Top / si4

個人間のみの不動産売買のメリット&デメリットを知ろう!

更新日2020-07-11 (土) 22:22:19 公開日2019年12月13日

不動産は、不動産会社(仲介者)を入れずに「友人・隣人」など
個人間で直接売買することは可能?

不動産会社に仲介を依頼する時と、個人間のみで売買する時ではどんな違いがある?



既に「売りましょう。買いましょう。」という意思合意ができている場合や、友人同士などのように仲が良い者の間でですぐにでも買いたいと言う人がいる場合、不動産会社に依頼すると何かと面倒に感じ、個人間のみで売買したいものでしょう。

なぜ不動産会社を入れたくないのか⁉
個人間で不動産を売買する最も大きい理由は、不動産会社の仲介手数料ではないかと思います。
不動産会社へ支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法で「売却価格×3%+6万円+消費税(速算式)」が上限額として決まっています。
この上限額を、ほぼ100%の不動産会社が請求すると考えているからではないでしょうか。

たとえば売買価格が2,000万円の場合、仲介手数料は66万円(消費税別)となります。
この仲介手数料が大問題なわけでしょう。なぜこんなに掛かるのか?
だから不動産会社を利用したくなくなるわけです。

実際、不動産を売買するときに不動産会社は必須なのでしょうか?
結論から言えば、不動産の個人間のみの売買は、法律的には何ら問題ありません

法律的に問題が無いのであれば、仲介手数料も必要ありませんので、もっと個人間売買が多いはずです。
しかし、事例が少ないのはなぜでしょうか。

ここでは、不動産会社へ仲介を依頼したときの「不動産売買(仲介)の流れ」に沿って、仲介での売買と、個人間売買との比較(メリット・デメリット)について解説しましょう。

★目 次★


不動産売却(仲介)の流れ

【S22】仲介

不動産会社へ売却時に仲介依頼をした時の不動産売却の流れです。

不動産売却(仲介の流れ)

個人間売買の場合、次の項目は不動産会社に依頼しないため必要ありません。
①物件の査定依頼
②現地調査
④不動産会社と媒介契約の締結

また
⑦購入希望者の決定
⑬引っ越し
⑭確定申告
は不動産会社に売却仲介依頼してもしなくても共通事項となり必須になります。

③売却価格の提示

まず初めの相違点は、売却価格(売出価格)です。

不動産会社(仲介)の場合

一括査定

売主さんが、一括査定サイトなどを利用して、複数の不動産会社に査定依頼をおこないます。
依頼を受けた不動産会社が、現地調査を行った結果で、売却価格(査定価格)の提示(提案)をしてきます。
複数の不動産会社から受け取った査定価格を比較して、売却を依頼する不動産会社と売却価格を決めます。

✿不動産会社の現地調査とは

訪問調査300

不動産会社が実際に現場を訪問し、外観、室内、付帯設備の状況なども含め、細かく物件の確認をすることです。
また、同時に、役所調査といって、各都道府県や市役所、役場などの役所で土地や建物の法令規制の確認をします。
法務局では登記簿謄本を取得し、謄本や公図も取得します。

個人間のみの売買の場合

個人間売買の場合、不動産会社の現地調査や査定書もありません。
売主、買主お互いが納得する売買価格の妥当性をどうやって決めるのかが問題になります。

個人間

何も根拠が無い、おおざっぱな、身内だから安くしておこうなどの適当な売買価格はトラブルのもとです。

⑤売却活動(購入希望者探し)

不動産会社(仲介)の場合

不動産会社の購入希望者を探すための売却(営業)活動については、まず不動産会社間で売買情報を共有するレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録し売却物件の情報共有をおこないます。

✿レインズとは
国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムの名称です。
指定流通機構の会員不動産会社が不動産情報を受け取ったり情報提供を行うシステムで、会員間での情報交換がリアルタイムで行われています。

レインズ

その他、SUUMOやアットホーム、ホームズなどの不動産ポータルサイトへの掲載・新聞への折り込みチラシ・ポスティング・オープンハウスなどさまざまな活動をおこないます。
これらの活動費用は不動産会社の負担でおこないます。

売却活動

個人間売買の場合

『友人・隣人・同僚』などで既に買い手が決まっている場合は上記のような販売活動をする必要はないでしょう。
しかし、まだ買い手が決まっていない場合は、売主自身(自分)で探さなければいけません。

不動産会社と同じように売るための活動をおこなう場合、その費用は個人負担になります。
問合せが入った時の応対等も、すべて個人で行うことになります。

しかも、レインズなどのシステムやSUUMOやアットホーム、ホームズなどの不動産ポータルサイトへの掲載は、個人ではできません。
今では、Yahoo!不動産など少数ですが個人のみでも販売掲載することができるシステムは有りますが、ただ、まだまだ買い手の反響面で思った効果が出ていないと言う現状が有ります。

⑥内覧希望者の決定

購入希望者に家の中を見ていただきます。
これを内覧または内見と言います。
内覧時は、いずれにしても、家の中を明るく、きれいにして、購入希望者に良い印象を持っていただくように心がけることが必要です。

水回りは特にきれいに

不動産会社(仲介)の場合

依頼した不動産会社の営業マンによって、対応は異なりますが、良い営業マンは、購入予定者が到着する前に現場へ行き、カーテンや窓をあけたり、すべての電気をつけるなど事前準備をおこないます。
家を明るくきれいにして、購入予定者を出迎え応対します。

個人間売買の場合

購入希望者がその物件を見たいと言ってきたら、個人で改めて家の中をきれいにして、立ち会い応対することになります。

購入希望者の質問や条件交渉などの質疑応答も必要です。
ここで気を付けなければ、価格交渉(価格を値切られる)可能性があるということです。

⑧購入の申込

不動産会社(仲介)の場合

売主さんは、買主さんに作成いただいた「買付申込書(買付証明書」を不動産会社から受け取ります。

✿買付申込書とは
購入金額・契約条件の希望・手付金の金額など細かく書かれている書面です。
不動産を購入するときは、いきなり契約するのではなく、まず「買付」という手続きを行います。
簡単に言うと、「この物件を買います」 という意思を売主さんに伝えるということです。

個人間売買の場合

購入金額・契約条件の希望・手付金の金額など個人間で打ち合う必要があります。
書面がなく、たんなる口約束で契約するのは、言った言わないなどとなる事が多々ありとても危険です。

⑨価格交渉

売買する価格について、買主さんからの交渉は必ずと言っていいほどあります。
そのため、最初の販売開始当初の価格を慎重に考える必要があります。

価格交渉

不動産会社(仲介)の場合

価格交渉には、不動産会社が間に入ってくれます。

個人間売買の場合

価格交渉も個人間で行うことになります。

⑩売買契約条件の調整

不動産会社(仲介)の場合

売主さんからの希望条件、買主さんからの希望条件を不動産会社が調整します。
不動産会社の助言がありますので、売主さんは、助言をもとに判断することが可能です。

条件調整

個人間売買の場合

調整してくれる不動産会社がいませんので、個人間でお互いの条件の調整を行う必要があります。
「売主さんは良い条件で(高く)売りたい、買主さんも良い条件で買いたい」となりますので、条件の交渉はかなり難しいと思います。

⑪売買契約の締結

【S3】売買契約書

不動産会社(仲介)の場合

◩「重要事項説明書」を不動産会社が作成します。
作成するために、役所・土木事務所・法務局など関係役所に行って不動産の調査をおこないます。

宅地宅建取引士により「重要事項説明書」を買主さんに説明します。
これは宅地建物取引業法(宅建業法35条)で定められています。

◩「不動産売買契約書」を不動産会社が作成します。
不動産売買契約書の読み合わせをおこないます。
すべてにご納得されたら、押印し、買主さんより手付金が支払われます。

不動産会社は、取引のノウハウや経験を活かして、トラブルが発生しないように未然に解決へと導いてくれます。

個人間売買の場合

友人同士でも個人間のみの売買などの場合は、重要事項説明書及び売買契約書の作成は義務付けされていません。もし作成したとしてもその書式も何を書いたとしても自由なわけです。

ただ、不動産の売買契約はとても繊細なもの、多くの約束を確認することになります。
それを、書面がなく、たんなる口約束で契約するのはとても''危険''です。

義務付けされていませんが、重要事項説明書、売買契約書どちらも作成しなければ、後々大きなトラブルになる可能性があります。

不動産会社(仲介)が重要事項説明書、売買契約書を作成する場合

◩売買契約書に記載する取り決め
・売買代金、手付金の支払い
・所有権移転と物件引渡し
・抵当権抹消、固定資産税の精算、起算開始日など金銭関係
・契約を履行できない場合
・瑕疵担保責任
など

◩重要事項説明書に記載する内容
・物件関係事項(登記簿上の権利関係、法令上の制限など)
・取引条件関係事項(代金・賃貸など以外に授受される金銭について、契約の解除についてなど)
・ローン関係事項

個々人間のみで売買する時は、上記書面が完ぺきではない為、自ずと不完全な内容の書面となります。
ただの知り合い程度の場合、本当に全額売買代金を払ってくれるのか・・そのような不安もあります。

不安

⑫残金決済

不動産会社(仲介)の場合

手付金以外の残代金を決済(支払)します。

場所は、買主様の融資先金融機関や不動産会社の会議室などで行われます。
参加者は、通常、売主様・売主様の仲介業者・買主様・買主様の仲介業者(場合によっては売主様側の仲介業者1社の場合もあります)
そして、司法書士が所有権移転などの手続きをおこないます。

残金決済

個人間売買の場合

◩住宅ローン
買主さんはほとんどが住宅ローンを利用されます。
通常であれば、不動産会社が、重要事項説明書と売買契約書を添付して、住宅ローンの本申込みをしますが、個人のみの場合、大多数の金融機関は、
個人間売買の売買契約書などではNGをだします

住宅ローンの審査に通らず、契約を解除しなければいけなくなる場合もありますので、売買契約書に契約の解除についての取り決めを記載しておく必要があります。

◩登記
所有権移転等の手続きは、司法書士にお願いする必要があります。

個人売買残金決済 (1)

トラブルの問題

トラブルは契約進行中のみではなく、契約締結後に多くが発生することもあります。
そのたび、すべて売主さんと買主さんで解決しなければいけません。
簡単に解決できることだけではなく、長期にわたる大きなトラブルもあり得ます。

◩重要事項説明書の確認不足によるトラブル
◩売買契約書などの書類の漏れや不備によるトラブル
◩購入後の瑕疵発覚によるトラブル

✿瑕疵担保責任とは
購入するまで、買主さんが確認できなかった住宅の欠陥(シロアリ・雨漏り・ひび割れなどの欠陥)が見つかった場合、売主さんが買主さんに負う責任のことを言います。

これが個人間売買にとって最も大きなリスクと言えます。
程度によって、買主さんは、損害賠償の請求や売買契約の解除をすることもできます。

瑕疵担保責任は「買主が瑕疵(欠陥)を見つけた時から1年間」と民法で定められていますが、個人間売買の場合は、期間について売主さんと買主さんの協議で自由に定めることができます。
この取り決め内容は、売買契約書に特約として記載することが重要ですなのですが、しかし多くの個人間のみの売買でこの特約が入っていません。

個人間売買が少ない理由

個人間のみで不動産を売買する場合、不動産会社への仲介手数料を支払う必要がないというメリットは確かにあります。

しかし、今までお話したように

・買い手側の信用問題
・価格の妥当性
・販売活動のための広告料
・内覧応対
・売買契約書、重要事項説明書などの書類作成
・すべての交渉
・決済の問題
・瑕疵責任
・トラブル問題

これらのデメリットやリスクを考えると、仲介手数料以上にお金と時間がかかります
それが、個人間売買が少ない理由と考えられるのではないでしょうか。

個人間のみで行う不動産売買のメリット&デメリット・まとめ

ここでは、個々人間のみで行う不動産売買の可否とメリット、デメリットについて解説してきました。
不動産会社を仲介者としない個々人間のみの不動産売買は可能です。
但し、その方法にはメリットとデメリットが有り、メリットは不動産会社に支払う多額な仲介手数料が掛からないのみですが、しかしデメリットは広く広範囲となります。
不動産売買は大きなお金が動きます。そのためトラブルとなると解決に大きな労力と多大な時間がかかり、更に精神上でも大きなダメージとなってしまいます。
不動産を個々人間のみで売買する時は、くれぐれもリスクを考え、トラブル回避を考えた売買を執り行うことが重要です。
トラブル回避のために過去の経験から得た対処法、法律を駆使した解決法を会得しておかなければ満足なる売買は難しいのですから。
今では、不動産売買時に仲介手数料の安価な不動産会社もありますから、少しでもリスク排除しながら安全なる売買取引をしたい時には、それら不動産会社を利用することも考えたいものです。

あわせて読まれている関連記事

関連記事案内

あなたの役に立ったらシェア!