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【入門編】借地権付き土地(底地)の相続と対処法(継承か売却か?)
更新日2020-07-11 (土) 22:12:22 公開日2020年2月11日
相続した土地は人に貸してあった...
借地権付き土地(底地)を相続したとき
起こりがちな問題と解決方法をご紹介します。
昨今、私の親世代が亡くなり、相続で悩んである友人が多くなっています。
何故か友人に地主が多いことも有り、宅地建物取引士の僕に相談に来る問題は土地についてが多く、その中でも貸している土地についてがとても多い状況なのです。
もしかすると、今からここ数年は相続でとても悩む人、それも貸している土地で悩む人が多くなるのではないかと思うのです。
そこで本記事では、そもそも
貸している土地とは、なんなのか?
その具体的な仕組みや悩みは、なんなのか?
その問題の解決法はどんなものがあるのか?
について解説していこうと思います。
要約すると、借地権付き土地(底地)相続の際に起こりがちな問題と、その解決方法の紹介です。
この記事でわかること
▶借地権付き土地(底地)相続の際に起こりがちな問題…。
▶借地権付き土地(底地)の問題解決法・・・。
▶誰に相談したらいいか…。
私自身も、土地地主としてまた宅地建物取引士、結い円滑支援アドバイザーとして多くの土地問題をコンサルしてきましたが、その実体験をもとに、貸している土地の中でも『建物所有者等の借地権が付いている土地=底地』の解決について徹底的に解説していきます。
★目 次★【入門編】借地権付き土地(底地)の相続と対処法(継承か売却か?)
借地権付き土地(底地)とは
初めに底地って何かについてです。
相続した土地の売却等、処分に困るケースとして賃貸している土地に、建物所有者等の借地権が付いている場合があります。
このような借地権付きの土地のことを、底地と言います。
底地のメリット・デメリット
底地所有のメリット
地代としての一定の収入
更新料や名義変更料など一時金の受け取り
更地と比較した場合、固定資産税が軽減される
底地所有のデメリット
土地を自由に使うことができない
正当な理由がないと借地契約は解除できない
収益性・流動性が低い
借地権者とのトラブル
相続時にそれなりの相続税がかかる
底地所有の現状
底地は、既に建物所有などのために他人が使用している土地であり、よほど利回りが高く無い限り第三者への売却は難しくなります。
但し、底地の所有者は土地所有者です。ゆえに底地の所有者を地主ともいいます。
その土地は、所有しているだけで固定資産税や都市計画税がかかります。
しかし、底地を所有することで得られる地代は、固定資産税や都市計画税の総額と同額、あるいは多少のプラス程度である事が多く、そのような利回りの低い底地を持ち続ける事にあまり意味はありません。
地主さんが亡くなった場合、当然、この底地も相続財産となります。
相続財産なので相続税の課税対象にもなります。
ただ、利回りが低い底地であっても、相続税の評価は高額になることがあります。
実際、相続が起こり、相続税の計算段階になった場合、それなりの相続税額の納付が義務となる相続人ですが、その相続税額の支払いは持ち出しになることもあり、場合によっては納税資金が足りなくなるといった問題も発生します。
こういう背景があるので、相続人の方からは、「高い値段でなくても良いから底地をすぐに現金化したい」という声をよくお聞きします。
こういう場合、底地相続でまず検討したいのが、その土地を賃借し利用している借地人に買ってもらうという方法です。
底地売却の背景と実情
実は、底地のみを借地人以外の第三者に売却することは、とても難しいです。
ゆえに、底地を売却する方法としてとても有効な手段は、借地人に売却する方法が一番有効なのです。
借地人が敷地(底地)の所有権を手に入れれば、土地と建物が両方所有できるため、それなりにメリットは大きいはずです。
借地権の売却は、その権利のみを売却することは可能ですが、事実上はなかなか売却できていないという状態があります。
その状態を解消できる底地の買取は大いにメリットなはずなのです。
ただ、時と場合、状況によっては、反対に底地の所有者が借地権を買い取ることを提案する場合もあります。
敷地(底地)の所有者が借地権の解消ができれば、自由に利用できる土地として所有できるためメリットは大きいのです。
底地の価格
底地価格は、税務署や金融機関によって大きな違いがあります。
税務署は路線価を基に計算した方法で算出されます。
しかし、金融機関はほぼ底地の価格はないものとして評価しています。
国税庁が定めた底地評価額
国税庁が定めた底地の評価額算出は、相続税評価額(路線価)を使います。
実際には、更地価格から相続税評価額(路線価)で定められた借地権割合を引いた額が底地の評価額となります。
例えば、更地価格1,000万円、借地権割合70%の地域の場合、次の式で底地評価額を算出します。
1,000万円(更地価格)×0.3(借地権割合が70%なので残りの30%)=300万円(底地評価額)
その他の価格基準
相続税評価額(路線価)は、国税庁が定めた底地の評価基準ですが、それとは別に、不動産鑑定士が導き出す不動産鑑定評価基準を用いて導き出した価格があります。
不動産鑑定評価基準を用いて導き出した価格は底地の場合であれば、地代の増額請求に関する調停や、相続関連の手続きなどで裁判が起きたとき、公的な証拠として効力を発揮します。
銀行の底地評価額
銀行は底地評価額を実質ゼロとしています。
その理由は、銀行が見る土地評価額はその土地の流通価格が原則だからです。
底地は一般の不動産市場に流通しておらず、底地としての売却は難しいと判断しているという事情があります。
底地のみの価格
底地のみを第三者に売る場合、なかなか買い手がいないこともあり、更地の評価額の10%~15%が買取りの相場となります。
路線価にある底地割合がそのまま底地の買取価格に反映されるわけではありません。
ただこの相場で買い取るのは、不動産業者がほとんどです。
不動産会社の中には、底地や借地権のみの買取を専門とした業者もあります。
もし、どうしても底地のみを売るしかないときで、しかし借地人も買わない時として不動産会社に買取りを依頼する場合には、しっかりと比較して信頼のおける不動産会社に依頼するようにしましょう。
底地のみを借地権者に売却する方法
底地を借地人に売却する際の価格は、いろいろ計算式はあるようですが、実際の相場は更地価格の50%前後や地代の10年分程度となるこが多いようです。
この価格は地主や借地人の持つ背景や事情によって変わってきます。
底地を売ったり、借地権の買取りには当然のことながら借地人との合意が必要です。
借地人の理解を得られないと暗礁に乗り上げてしまいます。
交渉の第一歩は、借地人の属性や契約内容についてよく知ることです。
借地期間や地代、使用目的などを確認した上で、借地人に買取りを行うことのメリットを説明し納得してもらうことが大切なのです。
底地を売却することを困難にするもう一つの問題は、底地を購入する際に金融機関からの借り入れを受ける事が難しい現状があるからなのです。
これは、借地権を売却するときも同じなのです。
互いに売買の意思はありながら、借地人が資金を用意できないため、話が前に進まなくなってしまうこともあります。
底地の一部と借地権の一部を等価交換する方法
底地のみの単独売却は、とても難しいと言いました。実務上は借地人に売りしかないということも。
但し、その肝心のその借地人の資金の用意ができなかったときは暗礁に乗り上げてしまいます。
ゆえに、そんなときはもう一つの方法、『底地の一部と借地権の一部を等価交換する方法』を考えてもいいかもしれません。
地主が所有する底地の一部と、借地権者が保有している借地権の一部を交換する方法です。
この方法で、それぞれが単独所有となる土地を保有することになり、利用自由度が高くなるのです。
底地を借地権を同時に売却する方法
底地が単独で販売することが難しいのと同じく、借地権も単独での売却は難しいという実情は同じです。
ゆえに、地主、借地権者の両者が時として同時に売却を検討して、双方協力して売却することも可能な場合もあります。
例えば、借地権の契約更新や、借地権者に相続が発生した場合などで検討される場合が多くあります。
この方法では、底地と借地権を一緒に売却することができるので、単独で売却するよりも売却しやすくなります。
売却益に関しては、借地権割合と底地の割合で分けることが多いようですが、双方の事情などによって変わる場合が多いようです。
底地の相続で物納する場合
底地がどうしても売却できず、しかも相続税納税が金銭でできないときは物納も考えなければなりません。
ただ、底地のみを物納しようとする場合、相続税の納期限までに金銭で納付することを困難とする事情や物納に充てようとする財産など所定の事項を記載した物納申請書を税務署長に提出し、税務署から許可の通知を受けることが必要になります。
ただ、以下を充足していなければ底地の物納は難しいです。
①土地賃貸借契約書がある事
②地代が周辺相場の70%以上である事
③係争中のものではない事
④抵当権の設定及び仮登記等がない事
⑤地主に特別不利な契約内容及び特約がない事
⑥隣接地の境界確認書を作成しておく事
⑦借地人同士の借地境が明確である事
⑧違法建築物が存在していない事
まとめ
借地権付き土地(底地)の相続と対処法(継承か売却か?) について解説しました。
底地を相続するとき、それは相続財産となり相続税の対象になり納税も必要になる場合もあります。
納税は金銭納付が原則ですが、どうしても金銭が用意できないときは、現物を物納することも可能です。ただし物納の場合、物納要件を補完する必要がありなかなかハードルが高いものです。
ゆえに勢い底地の売却を検討することとなりますが、しかし売買はどんな不動産種類の中でも特に難しいという現状があります。
ただどうしても売却をしたいときは、底地を一番高く買い取ってもらえるのは、利害関係者である借地人ですので、どうしても売却先として考えられます。
ただし、当人同士では駆け引きや遠慮もあり、なかなかの話はまとまりにくいので、仲介役として不動産会社へ依頼することをお勧めします。
また、もし借地人から買取を断られたり、急ぎでまとまったお金が必要だったりする場合には、不動産会社のうち底地権の買取業者への売却を考えてもいいでしょう。
YUIKAでは、底地を少しでも高く買取している不動産会社を熟知しております。また、経験豊富な担当者がしっかりと話しを聞かせていただいて、あなたに状況に合った提案もさせていただきます。
相談は無料で受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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