売却募集の「購入者います」自宅ポスト投函チラシは信用できる?
「この近くで資産家の方がお子様のご結婚に伴い一戸建てを探されています。条件が良ければ相場よりも高くても検討したします。」
とか、
「あなたのマンションを購入したいお客様がいます!」、「当マンション限定で物件を探している法人様がいます!」
いや~、この手のチラシが家のポストに入っている事たくさんあります。
まだまだあります
「〇〇マンション」限定でご希望は2LDK、ご予算は4000万円で購入を検討されているお客様がいらっしゃいます!
とか、
「急な転勤のため、3ヵ月以内に部屋を購入したいという希望者がいます」
「〇〇小学校」学区のエリア限定で予算6,000万円~7,000万円で一戸建てをお探しです。至急お住まいをお探しです!
「〇〇線」沿線で予算6,000万円~7,000万円で一戸建てをお探しです。
夫婦共働きのため保育園や小児科などが近くにあると検討しやすくなります。
「2世帯住宅」を注文建築するために広い土地をお探しです!予算は1億円以上ある裕福なお客様です。
「税理士から社宅を建築するように勧められている会社社長からの依頼です!
検討できるのは200坪以上の大きな土地になります。」
このチラシ、実際に私のお客さのご自宅マンションや戸建て住宅に投函されていたものの一握りのチラシなのです。
さて実に様々、とても具体的にアピールされた文言が並んでいて、しかもこれが手作り風なので至急感がある、こんなチラシが自宅ポストに入っていることが多々あると思います。
不動産売却を考えている方は、「へっ~、そうなんだ。そんな条件でならチャンスかもだし売ってもいいかも」って早々不動産会社に問い合わせしたりしませんでしたか?
もし問い合わせされて、さてこのチラシの購入者の方々、本当にいましたか?
お問い合わせしたけど、その不動産業者の担当者という者から、
「お問い合わせありがとうございます。はい、まだ探されています。
つきましては一度詳細をお伺いさせて頂きたいと思いますので一度お伺いさせて頂けますでしょうか?」
の回答だったらまだ良い方で、
「そのお客様はつい先日、他で決められてしまわれました。でも他にお客様がいるのでご紹介しましょう」とか、
言われた方も多いのではないでしょうか。
「まだいます。・・・お伺いします」は、お伺いするまでには既に決まってしまうことが多いのです。
また査定して後売却依頼を受け、その後内覧に来るお客様がダミーだったりも多々あります。
この場合の売却依頼契約はほぼ99%専任媒介契約か専属専任媒介契約になっています。
この2つの媒介契約では無ければ購入検討者をご紹介しないと担当者が言うからです。
しかし、その内覧者は担当者が用意したダミー客なので、そそくさと内覧した後、条件が合わないと回答され、そのまま販売活動に入るのです。
はい、これで禰鴨の出来上がりですね。
ポストに入っている「あなたの家を欲しがっている人がいます」は、ほとんどがウソなのです。
誰しも問合せしたくなるチラシの魔力
実は、私も引っかかったことが有ります。
不動産屋の私でも以前、そんなチラシを見て条件ぴったりの所有物件だったので、そのチラシに書いてある不動産会社に問い合わせしたことがあるのです。
その時の不動産会社からの返答は、「「そのお客様はつい先日、他で決められてしまわれました。でも他にお客様がいるのでご紹介しましょう」でした。
さてこれらのチラシ欄にある問い合わせ先は、大手不動産仲介会社の名前であることも多く、ついつい大手なら安心だろうと思ってしまいます。
チラシには買いたい人がいると言っているのだから高く売れるはずと思ってしまうのも、無理有りません。私もそうでしたから。
しかし、不動産会社からの返答はほぼ99.9%、最後は同じ回答なのです。
言葉は変われど「お客様は他の物件を買われてしまいました。ただこのまま売却活動は続けましょう。必ず買い手を探しますから!」です。
もう一度大事なキーワードですから書きますが、不動産屋はこんなチラシで問い合わせしてきた方をネギカモ(葱鴨)としてまっているということです。
投函チラシに食いついてきたことで、「あまり知識が無いかもだから簡単に誘導しやすそう」とか、他の不動産屋で売却中の方だった場合「今の不動産屋との関係があまりよくないんだろうな」とか、「早く売りたい理由があるに違いない」といった印象を、少なからず不動産業者に与えてしまうからです。
お問い合わせ頂けるなら、他の不動産屋で売却中の方の方でも構いません。
直接問い合わせしてきたんだから、不動産屋との関係があまりよくないことが多く、事実本当にそういう事が多いんですから、依頼替え(仲介業者替え)しやすくなるのです。
不動産売買の現場は、物件の囲い込み問題などで分かりづらい部分がとても多く、また一生に一度や二度しかない事なので、個人の売主は取引のしくみをまったく知らない「情報弱者」となります。
その結果、何も知らない状況を利用し、ひどい言い方をすれば勘違いした状況を利用し、不動産業者の良いように料理されてしまうことになるのです。
なぜ嘘のチラシを入れるの?
さて、なぜ不動産業者は手間暇かけてこのようなチラシを作成し、わざわざあなたのマンションのポストに投函するのでしょう?
実は、その答えは簡単です。
このチラシに引っかかって不動産を売りたいと言う売主を探したいからです。またその実よく売主さんも引っかかってくれるからです。
不動産会社は実は売り側の仲介業者に立ちたいと思っています。
それは仲介手数料がほぼ必ずってほど確実に入るからです。
売主から3%はほぼ確実になります。
また、買主からも3%も狙え、合計「成約価格×6%」の仲介手数料を稼ぐことがほぼ確立が高くなるからなのです。
もし買い手側の仲介の場合、その買い手のお客さんが他社で購入をされてしまった場合、何にも残らなくなりますが、売主側の仲介ならこのリスクがほぼなくなるからなのです。
このように不動産会社ならどの会社でも、できれば売り仲介業者のポジションに立ちたいと思い、そのためには売り物件を得るためのチラシがとても効果テキメンだからです。
実はかなりの人がダマされている!
「オレオレ詐欺」とか「信仰宗教」とか、なぜ騙されたり、入信する人がいるのでしょう?
原理原則はそれと同じなのです。
自分の一番弱い部分に漬け込むのが、この投函チラシの魔力なのです。
しかも、この手のチラシの不動産業者欄にあるのは大手ブランド力有る不動産業者の場合が多いのです
となれば、信じたくなるのもわかります。
ただ、一応、私もつい先ごろまで不動産業者に在籍していた者として言いますと、上記解説してきたようなウソのチラシを平然と作って投函する不動産会社が大多数の中、本当にチラシの買主がいる場合もあるのです。
これが全ての情報がウソとは限らないという事もあり、また実際にお客様がいる場合がありこの手のチラシが悪というわけではないのです。
買う場合、世界中で1戸しかない不動産を買うのだから、チラシにある不動産屋から買わなくてもいいんじゃないと思われるのもすごくわかります。
しかし、実際、本当にいる場合もあるんです。
仲介手数料がとても安いからその不動産業者で買いたいという購入希望者も抱えている正直な不動産屋も沢山いたりします。
もし、そんな不動産業者を知りたい人がいたら、どうぞ当協会へお問い合わせください。
数社お教えしましょう。
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