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【離婚したい】協議離婚より調停離婚が良いケースとは!?

更新日2020-10-14 (水) 15:26:23 公開日2020年3月16日

離婚するための方法!
「協議離婚と調停離婚」

「調停離婚」をした方が良いケースがあることをご存知ですか?

協議離婚と離婚調停

離婚の原因はいろいろあり、その多くは「協議離婚」により成立している状況ですが、「協議離婚」が必ずしも良いとは言えません。

「協議離婚」で離婚は成立したものの、あとあとトラブルになることもありますので「協議離婚」ではなく「調停離婚」(離婚調停)をした方が良いケースもあります。
ここでは「どんなケースのときが「協議離婚」ではなく離婚調停をした方が良いのか」ということについて解説します。

★目 次★


この記事の内容を【動画】でご案内しています。



離婚したいと考えたときの離婚種類(方法)

まずは離婚するときの種類(方法)について解説します。
離婚したいと考えたときの主な離婚種類(方法)は、夫婦の話し合いによる「協議離婚」、家庭裁判所での話し合いによる「調停離婚」、調停離婚でも決着がつかない場合は「裁判離婚」となります。

1つずつ見てみましょう。

離婚種類

✿「協議離婚」とは

夫婦だけの話し合いでお互いが離婚に合意をしたら、離婚届を市町村役場に提出する方法です。

日本では約90%が行う離婚方法となります。
「離婚する際に必要な法的な理由」などは関係なく、夫婦が離婚に対してお互いに合意し離婚届を提出すれば離婚は成立します。

✿「調停離婚」(離婚調停とも言います)とは

「協議離婚」しようとしても夫婦間で合意が得られない(決着がつかない)または離婚の合意はあるがその他の決め事などがまとまらないといった場合は、家庭裁判所で行われる「離婚調停」の申し立てをすることになります。
「調停離婚」は正式には「夫婦関係調整調停」と言います。

家庭裁判所にて二人以上の調停委員が間に入り、助言しながら夫婦一人ずつ話を聞いて、離婚の合意や条件(財産分与・子どもの親権・面会交流など)について調整を行います。

お互いが離婚に合意すれば離婚する旨を記載した調停調書が作成され離婚成立となりますが、最終的に夫婦双方の合意が得られなければ離婚はできません。

ちなみに「調停離婚」が成立しなかった場合、家庭裁判所が審判をくだすことがあります。これを「審判離婚」と言います。
審判離婚により離婚成立となる場合もありますが、審判離婚は審判がくだされて2週間以内に当事者が不服(異議)を申し立てると無効になるため、審判離婚の手続きを利用は極めて少ないと言えます。

「調停離婚」はケースにより異なりますが一般的に時間がとてもかかります。
「調停離婚」の申し立てから終了するまでに3ヵ月~半年程度かかるケースも少なくありません。
なかには1年以上かかるケースもあります。

✿「裁判離婚」とは

「調停離婚」も不成立だった場合は、離婚を求める側が家庭裁判所に離婚訴訟を提出することになります。

「裁判離婚」で和解が成立しない場合は、裁判所が離婚の可否や慰謝料額等を総合的に判断します。
離婚を認める判決が出れば離婚が成立し慰謝料額等も決定されます。

離婚が認められれば10日以内に、離婚届と共に判決謄本と判決確定証明書を添えて、市区町村役場に提出する必要があります。
どうしても判決内容に不満がある場合は提起することができます。
その場合、期日が限られていますので注意が必要です。

「裁判離婚」にかかる期間は、約1~2年は必要と思っていた方が良いでしょう。
仮に第一審で勝訴したとしても、相手方が控訴・上告すれば更に争いが続くためそこまでの期間がかかってしまうケースもあります。

「裁判離婚」では、法律の専門知識や民法が定めている法的な離婚理由が必要も必要になります。
その他の手続きも難しく専門的で複雑に定められているため、知識なく手続きを進めると、取り返しのつかない結果になるかもしれません。
「裁判離婚」の場合は、費用は必要になりますが、専門家の弁護士に依頼された方が安心です。

離婚の種類(方法)についてご案内しました。

ここからは本題である「どんなケースのときが「協議離婚」ではなく離婚調停をした方が良いのか」について解説します。

「協議離婚」は、離婚の証人になってくれる人が2名必要になりますが、それ以外は夫婦が離婚を決めて、市区町村役場へ離婚届を提出するだけで終わります。
時間もお金もかかりません。
ただし、「協議離婚」の手続きをする際は、大きな注意点があります。

「協議離婚」の場合、金銭的な事項については公正証書が重要

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離婚をする夫婦の約90%は「協議離婚」で離婚しています。
そのいちばんの理由は基本的に夫婦の話し合いになるため解決が早いというところにあります。
離婚調停のように毎月家庭裁判所に行く必要もありません。

注意しなければいけないのは、慰謝料・養育費・財産分与など金銭的な事項についての取り決めです。
なぜなら、離婚する時に「必ず払う」と約束していた養育費や慰謝料などを、離婚後まったく払わない、あるいは支払いが途中で止まってしまう、というケースが実際にあるからです。

とくに離婚が成立した後は、金銭を負担する側は、払いたくない心理が働きますので、仮に話し合いができたとしても、まったく進展しないこともあります。
このように離婚した後までも泥沼化して、もと夫婦の間で大きなトラブルになる可能性があるのです。

「協議離婚」をする場合、金銭的事項については「離婚協議書」だけではなく、必ず公正証書(強制執行認諾約款付き)の作成が重要です。

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公正証書の効果

✿公正証書とは
主に法律行為に関して契約(約束)したものを指します。
公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人(裁判官・検察官・法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家)が作成する公文書です。

もし相手方が支払いをしないとしても、金銭債務において公正証書に「強制執行認諾条項」を定めていると、本来、裁判で確定判決を受けなければ行えない給与や口座の差押などの「強制執行」の申立が直ちに行えます。

つまり、公正証書を作成していると、仮に慰謝料などの支払いがストップした場合でも、すぐに差し押さえの強制執行ができるのです。

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養育費は将来的に支払われるお金であり、支払い期間も長期になりますので途中で止まってしまう可能性があります。
支払いが止まったときに離婚協議書しかない場合、「すぐ払ってください」というような命令はできません。

相手方に強制的に払わせるためには、まず家庭裁判所に対して養育費請求や財産分与請求の調停をおこさなければいけなくなります。
しかし、調停期間は、一ヶ月に一回程しかないため結果がでるまでにかなり長くかかってしまいます。

そういった理由により公正証書の作成は重要となります。
そのため「協議離婚」をするときに、金銭的事項については公正証書を作るように夫への交渉が必要になるのです。

では、公正証書はどうやって作成すればいいのでしょうか。

公正証書は公証役場で作成

「公正証書」を作成するためには、夫婦(当事者)が揃って「公証役場」へ出向く必要があります。

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皆さんは「公正証書」や「公証役場」について詳しくご存知でしょうか。
通常かかわることが少ないため、「まったく知らない」と言う人も少なくありません。
ということで、「公証役場」について見てみましょう。

✿公証役場とは
法務局管轄の役所を言います。
公証役場は“役場”がつくため、市区役所と勘違いされる方が多いのですが、市区役所とはまったく別です。
市区役所は地方自治体、公証役場は法務省(国の機関)の一部になります。

公証役場では「協議離婚」での養育費など金銭面の約束ごとや、不倫慰謝料などを支払う示談契約なども公正証書として作成可能です。
公証役場の規模によって異なりますが、公正証書を作成する公証人が最低1名以上、通常2名以上常駐しています。

ここで注意点ですが、公証役場について次のように勘違いしている人がいるようです。

■交渉人役場は離婚の相談窓口と思っている
公証役場は公正証書作成などの各手続きを実施するところであり夫婦間の争いなどを相談するところではありません。
離婚条件の話し合いのすすめ方を相談する、具体的な金額をだしてもらうなど公証役場や公証人に依頼することはできません。

■交渉人は有利になるアドバイスをしてくれると思っている
公正証書を作成する公証人は、あくまでも中立的な立場にいます。
そのため、夫婦のどちらか一人にだけ有利になるようなアドバイスはおこないません。

公証人が中立的な立場だからこそ公正証書は信頼されるものとなります。

✿公証役場の所在地
全都道府県にありますが、人口が多い地域に集中しています。
「協議離婚」するときの公正証書は、どこの公証役場でも作成できます。

公証役場はからも確認できます。

✿公証役場利用料金
公証役場を利用する場合、法令で基準が定められている公証役場の手数料(公証人手数料)が発生します。

依頼者が公証役場を利用することで得られる経済的な利益に応じて利用料金がかかるしくみです。
たとえば、離婚条件となる養育費・財産分与・離婚慰謝料などの対象となる金額が多ければ多いほど、その金額に応じて公証人手数料も高くなります。
(例)一例ですが、次のような価格が予想されます。
・養育費だけ→2~3万円程度
・養育費・財産分与・慰謝料となると→総額で5万円超え

事前に、公正証書として作成する契約内容から利用料金を試算することも可能ではありますが、最終的な支払額は各公証役場において計算して確定します。

利用料金がかかるため、公正証書を作成することなく「協議離婚」をするという人もいます。
確かに離婚した直後の生活費などを考えると、費用を抑えたいという気持ちはあるはずです。
しかし、反対に離婚した後の生活費を考えるからこそ、離婚時の契約(約束事)を公正証書に残す必要があるのです。

公正証書がない場合、離婚した後で大きなトラブルになる可能性があります。
トラブルになれば、長期間におよぶたくさんの時間や労力を消費し、最終的な解決策として弁護士費用が必要になれば、より多くの費用がかかってしまいます。
(利用料金 < 弁護士費用)

公正証書作成のための事前準備

公正証書の作成を依頼するためには事前準備が必要です。
準備が整っていない場合、何度も公証役場へ出向かなければいけなくなります。
準備するものは、公正証書にしたい夫婦間の合意内容等をまとめた文書と、当事者本人または代理人の身分を証明できるものです。

■公正証書にしたい夫婦間の合意内容等をまとめた文書

当事者が法的にどのような内容の合意をしているかを公証人に伝えるために夫婦間で決めた合意内容等を公正証書原案(合意書)として提出する必要があります。

当事者同士でスムーズに合意できれば良いのですが、なかなか合意できない場合や相手方の思う通りになってしまうというケースもあります。
そのような失敗をしないためには、事前に行政書士などの専門家へ相談するか、公正証書原案(合意書)作成を専門家に依頼されることをおすすめします。

■当事者本人の身分を証明できるもの

公正証書を公証人に作成してもらうときに本人で間違いないことを証明するための身分確認の資料提出が求められます。
当事者本人または代理人の本人確認のために次の資料持参が必要です。

【当事者本人の場合】
①運転免許証+認印 
②パスボート+認印 
③住民基本台帳カード(顔写真付き)+認印
④本人の印鑑証明書+実印
上記①~④のうちいずれかを持参

【代理人の場合】
①本人作成の契約内容が記載されている委任状(本人の実印+印鑑証明)
②本人の印鑑証明書
③代理人の
a印鑑証明書+実印
b運転免許証+認印
cパスポート+認印
d住民基本台帳カード(顔写真付き)+認印
上記a~dのうちいずれかを持参
代理人の場合、上記①~③のすべてを持参

作成済みの公正証書はどうなる?

公正証書の原本は公証役場に保管され、債権者には正本、債務者には謄本がそれぞれ交付されます。
原本が公証役場に保管されるため、仮に正本や謄本を紛失しても効力が失われるという心配はありません。
再交付も可能です。

公証人に虚偽の申告をすれば、公正証書原本不実記載罪に問われる可能性がありますので注意が必要です。

公正証書の作成を相手方が承諾しない場合は?

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相手方(夫または妻)が公正証書を作成してくれない場合は「協議離婚」ではなく「調停離婚」の申し立てをした方が良いと考えられます。

「調停離婚」で離婚が成立した場合は、公正証書と同じ効力があります。
たとえば夫の養育費の支払いが途中で止まってしまった場合でも、すぐに強制執行して夫の給料や預貯金の差し押さえが可能になります。

「協議離婚」の注意点をご案内しました。
それでは、あらためて「協議離婚」と「調停離婚」それぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。

メリットデメリット

「協議離婚」のメリット・デメリット

メリット

・裁判所等の公的機関は関与しないため場所や時間を選ばず当事者の合意のみで離婚が成立する
・手間も費用もかからない
・離婚成立まで時間がかからない

デメリット

・財産分与、慰謝料、養育費、子どもとの面会交流など、詳細がおろそかになりやすい
・話に応じてもらいない場合時間がかかる
・金銭的事項も当事者同士で決めなければいけない
・相手に有利な条件で離婚が成立する可能性がある

「調停離婚」のメリット・デメリット

メリット

・「協議離婚」のように相手が話し合いに応じないということがない。
正当な理由がなく出頭しない場合、5万円以下の過料が科せられることもあり高い確率で話し合いができる
・「協議離婚」では難しい相手の譲歩も「調停離婚」では譲歩しやすくなる
・とくにDVなどの場合は、調停当日相手と直接顔をあわせないように配慮されるため精神的ストレスが軽減される

デメリット

・定められた期日に家庭裁判所に行く必要がある
・一般的には成立まで3ヶ月〜半年(長いときは一年)ほど時間がかかる
必ず自分の望む結果が得られるわけではなく「調停離婚」が不成立になることもある
・場合により弁護士費用がかかる場合がある
たとえば、相手に弁護士がついている場合など、状況によっては弁護士に依頼した方が良いケースもあります。
「調停離婚」では裁判所を納得させるだけの証拠や離婚したいと思う根拠などを説明する必要があります。
専門家の手を借りずに準備できるか、その状況をうまく調停委員に伝えることができるか、そういった点を含めて慎重に考える必要があります。

まとめ

・「協議離婚」の場合、離婚協議書を作成し、さらに「慰謝料・養育費・財産分与など金銭的な事項」については必ず公正証書を作成しましょう。

・公正証書作成を相手方が承諾しない場合や、「慰謝料・養育費・財産分与など金銭的な事項」とくに金銭が高額である場合や、養育費(子どもが幼ければ幼いほど離婚後に受け取る期間は長く続くことになります)については「協議離婚」ではなく「調停離婚」を申し立てることがベストです。

「協議離婚で大丈夫なのか」「調停離婚を申し立てた方がいいのか」「弁護士などの専門家に相談するべきなのか」
離婚したいときの状況は、人それぞれ異なります。
どうするべきか悩んで結論が出ていないという方は、遠慮なくYUIKAにご相談ください。

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