガンがんばっている営業マン
そのような営業マンは、意外に大手より優秀な場合があります

③コンプライアンス

コンプライアンスに甘い不動産業者もいます。
法令順守ということについては、本当に重要なこと以外は重視していない部分があります。
大手のように細かい部分までもこだわり、“1つのトラブルもないようにして不動産の取り引きを終える“というより、契約を優先します。

そのこともあり、いろんなことに融通が利きます
大手であれば稟議を通せないような内容でも、地元業者の責任者の決済がおりれば、契約まですすめるというのが特徴です

④営業活動

特定の地域に特化して営業活動を行います。
知名度とおなじく、これが地元業者の良いところであり、唯一の武器です。
大手と違い、その地域にしか拠点がありませんので、その地域内では他社に負けないサービスを提供しています。

また地元業者は下手なことができません。
小さに不動産業者は悪評がたったらすぐにつぶれてしまいます。
そのため、その地域の中で、信用を得られるような営業活動をおこなっていところが多いです。

ここでひとつ注意点です。
中には、地域密着ではない中小企業があります
地域密着でなければ、地元業者とは言えません。

どういったことかと言うと、広範囲なエリアでやっているのに、会社の規模は小さいという不動産業者です。
「あの地域もこの地域もやっています」と言っているのに1〜2店舗しかない。
このような不動産業者は、地域密着ではなく、場当たり的な広告をうち、ぽっと上がってきた案件を単発でやっていくような営業スタイルです。

たとえば、不動産の売却を考えている時、チラシ広告が入れば見られると思います。
大手の広告は、頻繁に入っていると思いますが、地元業者の広告もたまに入っているはずです。

その中で、「お客様(購入予定者)がたくさんいらっしゃいます。お電話ください。」というような内容のチラシが入っていたら、その不動産業者は該当している可能性が大きいです。
他に強みがないから、どうしてもそのような内容のチラシに偏ってしまうのです。
このような営業活動をしているのが特徴です。

そういった不動産業者は、サービスもあまり良くなく、営業マンのスキルも、そこまで高くないところが多いと思います。

⑤宅地建物取引士

地元業者の場合、5人に1人が保有している場合があります。

なぜ5人に1人かと言うと、「宅地建物取引士の設置義務」により、「事務所に設置すべき成年の専任の宅地建物取引士の最低設置人数は、事務所の業務に従事する者の数の5分の1以上である。」という決まりがあるためです。
とうぜん、もっと多い場合もありますが、その決まりがあるため最低でも法廷基準ギリギリの5人に1人は保有しています。

🌸仲介手数料

✿仲介手数料とは
住宅の売買や賃貸借の取引の際、売主と買主の間に入って意見の調整や契約事務などを行う不動産会社(仲介会社)に支払う手数料のことをいいます。

⑥仲介手数料

国土交通大臣の定める仲介業者の報酬額です。

▶両手取引・片手取引

片手取引 両手取引

◩大手

大手の場合、両手取引になる可能性があります

なぜなら、大手はたくさんの顧客をもっているという強みがあるため、自社の顧客から買主も探そうとします。
売主側と買主側の両方から仲介手数料を得ることが目的です。

両手取引の場合、不動産業者は買手側の立場にもたたなくてはならないため、売主側だけの味方になってくれない可能性があります。

更に、レインズへの登録をしない(売却物件の情報共有をしない)で、自社だけで売買を完結する可能性もあります。
これを「物件の囲い込み」と言います。
物件の囲い込みはルール違反ですが、残念ながら現実にあることです。

(L)囲い込み

◩地元業者

地元業者の場合、大手に比べると両手取引の可能性は少ないと思います。
大手のように、たくさんの顧客を持っているわけではないため、売主さんとの信頼関係のもと、売主側の立場に立って、売却活動をおこないます。

▶仲介手数料の値引き

宅地建物取引業法で、仲介業者は、「国土交通大臣の定める額を超えた報酬を受け取ってはならない」と規定されています。
つまり、この仲介手数料は、あくまでも上限であり、これ以下の手数料でも違法性はないということです。

大手と地元業者の値引き状況を比較してみると・・

⑦値引き

◩大手

大手の場合仲介手数料の値引きは期待できません。
なぜなら、営業マンのノルマが厳しく、給与の成果報酬率が高いということもありますので、営業マンも、なかなか簡単に値引きに応じることが少なくなります。

◩地元業者

仲介手数料の値引きに応じる不動産業者もあります。交渉の余地はあると思います。

▶仲介手数料値引交渉のタイミング

仲介手数料の値引交渉として「媒介契約の契約形態を交換条件にする」という方法があります。

この方法で交渉する場合、不動産業者との媒介契約前がベストタイミングです。
なぜなら、売主様の立場は、不動産業者と契約する前が最も強いからです。

不動産業者との媒介契約には3種類あります。

媒介契約

不動産業者は、専任媒介契約か専属専任媒介契約を取りたいと思っています。
そのため、「専任媒介で契約するから、仲介手数料を値引きして欲しい」と交渉します。
仲介手数料の値引きができないのであれば、他社の不動産業者に頼むという切り札もあります。

🌸選ぶポイント

▶大手を選んだ方が良い不動産

大手

◩エリア・人気物件
人気エリアにある物件やタワーマンションなど人気物件(ニーズがある物件)を売却する場合
理由:全国区で活動しているため、たくさんの購入予定者の目に留まらせることが可能

◩売却を急ぐ
売却価格は安くなったとしても、とにかく不動産を早く売りたいという場合
理由:広告活動や保有顧客数が多いため、スピーディーに購入予定者が見つかる可能性がある

◩土地が広い
土地や延べ面積が広い場合
理由:どうしても価格が高くなってしまうため、資金力のある買主を探す必要があるが、資金力のある買主は大手と取引する傾向があるため

▶地元業者を選んだ方が良い不動産

地元

◩エリア
物件が、郊外、田舎にある場合
理由:大手は、郊外、田舎の営業を強化してない傾向にあり、地元業者は地元の有力者とのパイプを持っている可能性があるため

◩売却価格重視
早く売れることより売却価格を重視する場合
理由:地元業者は、ゆっくり時間をかけて対応してくれるため

◩築年数が古い
築10年以上の物件を売却する場合
理由:大手は手数料を稼げない築年数が古い物件はあまり好まないが、地元業者は地域にあった売り方で取り組んでくれる可能性があるため

◩土地が狭い
土地や延べ面積が狭い場合
理由:狭い土地を探している人は、「この地域で家を建てたい」と地域限定で土地を探している可能性があり、地元業者は、その地域を熟知しているため

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