Top / r32

離婚..住宅ローンの連帯保証人は外せるのか⁉

更新日2021-01-11 (月) 17:09:25 公開日2020年2月4日

住宅ローンの連帯保証人と連帯債務者の違いって何?
もし離婚することになったら
連帯保証や連帯債務は外せるのか!?

マイホーム

マイホームを買うとき住宅ローンを組むご夫婦は多いものです。
このときはじめて住宅ローンの連帯債務者、連帯保証人と言う言葉を聞くことになると思います。

ここでは、「連帯債務者と連帯保証人の違い」や「離婚したとき住宅ローンの連帯債務や連帯保証を外すことが出来るのか」という件について解説します。

★目 次★


この記事の内容を【動画】でご案内しています。


夫婦で住宅ローン契約をするときの種類

「連帯債務者と連帯保証人」についてお話する前に、ペアローンについて簡単に説明します。

夫婦で住宅ローン契約をしてマイホームの購入資金を借りるときは大きく分けて「ペアローン・連帯保証・連帯債務」の3つがあります。

希望額の借入が単独名義では厳しいとき、夫婦でペアローンを組むことができます。
ペアローンにすることで希望額の借入ができたり、当初の予算よりもっと良い物件を購入できる可能性もあります。

✿ペアローンとは
夫婦それぞれが別の住宅ローンを組むことです。
たとえば、3,000万円の住宅ローン契約をしたい場合、通常であれば夫の単独名義で3,000万円の借入をしますので住宅ローン契約は1つですが、ペアローンの場合、夫が2,000万円の借入、妻が1,000万円の借入となり、住宅ローン契約が2つになります。
夫、妻それぞれが住宅ローン契約者になるということです。
さらにお互いに住宅ローン契約の連帯保証人になる必要があります。

ペアローン

ペアローンのメリット

・夫婦それぞれに住宅ローン控除が受けられる
・控除枠を最大限に利用することが可能(節税効果)
・借入額を増やせる

ペアローンのデメリット

・夫婦それぞれの住宅ローン契約となるため費用(印紙代・事務手数料など)が2倍になる
・夫婦のどちらかが退職した場合、支払いは何も変わらない
・たとえば妻が退職した場合、収入がなくなり所得税を払わなくなるため妻の住宅ローン控除は受けられなくなる
・退職は出産や介護が理由であっても同様

ペアローンは、複数契約によるコストが増えることや、持分比率、返済の持続性、死別時、離婚時などさまざまな注意点もあります。

ペアローンについて簡単にご説明しました。
ここからは「連帯債務者と連帯保証人」について解説します。

連帯債務者、連帯保証人の違い

違い

住宅ローン契約で借り入れるときの収入合算

住宅ローン契約をするときの借り入れ額や利用条件は収入や職業などによって変わります。
例として5,000万円のマンションを買うとして、そのうち4,500万円を住宅ローン契約で借り入れたとしましょう。

夫の収入だけでは4,500万円の借り入れが難しい場合、妻も働いているときは、夫婦の収入を合わせることで融資を受けられる方法があります。
これを「収入合算」と言い、住宅ローンの借入に利用する方が多くおられます。
夫婦の収入を合わせることで借入額を増やせます。

連帯債務者と連帯保証人とは

住宅ローンを利用する場合は、万が一返済ができなくなったときのために、住宅ローン借入先の銀行から保証をつけるための条件がだされます。
それが連帯債務者や連帯保証人と言う制度です。

この2つ、名前は似ていますが中身は全然違うものです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

連帯債務

連帯債務

連帯債務のパターンは、夫婦二人が同様の責任を持ちます。
主な住宅ローン契約者と連名で1本の住宅ローン契約をすることです。
それぞれが住宅ローンを借りているという位置付けになりますので、たとえば夫が主たる住宅ローンの契約者であれば配偶者である妻は連帯債務者として全額の債務を負います。
そのため、片方の収入が途絶えた場合は、もう片方が二人分の債務全額を負うことになります。
ペアローンとの違いはペアローンは夫婦それぞれで契約するため、住宅ローンの契約は2本になりますが、連帯債務のパターンは契約はあくまでも夫の1本のみです。
契約は1本ですがペアローンと同じように住宅ローン控除の適用を受けることができます。

連帯保証

連帯保証

連帯保証のパターンは、ペアローンとは異なり、住宅ローンを契約するのは一人です。
片方が主たる責任を負い、もう片方がその補償をするケースになります。
夫が債務者、妻が連帯保証人になるというケースが一般的です。
債務は基本的に一人と言う状態になりますので、万が一契約者である夫の返済が滞った場合は、連帯保証人である妻に支払いの義務が生じます。

連帯債務と連帯保証はどちらの利用が多いのか

住宅ローンの借入実態では、主にフラット35を利用するときは連帯債務での借り入れが多く見られ、銀行で住宅ローンを組み、夫婦または親子で収入合算するケースや、夫婦それぞれで借り入れをするケースでは連帯保証人を立てることが多いようです。

連帯債務者、連帯保証人の大きな相違

連帯債務者、連帯保証人では物件の所有権についても大きな相違があります。

物件の所有権

連帯債務の場合:夫婦二人の共有名義
連帯保証の場合:主債務者の名義
となります。

住宅ローン控除

また、住宅ローン控除が受けられる、受けられないの違いもあります。

連帯債務者の場合:名義人それぞれが住宅ローン控除が受けられます。
連帯保証の場合:主債務者は受けられますが連帯保証人は受けられません。

住宅ローン控除のメリットが受けられるのは、住宅ローンを払っている債務者だけとなりますので、連帯保証人は利用できないということなのです。

団体信用生命保険(団信)

連帯債務と連帯保証では、団体信用生命保険(団信)の取り扱いも違うため注意が必要です。

✿団体信用生命保険とは
住宅ローンの債務者が死亡や高度障害状態になった際に残りの住宅ローンの支払いを補償する保険のことです。
万が一のことがあった場合、この保険がないと大きな借金が残るのでそれに備えるというわけです。

住宅ローンを利用した時には、団体信用生命保険(団信)の加入が必須となります。
フラット35の場合、この団信の加入は任意なのですが、基本的には加入される方が多いでしょう。

連帯債務の場合:夫婦の双方が債務者となり団信も二人分加入することが可能
連帯保証の場合:主たる債務者にだけ保険が適用されます。夫婦で収入合算しているケースであっても夫が主たる債務者の場合、妻は加入できていません。

たとえば、連帯保証人の妻が死亡した場合、補償を受けることはできないため、以降の住宅ローン残債を夫が一人で負わなければならなくなるのです。

収入合算することで住宅ローンの借入額は増えます。
しかし、当然、ローンを組む額も高額になり、月々の返済額もその分大きくなります。
共働きの場合、出産や育児により長期的な休暇が必要になることもあります。
パートナーのどちらか一方の収入が途絶えたりする等、生活費に結構な負担がかかる事態も考慮し、ある程度余裕をもった返済計画で住宅ローンを組むことをおすすめします。

連帯債務者、連帯保証人のまとめ

無題

連帯保証人とは・・・
連帯保証人は、本人と連帯して債務を保証する人です。
本人の返済が滞ってはじめて、借入先から返済請求を受ける立場にあります。
連帯保証人のため、団体信用生命保険への加入もできません。
住宅ローン控除の適用を受けることもできません。 

連帯債務者とは・・・
連帯債務者とは、連帯して債務を負っている人です。
連帯して債務を負うとは、同一の債務について同じように責任を負うということです。 本人と共に債務を負う連帯債務は、いつでも銀行などの金融機関から返済請求を受ける可能性があります。
連帯債務それぞれの負担割合によって、住宅ローン控除を受けることも可能です。

離婚したとき住宅ローンの連帯保証人は外せるのか

住宅ローンの返済期間は数十年と長く組む方が多くおられますが、この間に何かのきっかけで離婚する場合もあるでしょう。

ここからは、離婚による住宅ローン問題として、「連帯保証人は外せるのか」という観点で解説していきます。

離婚するため住宅ローンの保証人から外れることはできるのか

保証人s

連帯保証人になっている妻が、離婚を機に「共有で持っていた家を夫に渡すので連帯保証人を外れたい」といった場合、どういう手続きが必要でしょうか。
結論から言えば、離婚時に連帯保証人から外れるのはとても難しいと言えます。

連帯債務の場合

夫婦共同名義となっていることもあり、いろいろと話し合いが必要となるケースが生じます。
まず基本的なことですが、離婚しても連帯債務は解消されません。
住宅ローンの契約を金銭消費貸借契約書と言いますが、この契約はあくまで銀行と夫婦それぞれが個別で交わしていますので、離婚してもその立場の責任は消えません。

連帯保証の場合

たとえば、離婚分割協議書に保証人から外れるなどと書いただけでは全く意味がありません。
離婚と連帯保証人を外れることは全くの別の問題です。
住宅ローンを組んだ銀行との交渉や残債務額の代金があり、支払いが終わるまで保証人を外れることはできません。

では、連帯保証人を外れるための方法はないのか…
かなり難しいとは思いますが、完全に不可能と言うわけではありません。
次のような方法を検討はあります

連帯保証人を外す3つの方法

1.繰り上げ一括返済

繰上一括返済をすれば文字通り住宅ローンが全てなくなりますので当然保証人
から外れることになります。

2.住宅ローン借り換え

別の銀行で債務者を夫だけにして新しく住宅ローンを組み治すという方法です。
ただし、連帯保証人がいないため審査が通りにくい可能性はあります。

3.妻の代わりに他の保証人を立てる

たとえば夫の両親や兄弟などを妻の代わりに保証人に立てるという方法です。
しかしこの場合もあくまで銀行の審査に通らなければ変更はできません。

連帯債務の注意点。

財産分与の必要性

物件の共有に関しては状態が残りますので財産分与をする必要などが発生します。
物件の所有権がどちらか一方ではなく共有になっている場合はその点の話し合いも必要です。

住宅の売却

売却

住宅を売却することでも連帯債務は解消されます。
この場合も、所有権の問題が発生します。
共有財産になっている場合は勝手に物件を売却することはできません。
売却する場合は、しっかり話し合い双方合意のもとでなければ売却できないということです。
ちなみに売却額が残債務額を上回る額であれば、住宅ローンも完済できるのでその後は何ら問題は無いと言えるでしょう。
ただし、売却しても残債務が残る場合は、当然その残った額分の支払いは生じます。
また成約時には仲介手数料や税金もかかるのでその費用についても頭に置いておきましょう。

まとめ

離婚500-233

夫婦が離婚するとなっても、住宅ローンの連帯債務者や連帯保証人の立場は簡単には外すことは出来ません。
そのため離婚時には、夫婦共同名義(借入人)となる連帯債務の場合も、主債務者を保証している連帯保証人の場合も、いろいろと話し合いが必要となり解決するためにとても労力を使うこととなるでしょう。

それでもなかなか解消できずゴタゴタになることが考えられますから、話し合いには専門家の力を借りることをぜひ考えたいものです。

あわせて読まれている関連記事

あなたの役に立ったらシェア!