相続した空き家はどうしたらいいのか?

更新日2020-07-22 (水) 20:42:53 公開日2018年11月18日

空き家

ご両親が亡くなる前に住まわれていた家を相続したけど、そのまま空き家になっている。
どうにかしなければいけないけど、仕事もあってなかなか動けない。
何から手をつけていいかわからない。
どこに相談すればいいかわからない。
家具や家電など、ご両親が使っていたものもそのままになっている。

ここでは、このような状況の場合、「どうしたらいいのか」ということについてお話しています。

★目 次★


「平成30年住宅・土地統計調査」に空き家率の高い都道府県ランキングと、低い都道府県ランキングが紹介されています。
空き家率が最も高いのは山梨県で21・3%、2位が和歌山県で3位が長野県。空き家率が最も低いのは、埼玉県と沖縄県が同率で10・2%、3位が東京でした。

ただ、これは率で見た場合。
実は全国で最も空き家数が多いのは、なんと東京なのです。空き家率が最も高い山梨が9万戸なのに対し、東京は80万戸もあります。
本当の「空き家大国」は東京なのです。
また東京に限らず、住宅総数の多い神奈川県には8万戸、千葉県38万戸、埼玉県34万戸、大阪府70万戸、愛知県39万戸と、多くの空き家があるのです。
日本全国に空き家は増え続け、2018年の調査では846万戸に達しているのです。

空き家の問題とは⁉

空き家には、空き家になるだけの理由があります。

理由は大きく分けて3つ。
1つ目は住むのに不便な場所にあること、2つ目は相続した人がすでに家を 持っているため利用しないケース、3つ目は権利関係が複雑で放置されている場合です。
1つ目の問題は、政府が既にコンパクトシティ構想などで都市部に生活圏を変えようといろんな手を変え製作しているので仕方ない感もあります。
ただ問題は3つ目です。
権利関係が複雑で放置されている空き家がとても多いという現実なのです。
相続投棄されないまま放置された空き家があちこちにあるというのです。その原因を作っているのは2つ目のあきやになる理由に挙げられている相続した人がすでに家を 持っているため利用しないケースです。
相続したものの、そのまま放置され、いつの間にか権利関係が複雑化しているケースがとても多いのです。

相続登記は済んでいますか?

まず確認しなければいけないことは相続登記です。
これは必ずしなければいけないことです。

権利を動かす時は、必ず相続登記がなされていて相続した方の名義になっていないことには担保に入れたり、売ったりする権利を動かすこともできません。

相続登記の管轄は司法書士の先生になります。
相続登記を、まだされてない場合は、司法書士の先生に相談しましょう。

【S3】司法書士

空き家のままにしておくのはよくない!

これから先、空き家がどんどん増えていきます。
現状でも、空き家は問題になっています。

【S12】空き家率

この問題対し、国が動いて「通称:空家等対策特別措置法」が定められています。
どういったことかと言うと、空き家の適正管理をしない所有者に対し、市町村が助言・指導・勧告といった行政指導を行うということです。
国土交通省

実際に、各市町村のホームページなどで、実績として「助言が何件、指導が何件ありました」などと公開しているところもあります。
また、勧告にとどまらず、命令や氏名公表などの措置をとっているところもあります。

そのように、どんどん動いていますので、空き家のまま放置してはいけません。

それでは、どうしたら良いのでしょうか?
どんな方法があるのでしょうか?

1.空き家を貸す(有効活用)

賃貸

空き家を貸して賃貸経営をするという方法です。

ただ賃貸の場合は、借りてが早くみつかるためにも、内装等もきれいにする必要があります。

しかも、基本、賃貸経営というのは簡単なものではありません。
賃貸経営を専門でやっている人たちの業種というところもあって、それなりの知識と経験も必要になりますし、けっこう手間もかかります。

時間貸しスペース(レンタルスペース)

空き家の有効活用法として注目されているのが、時間貸しスペース(レンタルスペース)です。

たとえば、キッチンスペースがある場合は、料理教室として使う方に、時間でスペースを貸すというものです。

他にもエリアや広さによっても異なりますが、セミナー・ギャラリー・ワンデーショップ・地域のコミュニティースペースなどでも活用されているようです。

【S12】料理教室

更地にしてコインパーキングにする

更地にすると固定資産税が上がります。

200㎡以下の土地に関しては上に居住用の建物が建っている限りは、宅地の固定資産税は6分の1になるという特別措置があり、その特別措置を得るために(固定資産税を安くするため)建物を建てたまま放置されている場合があります。
それが問題になっています。

対策として、コインパーキングにすることで収入を得て、せめて固定資産税と管理の費用くらいは収益がでるようにするという考えで駐車場にされる方もいらっしゃまいます。

【S12】コインパーキング

2.空き家を管理する(保持)

そのまま現状を保持する方法です。

そのような専門の業者がいます。
月額2千円・5千円・1万円などのプランがあり、月に1度、所有者さんに、写真なども撮って「今こんな状態です」というような報告をしてくれます。

「掃除や換気を月1万円で2回します」というようなプランもあります。

そのような専門業者を利用される方もいらっしゃいますが、これはあくまでも現状維持をするための方法であり、「空き家をどうしたらいい?」という疑問の解決にはなりません。

「貸す」「管理する」▶所有しているときにかかる経費

「1.空き家を貸す」「2.空き家を管理する」というのは、所有者として不動産を所有しているということになりますので、経費がかかってきます

固定資産税

土地・家屋・償却資産(これらを総称して固定資産という)を所有している人が、その固定資産の価格をもとに算定された税額をその固定資産の所在する市町村に納める税金です。

メンテナンス費用

戸建の場合は、建物内であれば雨漏りなどをなおしたり、建物外であれば、夏になれば草がぼうぼうになりますので草刈をしたり、そのように近隣の方に迷惑にならないよう、いろいろなメンテナンス費用が必要になります。

管理費など

マンションの場合は、何もしなくても、管理費や修繕積立金がかかってきます。

火災保険料など

火災保険は、マンションの場合は加入できると思いますが、木造の戸建ての場合は、加入できない保険会社が多かったりします。

なぜなら、空き家というのは、不法侵入による火災がけっこう多く、保険会社のリスクが上がるためです。

ただ、火災保険に入らないわけにはいかないので、どこかに入るわけですが、空き家の場合、加入できたとしても、保険料が高くなります。
その費用も必要です。

このように、不動産(空き家)を所有していると、かなりのコストと手間が必要になります。

3.空き家を売る

結果として「空き家のまま放置、今後住む予定もない、どうしよう・・・」と悩むくらいなら、売却する方法がいちばんです。
余分な不動産は売った方がいいと思います。

空き家を売却しようと考えて、何をどこに相談すれば良いかわからないという場合は、まず不動産屋さんに相談してみましょう。

ただし、安易に不動産屋さんを決めるのではなく、慎重に選択して、良い不動産屋さんに相談しましょう。

不動産(査定)調査

不動産がどのくらいの価格で売れるか査定してくれます。
不動産(査定)調査には、2種類あります。

■机上査定(簡易査定)
該当物件近隣の売出事例や、過去の成約取引事例、公示価格などに基づいて、概算の査定価格を算出する方法です。

机上査定

■訪問査定
机上査定(簡易査定)に加えて、不動産屋さんが実際に現地に行き、、物件の状況や土地の地形、形状、接道状況、日当たり、周辺環境などを確認します。
さらに法務局や行政庁で法規制やインフラ状況を調査した上で算出する方法です。

訪問調査300

相続登記

先ほどお話したように、相続登記の管轄は司法書士の先生になります。
相続登記が終わっていない場合は、不動産屋さんが司法書士の先生を紹介してくれます。

解体

建物の解体が必要な場合は、解体業者さんを紹介してくれて解体費用の見積もりも取れます。

遺品整理

家具、家電、遺品などの処分が必要な場合は、専門の業者さんも紹介してくれます。

「売る」▶譲渡所得の特別控除

空き家をなくしていこうと言うことで、売る方のために、政府により「空き家にかかわる譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。

「空き家にかかわる譲渡所得の特別控除の特例」とは
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3.000万円まで控除することができます。
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から平成31年(2019年)12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができるという特例です。
国税庁 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

平成28年4月1日から平成31年(2019年)12月31日までの間に相続した家を売った場合となっていますが、これも住宅ローン控除とおなじで延びていくのではないかと思います。

簡単に言うと、「相続した居住用の財産を売った方に関しては、最高3.000万円まで譲渡所得の控除が受けられます」ということです。
これにより、譲渡所得の税金がかからない場合があります。

基本的には、売った(所得が生じた)金額に、「住民税+所得税」それぞれの税率がかかります。
短期譲渡所得で約40%、長期譲渡所得で約20%が税金としてもっていかれてしまいます。

【S12】譲渡所得

それを最高3.000万円まで控除します(無税という特例になります。

相続した不動産を所有したままですと、所有者としての責任や、わずらわしい経費も発生します。

ご自分では、相続した家に住むことはないということであれば、今、説明した特例もありますので、売却を前向きに考えられた方が良いと思います。

まずは不動産屋さんに相談しよう!

不動産屋さんは、いろんな業種の中間地点にいます。

ほとんどの不動産屋さんが、すべての業種の方とお付き合いがありますので、不動産屋さんを窓口にすることで、必要な業者さんを紹介してくれたり、専門的なアドバイスもしてくれると思います。

仮に売却までは考えていないという場合でも、信頼できる不動産屋さんを窓口にして相談されることをおすすめします。

【S4】信頼

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