所有者(売主)に変わって裁判所の許可が必要な売却について

高齢化s

高齢化社会は、想像を上回るペースで進んでいます。
親や祖父母の世代の人たちが長生きすることは、誰にとっても喜ばしいことであり、わが国が住みやすい社会である証ということもいえましょう。
しかし、高齢化に伴って、解決すべき課題も山積していきます。

人が年を重ねれば、身体の状況に変化が生じるのは必定です。
認知症などによって物事を判断する能力が十分でなくなることもあるでしょう。
この状況が悪用し、高齢者の財産を狙った悪質な犯罪も見受けられるようになっております。

詐欺

従って、認知症などによって物事を判断する能力が十分でなくなった場合には、法によって、その財産を保護することが求められるようになりました。

判断能力が十分ではない人について、本人保護を目的として、定型的に法律行為に制限を加えるために、法定後見の仕組みが設けられています。

成年被後見人(被保佐人,被補助人)の居住用不動産を売却(処分)するには、家庭裁判所の許可が必要です。

また、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意も得る必要があります

例えば、現在老人ホームに入居していても、将来その土地建物に戻って生活する可能性があれば、成年被後見人の居住用不動産となります。
成年後見人が、家庭判所の許可を(後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意も)得ないで本人の居住用不動産を売却した場合には、売買契約に効力はありません。

尚、家庭裁判所の許可が必要な処分行為としては、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定の他、贈与や建物の取り壊しなどが含まれると考えられています。

家庭裁判所

裁判所HPから

居住用不動産処分の許可の申立てについて

成年後見人(保佐人,補助人)が,成年被後見人(被保佐人,被補助人)の居住用不動産を処分するには,事前に家庭裁判所に居住用不動産処分の許可の申立てをし,その許可を得る必要があります。
 (注) 保佐人(補助人)については,不動産処分の代理権が付与されている場合に限ります。



☛居住用不動産処分の許可の申立てについて【裁判所HP】

※この場合の居住用不動産とは、被後見人が、生活の本拠として現に居住の用に供している、または居住の用に供する予定がある建物及び敷地をいいます。

成年後見申立て手続きと必要書類

 後見開始申立書
申立付票(事の経緯を説明するもの)
後見人等候補者身上書
親族関係図
本人の財産目録
本人の収支予定表
本人の健康診断書
本人及び後見人等候補者の戸籍謄本
まだ成年後見等の登記がなされていないことの証明書

家庭裁判所の許可を得るためには、後見人が後見開始の審判をした家庭裁判所に、不動産の全部事項証明書や固定資産評価証明書の他、契約書案の写しや、査定書等を添えて申立てを行う必要があります。

売却許可の申立てに必要な主な書類

不動産の売買契約書の写し
不動産の登記簿
売却不動産の査定書など売却価格の妥当性を説明する資料
親族等の同意書

尚、申し立ては売却相手と売却金額が決まってからになります。
☛横浜家庭裁判HP


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まとめ

高齢化社会が深刻化している昨今、65歳以上の方の7人に1人が認知症を発症しているというデータもあるほど、認知症が身近な病気となっています。
認知症などにより判断能力が不十分となってしまうと、不動産売却などの法律行為が認められなくなってしまいます。
しかし日本の法律行為では、不動産の売却は所有者本人(登記上の名義人)がご自身で行う必要があります。
もし、ひとりで暮らしている親所有者本人が認知症を発症してしまい、どうしてもご自身で売却等の契約行為を行うことが出来ない状態にある場合には成年後見制度を利用することになりますが、成年後見人であっても、居住用不動産の売却等は家庭裁判所の許可が必要となります。