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【相続】遺産分割のルールとトラブル対策!

更新日2020-07-11 (土) 22:09:39 公開日2019年3月9日

①遺産分割トラブル!

遺産相続は、本来であれば円満に進めたいものです。
しかし、いざ相続となると、税金の問題をはじめ、どうしても、家族どうしでのトラブルが発生してしまいます。

ここでは、相続に関する遺言書、相続税、遺産の分け方、遺産分割トラブルなどについてご案内します。


遺言書

🌸遺言書の内容は変更できるのか

早速ですが皆さんにお尋ねします。

『遺言書が残されていた場合、その遺言書の内容を変更することは、可能・不可能のどちらだと思いますか?』

④遺言書

正解は、遺言書の内容を変更することは可能なのです。
ただし、あくまでも、相続人全員が同意した場合に限ります。

驚かれるかもしれませんが、亡くなった方が一生懸命考えて遺言書を残したとしても、残されたご家族(相続人)が内容を変更してしまうというケースが非常に多く発生しています。

遺言書の内容を変更することが、なぜそんなに多いのでしょうか。
もちろん、感情による問題はあると思います。
しかし、それ以外の理由もあるのです。

相続税の問題

②相続税

その理由は「相続税」です。

✿相続税とは
相続や遺言で受け継いだ遺産総額が大きい場合にかかる税金をいいます。

◎相続税の計算式 → 相続税=資産価値-税金免除額×税率

✿資産価値とは
現金と不動産評価額をたしたものです
不動産評価額は、ネットで一括査定サイトを利用することで確認できます。
その中の2つをご紹介します。

HOME4U 
IESHIL(イエシル)

✿税金免除額とは
国が税金を安くするために一部免除してくれる金額です。

◎税金免除額の計算式 → 3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税という税金は、財産の分け方によって、何倍にもなってしまう大変こわい税金といえます。

遺言書があるからと言って、何の変更もなく財産を分けてしまった場合、場合によっては、相続税が非常に高くなってしまう可能性があります。

それらの理由により、遺言書の内容を変更するというケースが多く発生しているということです。

財産の分け方の基本的なルール

③ルール

ここからは、相続税の基礎知識(遺産分割の基本)として、財産の分け方の基本的なルールをご案内します。

このルールは、遺言書が有るか無いかで大きく変わってきます。

▶遺言書がある場合

遺言書の内容通りに遺産分割を行います。
ただし、先ほどお話したように、遺言書がある場合も、相続人全員が同意をすれば、分割協議書による遺産分割が可能になります。

ただし、''相続人全員の同意が必要''となりますので、一人でも、「遺言書の通り分けて欲しい」と言う人がいれば、遺言書の内容が優先されることになります。
それほど、遺言書がもっている効力は非常に強いということです。

▶遺言書がない場合(遺産分割手続き)

遺言書がない場合、次の順番になります。

①相続人間での遺産分割協議
      (協議決裂の場合)
②家庭裁判所での遺産分割調停
      (調停不成立の場合)
③家庭裁判所での遺産分割審判
      (審判内容に不服がある場合)
④高等裁判所への即時抗告
      (憲法で保障された財産権を侵害しているなど、憲法違反の理由がある場合)
⑤最高裁判所への特別抗告

①遺産分割協議書による遺産分割

相続人全員での話し合いで財産の分け方を決めます。
相続人全員が同意をすれば、どのような割合で分けることになっても許されます。

ここで誤解が多いのがされる方が「法定相続分」です。
法定相続分は、あくまで、分け方の目安として定められているものです。
この通りに分けなければいけないという割合ではありません。相続人全員が同意をすれば違う割合に変更することも可能です。

✿法定相続分とは
法定分割(民法でこれが一番良いと決められている分け方)で分けた、それぞれの法定相続人の取り分を法定相続分と言います。

②調停による合意

家庭裁判所

遺産分割協議書による遺産分割で相続人全員の同意が得られなかった場合は、家庭裁判所において調停委員の立ち合いの下、話し合いによる合意が行われていきます。

遺産分割事件の管轄(調停、審判)
家庭裁判所での遺産分割事件には、調停手続と審判手続とがあります。
手続きを受理してもらえる裁判所の管轄は、原則として以下の通りです。

調停の場合
相手方の住所地の家庭裁判所(相手方が複数いて住所地が異なる場合は、そのいずれかを選択)  
※ 当事者間で合意があれば、合意した裁判所への申立が認められます。
・ 審判の場合:被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所

法律上は調停と審判のどちらかを選択して申立できることとなっていますが、実務上はまず調停手続きで当事者間の話し合いを経て、それでまとまらなかった場合に審判に移行するという運用がとられており、調停不成立後の審判手続きでは調停手続きを行った裁判所が手続きを引き継ぐことが一般的です。

ただし、相続財産の鑑定等に著しい支障をきたすなどの事情があれば、審判手続きの原則通り、被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所への移送が認められます。

③審判による決定

調停でも合意ができなかった場合は、家庭裁判所において裁判官による決定がおこなわれます。

ここまでいってしまうと、けっこうドロドロの状態になってしまいます。

④遺産争い

財産の分け方のルールはこのように遺言書の有無によって大きく変わっていきます。

🌸トラブルになりやすい3パターン

相続トラブルが発生しやすいパターン3つをご案内します。

▶①二次相続

⑤一次相続・二次相続

たとえば、両親のうち父が亡くなった時に通常の遺産相続を行うことを(一次相続)」と言います。

一次相続を行った後に、残された母も亡くなり、子供だけで母の相続を行うことが(二次相続)になります。

トラブルに発展しやすいのは二次相続のタイミングです。

なぜなら、一次相続の時には、母の存在があるため、子供たちは気を遣いつつ、遺産配分に多少不満があっても、「仕方ない」と譲り、話がまとまるケースの方が多いと思います。
(中には、一次相続のタイミングでトラブルになるケースもあります。)

しかし、二次相続では、その母も亡くなり、一次相続では「仕方ない」と譲っていた子供たちも自分の取り分に対し主張するというケースが多いのです。

さらに一時相続と二次相続では次のような違いもあります。
・配偶者の減税軽減が使えない
・小規模宅地の特例が適用できない
・相続人の1人が減ることで相続税の課税額があがる

よって、子供たちは、遺産分割に納得がいかず、兄弟姉妹でもめるケースが多くなります。

▶②認知症

②シニア夫婦

たとえば、父が亡くなった後で、母が認知症になってしまったという例でお話します。

長女は、介護をするために、母と一緒に暮らしています。
当然、母の介護や医療費等、いろいろな費用が必要です。
そのため、長女が、母の預金から母に必要な現金を引き出していました。
このようなケースが大変多くあります。

このこと自体は何も問題ありません。
しかし、その生活を長い期間続けたあと、母が亡くなってしまった場合、ここでトラブルが発生する可能性があります。

これは残念なことですが、いざ遺産を分ける事に成った時、長男が母親の預金通帳を見て「何でこんなに減ってるんだ!自分のために使っていたのではないか!」と言い出すことが、とても多いのです。

このようなトラブルにならないように、もし、親の財産を預からなくてはいけない場合は、簡単なものでも良いので、必ず帳簿をつけることをおすすめします。
買物をしたレシートや領収書をノート等に貼っていくだけでも大丈夫です。

とにかく、お金を引き出したら、「いつ、何に使った」ということがわかるようにするだけでトラブルを回避できる可能性が非常に高くなります。

財産を預かる事になった場合は、細心の注意が必要です

▶③キャッシュで分けられない財産

「うちは財産で揉める程ないから心配ない」と仰る方が多いのですが、実は、だいたい5,000万円くらいの財産があるご家庭が一番揉めやすいという統計結果があります。

何十億も持っている資産家の方がもめやすいというイメージがありますが、実はそうではないのです。

そして、キャッシュで分けられない財産がトラブル発生の原因になります。

◩財産8千万円(不動産4千万円・預貯金4千万円)の場合

⑥5000 (2)

このような配分になっているケースでは、トラブルになることは比較的に少ないと言えます。
なぜなら、不動産の相続を選ぶ相続人も、預貯金を選ぶ相続人も、きれいに4千万円ずつになるからです。

◩財産5千万円(不動産4千万円・預貯金1千万円)の場合

⑦5000 (1)

このような配分になっているケースはトラブルになる可能性が高いと言えます。

たとえば、不動産は長男、預貯金は次男という分け方にしてしまった場合、財産は、かなりアンバランスになってしまいます。

不動産の価値より、預貯金が少ないご家庭は、トラブルになる可能性が高くなります。

◎まとめ
①2次相続
②認知症
③キャッシュ分配不可
この3点がトラブルが発生しやすいケースとなります。

🌸相続法改正について

2018年7月6日
相続に関する規定を改正する法律が成立し、2018年7月13日に公布されました。

高齢化社会の進展等に対応するもので約40年ぶりの大きな見直しです。
施工期日は、改正項目によって段階的になっています。

①原則
2019年7月1日施工

②自筆証書遺言の方式緩和
2019年1月13日施工

③配偶者の居住権を保護するための方策
2020年4月1日施工

④公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度
2020年7月10施工

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