個人間売買の注意点! 「公衆用道路」の登記漏れはありませんか!?

更新日2020-07-11 (土) 22:29:43 公開日2019年12月9日

公衆用道路

皆さんは、ご自身の住居前道路の種類をご存知でしょうか。
登記上の地目の1つに「公衆用道路」というものがあります。

✿公衆用道路とは
不動産登記事務取扱手続準則 第68条21号によると「道路法による道路であるかどうかを問わず一般交通の用に供する道路」とされています。
わかりやすく言えば、不特定多数の人が利用する土地(道路)です。

公衆用道路は、道路法による道路(高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道)だけではなく、農道・林道・里道・私道も取り扱われる場合があります。

ここでは、その中で「私道」が「公衆用道路」だった場合について解説します。

不動産の個人間売買をする際(とくに一戸建て)、売却する住居まわりの道路が「私道」で地目が「公衆用道路」だった場合、自分が所有している不動産であるにも関わらず、公衆用道路を含まず不動産を売買してしまう可能性があるためです。

公衆用道路であるかどうかを確認する方法について見てみましょう。

★目 次★


不動産会社の仲介を入れない個人間売買は、ご自身で確認する必要があります。
公衆用道路であるかどうかをご自身で確認する方法及び取得方法は次の通りです。

登記済権利証で確認

②権利証が見つからない! (2)

登記済権利証とは

土地の所有権(土地の所有権移転手続きが終わっていること)(登記簿への登記が完了したこと)を証明する書類のひとつです。
(通称:権利証)(法令上:登記済証)と呼ばれます。

登記済権利証には、建物やその建物がある土地のために使用する公衆用道路の記載もされています。

登記済権利証の取得方法

登記済権利証は、不動産の登記が完了した時に、登記名義人(所有者)に交付されますので所有者が保管されているはずです。

但し、2005年(平成17年)3月の不動産登記法改正により、現在では、改正前と改正後の2種類の権利証が存在します。
改正前:登記済権利証書
改正後:登記識別情報

今回ご紹介した確認方法は、登記済権利証での確認であり、改定後の登記識別情報には公衆用道路の記載はありません。

「登記識別情報」関連記事

不動産売却・権利証紛失・どうしたらいい?!

固定資産税・都市計画税通知書で確認

⓼固定資産税

✿固定資産税・都市計画税通知書とは

市区町村が税額を計算し、毎年1月1日時点の所有者へ送付されるものです。

固定資産税・都市計画税通知書の「固定資産税・都市計画税課税明細書(土地・家屋)のページの「地目・種類」の項目に公衆用道路の記載があります。

固定資産税・都市計画税通知書の取得方法

市区町村より所有者へ送付されますので所有者が保管されているはずです。

「固定資産税」関連記事

不動産取得税・固定資産税と各特例(軽減措置)を理解しよう!

固定資産税のポイント!計算方法と軽減措置・免税点

登記簿謄本・登記事項証明書で確認

登記簿謄本

✿登記簿謄本とは

土地・住居・建物・マンションなどの不動産所有者の氏名・住所・構造・大きさなどが記載された証明書です。
厳密に言えば、法務局で備える登記簿を謄写した証明書になります。

登記簿謄本には、所在、地番、地目、地積、面積、取得原因やその日付、そして地目の記載があります。

現在は法務局の登記簿もデータ化されており、紙の登記簿の謄写ではなく、データの内容を証明した「登記事項証明書」が発行されています。

土地の登記事項証明書及び登記簿謄本には次の内容が記載されています。

(表題部)
所在・地番・地目・地籍・原因及びその日付
見本では地目が宅地になっていますが、この箇所に公衆用道路の記載があります。
(権利部)
甲区:所有権に関する事項・所有者などの情報
乙区:所有権以外の権利に関する事項・抵当権などの担保の情報

「登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法

法務局(登記所)で取得できます。管轄以外の法務局(最寄りの法務局)でも取得可能です。
登記簿謄本交付申請書(登記事項証明書交付申請書)に住所・氏名・欲しい土地や建物の情報を記入し申請します。
注意点として土地の地番と住所は基本的に異なりますので、地番が分からない場合は、法務局に備え付けの地図で検索、または法務局の方に尋ねることをおすすめします。

取得費用として1通600円の手数料がかかります。(交付申請書に600円の収入印紙を貼って納めます)
法務局:不動産用 登記事項証明書交付申請書見本pdf

また、全国の「法務局・支局・出張所」がオンラインで繋がっていますので自宅にいながら取得することも可能です。
登記・供託オンライン申請システム(法務局管理)
※Internet Explorer 推奨(Googlechrome不可)

オンライン申請での手数料は次の通りです。
郵送で受け取る場合:500円/通
登記所で受け取る場合:480円/通

「登記簿謄本・登記事項証明書」関連記事

詳しくはこちらの記事をご確認ください。
【不動産売却】売却開始時に必要な書類と取得方法

公衆用道路の売買契約漏れがあった場合どうなるのか

ここまで、公衆用道路の確認方法をご案内してきましたが、公衆用道路の確認を怠って売買契約及び登記に漏れが生じた場合、購入者は、住居は自分の所有なのに、公道から住居までの道が、前の所有者のままという状態になってしまいます。

たとえば前の所有者に相続が発生した場合、買主側に損害が発生することになり兼ねません。

まとめ

9

不動産の売買で、不動産会社、司法書士などの専門家を介している場合は、公衆用道路についても事前に確認しますので、このような漏れは少ないのですが、個人間売買の場合は、漏れが多く発生する可能性があるため注意が必要です。

漏れが発覚したタイミングにもよりますが、その後の対処方法等について不明な点も多いと思われます。
また、新たな漏れが発生しないとも限りません。
明確な対処方法が分からない場合は、当サイトへお問い合わせいただけたらと思います。

あわせて読まれている関連記事

あなたの役に立ったらシェア!