相続税いくら?相続前と相続後どっちが節税になる?

更新日2020-07-11 (土) 22:12:07 公開日2019年3月19日

①節税

✿相続税とは
亡くなった方(被相続人)の財産を、相続や遺贈(遺言によって財産を相続人以外の人におくること)で受け継いだ場合に、その取得した財産の金額に応じて課せられる国税をいいます。

ご自身が相続人となることを考えた時、残される財産が多ければ多い程、「相続税はどうなるのか」また「相続前と相続後では何がどんなふうに違うのか」そのような部分が気になるところだと思います。

相続税という税金は、どちらかと言えば節税しやすいという特徴があります。
さまざまな控除や特例もあります。
ご自身に該当する控除や特例を事前に確認されることをおすすめします。

ここでは、相続税の基礎控除や節税についてご案内します。

🌸相続税の基礎控除:相続税がかかるか、かからないかを確認しよう!

まず、気になるところは、ご自身が財産を相続することになった時、「相続税がかかるのか、かからないのか、もしかかるなら、どのくらいの金額になるのか・・」というころだと思います。

相続税には、相続税の基礎控除(非課税)というものがあります。

基礎控除を超えるか超えないかで相続税がかかるか、かからないかが決まります。

②基礎控除

相続税の基礎控除額は次の式で計算されます。
『3,000万円 +600万円×法定相続人の人数』

③基礎控除額

式にあてはめると、たとえば法定相続人が2人の場合、3,000万円+(人×600)となりますので、基礎控除額は4,200万円となります。

亡くなった方の遺産総額が3,000万円と仮定すると、基礎控除額の4,200万円を下回ることになりますので相続税は発生しません。

しかし、なくなった方の遺産総額が6,000万円あった場合は、基礎控除額の4,200万円を上回りますので、差額の1,800万円に相続税がかかることになります。

ちなみに、亡くなった方の遺産総額が6,000万円で法定相続人が3人の場合は、基礎控除額が4,800万円となり、差額の1,200万円に相続税がかかることになります。

遺産総額は同じでも、法定相続人の人数が多いほど基礎控除額が大きくなり、相続税は少なくなります。

🌸相続前と相続後の節税比較

もし、不動産の建替えや、修繕などをしなければいけない場合、「相続前(生前中)にするOR相続後にする」どちらが相続税の節税に繋がるでしょうか。

次の事例を使ってご案内します。

(所有不動産)築30年のアパート
(建物評価額)1,000万円
(検討)老朽化してきたため建替えを検討
(建替案)現在の建物を取り壊しマンションに建て替え予定
(建築費)1億円
(資金)全額銀行借入
(その他の親の財産)5億

▶相続後(子の世代で建替えた場合)

まず、親が亡くなり子の世代になってから建替えをするパターンを見てみましょう。
相続人が一人の場合、相続税はどのくらいかかるでしょうか。

【父の所有財産(相続税評価額)】
・旧アパート建物:1,000万円
・その他財産:5億
・合計:5億1,000万円

この場合の相続税は1億9,500万円になります。

その計算方法は次の通りです。
基礎控除は、法定相続人が1人なので、3,000万円+(1人×600万円)で3,600万円です。
5億1,000万円から基礎控除の3,600万円を引くと4億7,400万円になります。
相続税の計算にあてはめると、「3億円超~6億円以下」の箇所になります。
4億7,400万円×50%(税率)-4,200万円(控除額)=1億9,500万円

④相続税の計算

▶相続前(親の世代で建替えた場合)

次に、親が元気なうちに、親の世代で建替えをするというパターンを見てみましょう。

まず、建て直すマンションの建物評価額について説明します。
建物の評価額は4,200万円になります。

なぜ4,200万円なのかというと、建築費1億円で購入した物件の固定資産税評価額はだいたい7割から6割です。
ここでは6割で計算していますので、固定資産の評価額は6,000万円になります。
更に、その建物を人に貸している場合は30%の割引が受けられます。
計算式としては、『評価額6,000万円×賃家評価割合70%=4,200万円』となります。

【父の所有財産(相続税評価額)】
・新マンション建物(評価額):4,200万円
・その他財産:5億(先ほどの例と同じにあわせています)
・借入金:▲1億(銀行から借入している分です)
・合計:4億4,200万円

先ほどと同じように計算すると
この場合の相続税は1億6,100万円になります。

その計算方法は次の通りです。
基礎控除は、法定相続人が1人なので、3,000万円+(1人×600万円)で3,600万円です。
4億4,200万円から基礎控除の3,600万円を引くと4億6,000万円になります。
相続税の計算にあてはめると、「3億円超~6億円以下」の箇所になります。
4億6,000万円×50%(税率)-4,200万円(控除額)=1億6,100万円

🌸節税するなら相続前に検討要!

事例を使って建替えする場合の相続前と相続後の2パターンをご説明しました。
たとえ同じ物件であっても、かかってくる相続税は異なります。

相続後(親が亡くなった後)に建替えをする場合の相続税は1億9,500万円
相続前(親が亡くなる前)に建て替えをする場合の相続税は1億6,100万円
その差額となる3,400万円が節税に繋がることになります。

なぜ相続前後で、そこまで差がでるのかと言うと
相続財産が預貯金の場合、預貯金の額そのものが評価額となります。
しかし、相続前に親が建物を取得した場合は、建物としての評価額となりますので、通常であれば相続税評価額がかなり低くなるためです。

🌸修繕費用(同じ考え方)

ここまで、建替えという規模の大きな事例でご案内しましたが、この考え方は、ちょっとした修繕なども同じ考え方になります。

たとえば、屋根の修繕に1,000万円かかるという場合

▶(相続前)亡くなる前に修繕する場合

預貯金が1,000万円あったとしても、修繕費としてなくなりますので、相続税はかかりません。

ここで、「1,000万円使って修繕したのであれば、建物の評価が1,000万円分上がるのではないか?」と疑問を持たれる方がいらっしゃいます。
確かに、修繕することで建物は良くなります。
しかし、相続税評価額が1,000万円を超える程上がるということはありません。

結果として、その修繕費の分だけ相続財産を減少させることができます。

▶(相続後)亡くなった後で修繕する場合

1,000万円は預貯金として残ったまま相続することになりますので1,000万円分の相続税がかかります。

🌸祭祀財産(さいしざいさん)

もっとわかりやすくするために、祭祀財産の中でお墓を例にしてご案内します。

✿祭祀財産とは
墓地・墓石・仏壇・仏具・位牌などを言います。
祭祀財産は、相続財産にはならないため、相続税が非課税とされています。

▶(相続前)亡くなる前にお墓を買った場合

預金通帳に入っているお金が、お墓という非課税の資産に変わりますので、その分相続税は減ります。

所有財産が相続税の基礎控除を超える方は、生前にお墓を立てることで、その分の課税対象となる現金が減りますので、節税効果に繋がることになります。

▶(相続後)亡くなった後でお墓を買った場合

預貯金という財産を相続した上で、お墓を買うことになりますので、相続税を払うことになります。

🌸事前に家族で話し合おう

⑤家族

いざ相続税の額がでて「こんなに相続税を払わなければいけないのか…」と感じられる方がたくさんいらっしゃいます。

相続税についてはなかなか話しにくい部分もありますが、節税に大きく関係してきますので、相続税対策の一環として、早めにご家族皆さんで話し合っていただくことをおすすめします。

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