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離婚の時に考える財産分与について

更新日2021-04-10 (土) 16:09:50 公開日2020年1月29日

財産とは?共有財産とは?
離婚のときに考える
「財産分与」について解説します。

財産

まず初めに、財産分与って何かご存じですか?
TVドラマとか、情報番組でもたまに出てくる言葉なのですが、気にせず聞き流していることと思います。
ただ、離婚するときにはまず必ず通ることとなるのがこの財産分与なのです。
ここでは、この財産分与について解説しましょう。

★目 次★【離婚の時に考える財産分与について】


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財産とは

財産とは、大辞林 第三版によれば、個人や団体などのもっている土地・建物・物品・金銭・有価証券、退職金、年金などの総称と解説されています。

このうち、結婚して夫婦2人で一緒に生活していて築き上げてきたものを共有財産といいます。
例えばどんなものがあるかというと、結婚後の預貯金・お給料とか、夫婦で家を買ったりしたものを共有財産いいいいます。

あくまで結婚後に築き上げた財産であり、結婚前に個人がすでに持っていた財産は含まれません。
この共有財産を、離婚するときにどのように分けるか話合い、決めることを財産分与と言います。

結婚後に夫婦2人で築き上げていった財産は、離婚するときは2人のものなので綺麗に半分にしましょうというものです。
但し、ここで気を付けておきたいことは、負債もこの財産に含まれるということでしょう。
例えば、マイホームを買うために借りた住宅ローンや、子どもの進学のために借りた教育ローンなどが該当します。

財産には、プラスも有れば、マイナスもあるということです。

なお、財産分与の対象になる財産というのは共有財産のみになります。

共有財産に当てはまらないのが特有財産と特別に持っている財産です。

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画像の説明

特有財産とは

特有財産って何かというと、具体的には、結婚前に自分で持っていたお金や結婚前に貯めていた預貯金です。
あとは、自分の実の親から相続した家とか宝石など相続でもらった財産です。

これら親や親族から相続した家とか宝石などは夫婦2人で努力して獲得した財産ではありません。

結婚前に築いた預貯金は、夫婦生活とは無関係に取得した財産なので、これは特有財産になります。
特有財産は、この財産分与の対象にはなりません。

ここがポイント:間違えやすい配偶者の実家の財産

財産分与について勘違いされていることとして、配偶者の実家(親)に財産が有り、いずれはそれらの財産を相続で受け継ぐ立場に配偶者はいるのだから、それらの財産も財産分与の対象として計算できるのではないかというものがあります。

もし婚姻中に相続が発生したり、贈与を受けたりで配偶者が多額の財産を取得したとしても、それらの財産は特有財産となり財産分与の対象財産にはなりません。

離婚する前でも後でも、配偶者の親(実家)の財産は特有財産の対象になる可能性があるに過ぎませんので、財産分与とは関係ないのです。


共有財産の考え方

ここで共有財産を明確にしておきたいと思いますが、夫婦2人で努力して稼いだお金やマイホーム、クルマ、預貯金などの財産ということになり、有形、無形に関係ないということです。

これら共有財産については基本的には二分の一ずつ分けていくことになります。

ただ、婚姻中に増加した財産でも、親などからの贈与又は相続が原因で有することになった財産は共有財産とはなりません。

ここがポイント:財産分与の基準点について

財産分与の対象となる財産の範囲は、原則として「別居時」を基準に確定されます。
ゆえに離婚前であっても、夫婦が別居した後に、夫婦互いが独自に取得された財産については、財産分与の対象にはならないと考えられているのです。
これは、たとえ婚姻関係が継続中でも、別居している間は夫婦が協力して得た財産とはいえないという考え方に基づいたものです。
但し、海外や遠く離れた場所への単身赴任中であり、夫婦別居状態についてあるしっかりした理由(例えば子供の学校問題、親の介護問題など)が有り、どうしても同居したくても同居できないという期間はこの考え方は該当しません。


給料

例えば旦那様がサラリーマンをやっていて、奥様が専業主婦をやっていたとしましょう。
この場合の結婚後の財産というのは、夫のお給料が入った夫名義の預金通帳だけだったとしても、これは離婚の際に2分の1ずつに分ける共有財産ということになります。

いくら夫(旦那様)1人が稼いでいて、夫名義の預金通帳に入っていたとしてもこれは奥様が家で家事・掃除をしていて子どもをしっかり面倒を見ていてそのおかげで安心して旦那様は外に出て仕事をして会社でお給料を稼いできたわけです。
つまり夫婦二人の努力によって、旦那様はサラリーマンとしてお給料を稼いできたわけです。
もし夫婦に子供がいないときでも、この考え方は変わりません。
この夫名義の預貯金は夫婦の共有財産ということになって財産分与の対象になります。

夫婦結婚後に購入した家

購入したマイホーム(家)の名義が、例えば夫100%の名義になっていたとしても結婚後に購入したものであればそれは夫婦2人の共有財産になります。

例えば、その家を購入した時の頭金は「結婚前に貯めていたお金を出したじゃないか」とか「綺麗に半分にするのはズルじゃないか」みたいな事情がある場合は個別に調整することになります。

結婚する前の事情も勘案しながら考える、夫婦間の個別事情によるケースバイケースになります。

共有財産の考え方から言うと、家のローンを支払い続けている最中であっても家は共有財産なので財産分与の対象になるということです。

この理屈がなかなかご理解いただけない旦那様が多くおられますが、しかし旦那様の給料からその家のローンを払っていたのです。ゆえに旦那様はどうして給料が稼げているかっていう背景を考えなければいけないわけです。
奥様が家で家事をしたり、子供の面倒を見てくれているからその給料を稼いでそのローンを払えているわけなので、これは当たり前ですけど夫婦の共有財産ということで考えるのが原則なのです。
どんなに夫婦間に子供が無く、奥様が専業主婦で外で働かないでいてもこの基本的考え方は変わりません。

個人名義の預貯金

銀行などの預貯金は、普通夫名義とか妻名義で作られています。これら個人名義の預貯金は、婚姻中に増加した預貯金であれば、それは財産分与の対象になります。

具体的には、離婚するときに夫婦の双方が各自で管理している預貯金の情報を相手へ開示し、財産分与の方法を決めます。

子供名義の預貯金

子どもの将来の学費を準備するために、子ども名義で預貯金をしたり、生命保険に加入していたりしているご家庭は多いと存じます。

このような形式上では子どもの名義である財産についても、資金の拠出の状況によっては夫婦の共有財産とみなして財産分与の対象となります。

保険(生命保険&損害保険)

保険は、生命保険と損害保険に区分されますが、一般には貯蓄性を備える生命保険が財産分与の中心になります。
生命保険を解約しなくても、保険会社へ依頼することで解約時の返戻予定金を試算してもらうことができますので、その試算結果をもとにして財産分与することになります。

年金

年金も財産分与の対象です。財産分与時には年金も平等に分割「年金分割」されます。
ただし年金の場合、分割の対象となるのは満額ではなく、婚姻期間中の保険料納付分に相当する金額のみです。

退職金

夫婦の一方又は双方の退職金も、遠くない将来に確実に支払われることが見込まれる場合は、財産分与の対象になります。
具体的な方法は、離婚のタイミングによって異なるので年金の場合と同様、財産分与の対象となるのは退職金の全額ではなく、婚姻期間に相当する金額であることにも注意が必要です。

財産分与の基本と法律

離婚の際に、婚姻中の夫婦で協力して築いた上記の財産などを、それぞれの貢献度に応じて分配する事がまず基本となります。
夫婦の関係や財産について書いてある民法(法律)にも、離婚の際には相手方に対し財産の分与を請求することができる(民法768条1項)と定めています。

なお財産分与には、財産の性質から、夫婦が婚姻中に形成した財産の清算となる清算的財産分与、離婚により困窮する(元)配偶者の扶養を目的とする扶養的財産分与、相手を傷つけたことに対する慰謝料としての意味を含む慰謝料的財産分与があります。

財産分与や慰謝料請求の期限は?

この財産分与で押さえたい一つは、夫婦の話し合いによって合意ができない場合、離婚をしてから2年以内に家庭裁判所に調停や審判を申立てて財産分与をする必要があるということでしょう。
財産分与の申立てには、離婚後でも財産分与請求ができますが2年という制限期間があるので注意が必要です。

ここでよく理解されていないものが離婚の原因が、相手を傷つけたことの場合です。
この慰謝料に対する請求は、離婚後3年以内であれば請求できます。

まとめ

財産分与というのは結婚後に夫婦2人で築き上げていった財産を分ける行為をいい、この財産の対象となる財産は、結婚後にできた財産ということです。
結婚後にできた財産は夫婦2人のものなので、夫婦が離婚する際にはきれいに半分に分けましょうという手続きを財産分与と言います。

纏めると、婚姻中に夫婦が協力して形成した財産が財産分与の対象と言うことですね。

具体的には特有財産、例えば結婚前に自分で持っていたお金だったり、その親から直接譲り受けた相続財産とかっていうのは特有財産としてこれは財産分与の対象にはなりません。

そして財産分与の基本は夫婦の話し合いで決めるということです。ただしもし話し合いで決まらないときや揉めているときは、家庭裁判所に申し立てをして裁判官や調停員が元夫婦二人の間に入り、取りまとめる作業をしてくれるということです。

家庭裁判所に申し立てる場合、制限時間があります。
離婚をしてから2年以内に家庭裁判所に財産分与の申立てをする必要があります。

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