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海外赴任や海外在住中に、日本に所有している不動産はどうすればいい(賃貸or売却)!?

更新日2020-07-12 (日) 00:00:22 公開日2019年4月14日

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海外赴任を含め、さまざま理由で海外に移住したとき、日本にマイホームがある、あるいは、相続などで日本の不動産を所有することになったら…
海外にいたら、何かあっても、すぐ対処することが困難ですよね。
そんな時、日本にある不動産は、いったどうすればいいのでしょうか。

ここでは、海外に在住することになり、「日本国内に所有する不動産をどうするべきか」また「それぞれの方法のメリット・デメリット」についてご案内します。



「賃貸」または「売却」の選択

②賃貸売却

たとえば、日本に自宅(マンションまたは戸建て住宅)があった場合、その自宅を日本に戻ってくるまで「賃貸にするか」または「売却するか」の選択が必要になります。

「賃貸」と「売却」どちらを選ぶべきなのか…
選ぶためには、それぞれのメリットとデメリットを知ることが大切です。
メリットとデメリットを比較してみますので、参考にして頂ければと思います。

⑤メリットデメリット

「賃貸」のメリット・デメリット

賃貸のメリット

①定期収入が得られる

③収入jpg

借主がいることが前提になりますが、賃貸の場合、定期収入が得られるというメリットがあります。

ただし、不動産を所有していると経費がかかります。
この経費合計より家賃収入が高い場合に限ります。
経費には、住宅ローン・固定資産税・都市計画税等があり、マンションの場合は、管理費・修繕積立金などもあります。

もし経費合計より安い家賃で貸さなければいけない場合は、迷わず売却をお勧めいたします。

経費合計より高い家賃で貸すことができれば、収支がプラスになりますので差が大きいほどメリットも大きくなります。

②劣化を防げる

住宅は、人が住まなくなると、どんどん劣化していきます。
そう言った意味でも、「賃貸」で誰かが住んでいる状態にするのがベストです。

もし、経費合計より安い賃料しか取れない場合であっても、どうしても売却したくないという場合は、「賃貸」にすることで、劣化をある程度防ぎ、プラスにはなりませんが、経費の補てんにもなるため、空き家にしているより「賃貸」を選択した方がメリットがあるとも言えます。

賃貸のデメリット

①借主がすぐみつからない

現状、賃貸物件の空きがとても多くなっているため、借主がすぐみつかるかどうかというのがデメリットです。

②帰国後すぐに住もうと思っても難しい

仮に、都合よく借主が見つかったとしても、もし、ご自身が帰国することになって、貸している自宅に住みたいと思っても、借主を簡単には退去させることはできません。

現在の借地借家法では、借主の権利保護が強く、借主から退去すると言わない限り困難です。

③定期借家契約の場合、家賃が減額されるケースが多い

★定期借家契約とは
契約で定めた賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借主は退去しなければならないとする契約です。
原則として契約の更新はできず、再契約するためには、貸主、借主、双方の合意が必要となります。

定期借家契約で、賃貸借契約をするという方法もありますが、この契約は、期間限定になりますので、借主が不利になる契約と言えます。
そのため、家賃が減額されるケースがほとんどです。

④条件により源泉徴収額が差し引かれる場合がある

④源泉徴収票

海外在住が1年を超えると、貸主は非居住者扱いになります。
貸主(非居住者)が不動産を賃貸した場合(一定の条件に該当している場合)、借主は家賃の支払いをする際、支払金額の20.42%相当額を源泉徴収して税務署に支払う義務があります。

一定の条件(不動産賃貸時の変遷徴収判定)

⑤源泉徴収

つまり、貸主(非居住者)に支払われる金額は、借主が支払った金額の79.58%相当額となり、残りの源泉徴収した20.42%相当額については、借主が家賃の支払いをした翌月10日までに税務署に納付することになります。

貸主(非居住者)が、家賃収入から源泉徴収された分の還付を受けるためには、確定申告をする必要があります。
しっかりと確定申告をして還付を受けないと、損をしてしまいますので注意してください。

なお、借主が、個人で、本人または借主の親族(配偶者、6親等内の血族及び3親等以内の婚族)が居住する場合は、源泉徴収の必要はありません。

⑤確定申告について

②確定申告

不動産を賃貸した場合、家賃収入は、日本国内での不動産所得となりますので、日本で所得税がかかります。
そのため、海外に住んでいても、確定申告が必要です。

また、「賃貸」していても、赤字という場合であっても、確定申告をすることで、所得税が戻ってくる可能性がありますので、必ず確定申告することをおすすめします。

⑥納税管理人に依頼しなければならない

★納税管理人とは
貸主に代わり、確定申告書の提出、税務署からの書類の受け取り、税金の納付などを行ってくれる人のことです。
確定申告書は賃貸物件の所在地に提出する必要がありますので、海外に在住している貸主本人が手続き委をおこなうことは困難です。
そのために納税管理人を選定する必要があります。

納税管理人は個人・法人、どちらでも問題ありません。
知り合いなどにお願いすることも可能ですが、おこなわなければならない手続きがとても煩雑なため、大きな負担となる可能性があるため、税金について精通している税理士などを、選定されることをおすすめします。

納税管理人が決まったら「所得税の納税管理人の届出書」を所轄の税務署長に提出し、不動産所得を得た翌年の2月16日から3月15日までに、納税管理人に確定申告書を提出してもらうことになります。

⑦トラブル管理

何かトラブルが発生しても貸主が海外にいるためトラブル対応が困難です。


では、次に不動産売却するときについてみてみましょう。

不動産売却のメリット・デメリット

売却するメリット

①経費の支払いがなくなる

売却するメリットは、何と言っても、所有していたら必要となる、住宅ローン・管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税等の経費が無くなることです。

また、今後日本は、人口が減り、家余り現象となってきますので、売買金額が下がる可能性が高くなります。
そのため、もし先になって売却することを検討するという考えであれば、早めに売却されることをお勧めします。

②管理の必要がなくなる

売却により所有する不動産がなくなりますので、当然、管理の必要もありません

売却するデメリット

売却のデメリットは特に有りません。

ただ、海外在住歴により、不動産売却のルールが異なってきます。
1年未満の場合は、国内ルールが適用されますが、1年を超えると、非居住者扱いとなり、日本国内の不動産を売却する手続きが複雑になってきます。

まとめ

「賃貸」か「売却」か…
これは、所有者それぞれの環境に大きく左右します。

ただ、言えることは、所有することで掛かる経費(住宅ローン・管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税等)より、収入としての家賃の額が高いのであれば、「賃貸」にされることも前向きに考えていただければと思います。

②売買契約書

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