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親族間売買時の親族の範囲と各税金について

更新日2020-05-29 (金) 17:07:30 公開日2019年11月30日

親族の範囲ってどこまで?

税務署から「みなし贈与」と疑われるかも!?

親族間売買

親族間で不動産を売買(譲渡)するとき、最も注意すべき点は2点あり、そのうちの一つが「みなし贈与」です。
みなし贈与とされたら高額な贈与税がかかり、不動産の授受者は税金を納税しなければいけないからなのです。
ゆえに親族間売買するとき、このみなし贈与と認定されないように十分に気を付けなければいけません。

さて、このみなし贈与と認定し贈与税を掛ける機関は税務署ですが、その税務署はいったいどういう手段で不動産売買をみなし贈与かどうか見分けいるのでしょう?
実はみなし贈与かどうかを見分ける物差しとしての一つに親族関係かどうかというものが有ります。

そこでここでは、親族間売買時の親族の範囲について解説していきます。

★目 次★

不動産を売買した時の税・・・『所得税』・『住民税』・『みなし贈与税』

親族間に限らず、売り手と買い手が不動産売買(譲渡)するときに発生する税金には、売り手に掛かる譲渡所得税、住民税、買い手には不動産取得税がかかる場合があります。
ただ実は親族の範囲内で不動産を売買した時はみなし贈与とみなされたときに買い手に贈与税がかけられます。

土地や建物を売買(譲渡)して得た所得に対しては、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されるのです。
不動産の所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年を超える場合「長期譲渡所得」となり、所得税・住民税の税率は異なります。
なお、譲渡所得がマイナスの場合には課税されることはありません。

「不動産売買(譲渡)する時の税金」についてはの記事も参考にされてください。

不動産売却時の税金

それに加えて、親族間の不動産売買で発生する可能性のある税金として贈与税があります。
この贈与税も実は税務署の管轄なのです。
「えっ、何故、売買しているのに贈与税がかかるの⁉」と思いますよね...。
形式は売買でも、その売買した事に贈与税が掛かる場合もあるということを覚えておきましょう。
この贈与税は無償で財産の譲渡した場合に掛かる税金で、税率がとても高い税になります。

親族間売買の場合、税務署は「贈与が絡んでいるのではないか」と疑うのです。
他人間であっても状況によっては贈与税が発生する可能性があります。

税務署の目

税務署

まず親族間売買では税務署が「みなし贈与」を疑っていることに気を付けるべきです。
税務署は、「親族間による不動産の売買が、脱税を目的に行っているのではないか⁉」と勘繰っていると思っていいでしょう。

『みなし贈与』とは、本来の贈与ではない形で財産などの受け渡しをすることをいい、著しく低い価額で不動産など財産の譲渡を受けた場合は、譲渡財産の時価と譲渡価格の差額に相当する金額について贈与(遺言の場合は遺贈)が有ったものとみなされ、贈与税(遺言の場合は相続税)が課税されることを言います。

例えば、不動産の時価(取引相場)が4,000万円である場合に、通常の売買(他人間で行われるもの)では4,200万円から3,800万円で売買されるものを親子間で2,000万円で売買するような場合です。
この場合は、明らかに相場より著しく低い価額ですので、税務署がその売買に贈与も併用されていたとみなす可能性があります。

この売買で税務署は2つの価格が有ったものと思っています。
それは、通常時価で行われたはずの譲渡代金(時価)と、著しく低い価格(低廉価格)との差額部分は「贈与」とみなされ、贈与税を掛け納税義務を課すのです。

税務署は、どの売買のケースであれば贈与になるというような発表をしていません。
また、どのような売買がみなし贈与になるのかも法律で決められているわけでもありません。
ただ一定の基準は裁判所の判決で出ているので参考にはできますが、それも参考にすぎません。
このみなし贈与については、売買として行った親族当事者と税務署のいたちごっこ状態で、その都度裁判沙汰になっているケースも少なくありません。
但し、多くのケースで税務署の主張が勝ち、その主張に沿った判決が出ています。

みなし贈与の基本は相続・贈与

通常、親族間で不動産を移動するときには所有者(不動産名義人)が死亡を原因とする『相続』か、生きている場合の『贈与』が考えられます。
生きている時の贈与では贈与税課税が考えられます。

この贈与税は、とても高い税率が有名で高額な税金(贈与税)の納税が発生すると言われています。
要は、親族間で不動産売買をすると言う行為は、この贈与税逃れのために行っているのではないかと思われかねないのです。
このために税務署は親族間で不動産を売買する行為をとても厳しくチェックしています。

税務署の目を回避するためには、売買価格(対象不動産の適正価格)の設定に注意が必要です。
売買価格をあまりに低い価格(低廉価格)に設定してしまうと、税務署が目を付け厳しくチェックすると思ってください。
親族間売買では税務署に届け出をすることがないため、わからないと思われる方もいるようですが、そんなことはありません。
税務署はしっかり把握しています。

親族間売買に贈与税を課税する意味

では、なぜ税務署は親族間売買時にみなし贈与を厳しくチェックしているのかを見てみましょう。

親族間売買の行い自体は違法ではない!

実は、親族間で不動産売買契約を行うこと自体は違法ではありません。自由に取引の内容も契約の内容も決めることができるのです。
例えば、時価1億円する不動産でも売り手と買い手双方が売買価格10万円で売買しても、双方が売買合意すれば違法になるわけではないのです。

しかし、この取引は、税金上では大問題となります。
税制そのものの根幹を揺るがしかねない大問題があるのですから放っておくわけにはいかないのです。
それは、この売買に相続税、贈与税逃れの可能性が大いに有るからです。

みなし贈与で課税される贈与税は“売買は違法ではないけれども、しかし、その売買において贈与(無償の財産譲渡)が絡んでいるのでその部分に贈与税をかけますよ。“と言っているだけなのです。

例えば、このみなし贈与を内在させている売買を認めてしまうと、親が所有する財産を子供にタダ同然に売買すれば相続税を逃れることができます。またそれを更に子に繰り返していけば一生相続税を支払うことがなくなり、相続税そのものの根幹がなくなり税制そのものが瓦解することとなるのです。

だから、「売買そのものは違法ではないけれども、しかし税金逃れは許しませんよ!」としているだけなのです。
裁判所への訴え(訴訟)でも、「これこれこういう理由で支払い義務のある税金を支払え!」となっているのです。

通常、親名義のままの不動産を多数所有し亡くなる(この時点で相続となる)と、その相続税評価額が相続税の基礎控除額を超える場合などは、その超える額に対して相続税が課されます。また生前に親族に財産を与える(これを贈与と言う)と贈与税が課されることは税法で決まってるのでご存知でしょう。
しかし、親が生前に子と売買により、親名義の所有不動産を全て子名義にしておけば相続時には相続税は発生しなくなります。
これでは税制そのものの意味がなくなるのです。
そのため、税務署は、相続税逃れを意図した売買には贈与税を課すのです。

ただ、売買契約自体は自由ですし、またどんな内容の契約にしようとも当事者間での合意はまた自由ですので、売買を止めることは出来ないのです。そのため相続税を逃れる意図があったかどうかなど、売買当事者しか分からないのです。
それ故、税務署は客観的に見ておかしな売買金額で売買しているケース(低廉譲渡)には、贈与が内在してたものとして、みなし贈与税を課すようにしたということなのです。
 
なお、売買代金をあまりに低い価格(低廉価格)に設定した場合だけにみなし贈与があったとして課税するわけではありません。
実は安いとは反対の売買代金をあまりに高くした場合にも贈与税は発生します。

例えば、親に金銭が多額ある状態で亡くなった場合、そのまま相続するとこれもまた相続税の基礎控除額を超える部分に高額な相続税が掛かります。その対策として、子供名義の所有不動産を時価(取引相場)よりあまりに高い価格で売買(譲渡)し、子供に金銭を移動させることが出来ます。
親には対価に見合わない不動産が残り、反対に金銭は減ります。
その結果として、親が所有した安い不動産が基準となり相続税もその基準が適用されるということになります。この手法もなた相続税の脱税手法になるのです。

みなし贈与として注視されている親族とは

親族間で不動産を売買するとき、税務署はみなし贈与の可能性を調査し精査することは上記で説明しましたが、この調査を受ける親族の範囲とはどういうものでしょう?

まず親族とは親子や兄弟、姉妹などになります。もう少し正確に言えば、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族すべての人となります。
この親族の範囲については民法で明確に定義されていています。

「血族」とは血のつながっている血縁関係にある人たち、「姻族」とは配偶者と血縁関係者にあたる人たちのことです。
つまり、夫にとって妻の血族は姻族になり、妻にとって夫の血族は姻族となります。

税務署がみなし贈与として疑う範囲の考え方

実は、みなし贈与は親子間など親族間に限られるわけではありません。
他人間での売買でも該当する場合が有ります。
ただ、通常、他人間で行う不動産売買では売主と買主間では利益相反があると考えられ、みなし贈与は起きづらいと言われています。
不動産を売買するとき、売主は高く売りたいと考え、買主は安く買いたいと考える事が通例です。
この状態を利益相反の関係と言います。
取引された売買価格は交渉の結果の産物であると推定され、この状況下では税務署が厳しく売買価格をチェックしなくてもいいだろうと考えられるのです。

しかし、身近な親族間での不動産売買では、この利益相反の関係が働きづらく、その結果、売買価格の妥当性が疑われ、自然と税務署の厳しい目が向けられこととなるのです。

まとめ

民法では明確に親族の範囲を決めていますが、親族間売買時の親族の範囲は、明確には決まっているものではありません。
親族間売買時では、何故、親族という括りを気にしなければいけないかを知れば自ずと対策は打てると思います。
親族間の不動産売買では、売買理由が明確で正当であり、またみなし贈与とならない価格、時価よりあまりに安い価格、反対にあまりに高い価格で売買しないに越したことはありません。
このことを守れば、親族間売買も税務署の目が全く怖いというものではないのです。
適正価格を不動産業者や不動産鑑定士に出してもらい、その価格で売買すれば親族の範囲を気にすることなく不動産売買が出来るのです。

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