不動産買取のメリット/デメリット
不動産の種類について
不動産売却には、不動産会社に直接買取ってもらう方法(買取)と、不動産会社が購入者を探して取引の仲介に入る方法(仲介)の2通りがあります。
この2つの方法にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。
ここでは、不動産買取の「メリット・デメリット」「買取を選択した方が良い売主の状況や物件」等について解説します。
★目 次★
「仲介」
次の流れにより売買契約締結後、不動産業者に仲介手数料支払うと言う流れで進行する方法です。
仲介の場合、不動産を買う人は個人のお客様になります。
「買取」
不動産を買取業者に買い取ってもらう方法です。
買取の場合、不動産を買う人は不動産買取業者になります。
「仲介」と「買取」の流れについて詳しくはこちら
「買取」に適しているパターン
①すぐに現金化したい場合
②売却することを人に知られたくない場合
③売却する時間がない、あるいはあまり手間が取れないという場合
④不動産の売却時に必要な経費(仲介手数料など)を支払う余裕がない場合
⑤築年数が古い物件である為なかなか買い手がつかない場合
⑥長時間、仲介で売れなかった物件を所有している場合
このようなパターンの場合は、買取がむいている可能性があります。
買取にむいている物件
接道義務を果たしていない物件や、自殺や事故など心理的瑕疵のある物件は市場で売却することがとても難しい場合が多いです。
接道義務を果たしていない物件は、金融機関の融資が難しいという事もあります。
事故物件の場合は、買い手が敬遠することがほとんどで、成約までとても長期化することが考えられます。
成約になるまで長期化する上に、市場価格よりかなり安くなってしまうという覚悟が必要です。
仲介で売るには多大な心労が掛かることが予想されますので、初めから買取を選択した方が良いということになります。
築年数が古い物件
築年数が古い物件は、なかなか買い手がつかないため、買取にまわしたほうが早く現金化することができます。
戸建の場合は築20年以上、マンションの場合は築30年以上が目安になってくると思います。
築年数が古い物件は、瑕疵担保責任により売主様が、責任を負う事になり兼ねませんので、仲介で売却するより、瑕疵担保責任が発生しない買取がむいています。
✿瑕疵担保責任とは
たとえば売った不動産の家が傾いている、給排水管設備に不具合がある、シロアリがいる、
雨漏りする、何かの事故があったなど、そのような事実が不動産を売却したあとでみつかった場合、売主様は、その情報を隠していたということになってしまい、状況を復旧させるような措置(改善、修復)をとらなければいけなくなります。
シロアリであれば、シロアリを駆除するような責任が発生することです。
事故物件
事件(殺人等)があったり、自殺があった物件は、一般の方はなかなか購入しにくい(ほぼ売却不可能)物件になります。
瑕疵担保責任にも、ひっかかってしまうため、その事実を黙って売ることもできません。
買取の場合、そのような物件もスムーズに買い取ってくれる業者もあります。
その他
・状態がかなり悪い物件
・敷地が広すぎるまたは狭すぎる物件
・増改築が多い物件
・敷地が道路に面していない物件
仲介から買取に変えた方が良い物件
仲介から買取に変えた方が良い物件は、売却活動を開始して1年以上売れないという物件です。
その物件は、該当エリアの不動産購入を検討されている人に認知されているはずです。
1年以上も成約にならず、その後も金額を下げ売却活動を続けるとなると「売れ残り」物件と判断され、さらに売却するのが難しくなってしまいます。
成約の保証はどこにもありません。
売れない理由は「間取りに市場性がない、設備が古い、室内状態が悪い」という場合が多く、この点を買取業者が買い取ったあとリノベ-ションするだけで高く成約することがあります。
結果的に売主さんは、買取を選択された方が良いケースとなります。
仲介と買取は使い分けしよう!
売却資金が必要な時期は確定(半年以上先など)しているという状況で、まだまだ時間に余裕があり、明確に仲介と買取を選択する理由がない場合は、少しでも手取り額が多くなる仲介で売却を進めて良いと思います。
まずは、売買仲介を専門とする不動産会社に売却を任せていいでしょう。
その後、もし価格を下げても売却ができないという状況になったとき買取を利用することも可能です。
ただし、買取を依頼することになった場合、買取金額は仲介を依頼した売買仲介を専門とする不動産会社が最も高いとは言い切れません。
従って、売主としては当初より仲介と買取を別々に検討することが必要となります。
ここで注意したいことは、売買仲介を専門とする不動産会社が買取保証をしているというケースです。
なぜ注意した方が良いか?
買取保証については次の記事を参考にされてください。
不動産買取保証!納得の条件で買取してもらう秘訣!
不動産売却時の買取保証の罠!
買取のメリット
買取で売却するときのリットはたくさんあります。それぞれ見てみましょう。
①売却期間が短くてすみます。
「仲介の場合」
売却期間→おおよそ3カ月以上、早くて6カ月必要です。
「買取の場合」
売却期間→早くて2週間、遅くとも1カ月程度です。
買取の売却期間が早い理由は、売却活動や購入希望者の内覧(物件の案内)など、仲介では必須とされる内容が必要ないからです。
買取業者と売主様で、買取金額について合意した場合は、すぐに売却することができます。
②すぐに現金化できます(資金計画が立てやすい)
「仲介の場合」
売却期間から見てもわかるように、支払手続きが完了する「現金決済・引渡し」までかなりの期間が必要となります。
「買取」の場合
販売期間が不要となるため、早期現金化(短期間で現金化)できます。
不動産を売却する場合、仲介による売却ではいつ売却できるか分からないのが最大のデメリットとも言えます。
このような場合にこそ買取による売却にメリットがあります。
買取の最大のメリットは、なんといっても最短で確実に現金化出来ることとも言えるのです。
仲介による売却の場合では、平均で2~3カ月程度かかるものです。
しかも、いついくらで売れるも不明なため、買い替えなどの予定も立てにくいこととなります。
相続で引き継いだ空き家を納税期日までに売却したいなどにも買取は期日を決めて確実に現金化できるためメリットになります。
会社で保有している不動産を決算までに売却したい など不動産会社へ買取による売却で予定が立てやすいというメリットが最も大きいでしょう。
③仲介手数料がかかりません。
「仲介の場合」
一般的には不動産の仲介契約を結ぶと「売買価格×3%+6万円+消費税」の手数料が発生します。
「買取」の場合
買取業者が直接買い取りますので、仲介手数料は必要ありません。
通常不動産を売却するときに成功報酬として不動産会社に手数料を支払いますが、買取で売却する場合はその仲介手数料がかかりません。
3,000万円の一戸建てを売却した場合にかかる仲介手数料は(96万円+消費税)ですが、これが掛からないという事になります。
但し例外もあって、ある不動産仲介会社と媒介契約を結んで、その不動産仲介会社の仲介で別の不動産会社や買取業者に買取をしてもらう場合は、仲介手数料を取られることもあります。
仲介と買取の双方で売却を考えている場合、一社の不動産会社と専属専任媒介契約を結んでいる場合は、売主の独断で別の不動産会社等に買取依頼できないという事になり売主として不利になる場合もあります。
④瑕疵担保責任が免除されます。
「仲介」の場合
瑕疵担保責任が発生します。
「買取」の場合
瑕疵担保責任は、買う人が個人の場合のみ義務が発生します。
買取の場合、業者が買い取りますので、瑕疵担保責任を負う必要はありません。
⑤周囲に売却活動が知られずにすむ
「仲介」の場合
不動産業者の売却活動により、インターネットに掲載されたり、チラシ配布などもありますので、住所や写真などで周りの方に売りにだしていることが、わかってしまう可能性があります。
「買取」の場合
不動産会社の売却活動はありませんので、周りの方に知られることなく売却することが可能です。
不動産を仲介で売却する場合、不動産会社はSUUMO、アットホームなどの不動産ポータルサイトに掲載し販売活動をします。
これらポータルサイトに掲載されるとあなたの不動産がインターネット上に掲載し宣伝されたり、チラシで広告されたりするため近所の人やご友人の目にとまる可能性が出てきます。
しかし、買取の場合このような広告宣伝の必要がなく、買主の内覧の必要もないため、誰にも知られずに売却が完了出来るというメリットがあります。
⑥現状のまま引渡し可能
「仲介」の場合
掃除(ハウスクリーニング)や壁紙交換、畳替えなどが必要な可能性があります。
更にリフォームが必要な場合は、高額な費用が必要になります。
「買取」の場合
現状のまま買取業者に売却することが可能です。
売る家の内装が痛んでいる場合、売るためにリフォーム等をする必要が出てくることがあります。
しかし買取の場合、これらのリフォーム等をする必要もありません。
不動産会社は物件取得後リフォームを行い売却することを前提としていますので不動産会社に売る買取では売るためのリフォームをすることは意味のない事となるのです。
買取のデメリット
デメリットとして最も大きいのが、売却価格が下がってしまうことです。
下がる理由として2点あります。
①買取業者は、売主さんから物件を買ったあと、転売して利益を得ます。
そのため、当然、安く買って高く売る必要があります。
②一般的には、転売する場合、ハウスクリーニングやリフォームなどを行い、買い手が付きやすいような状態にします。
買取業者は、それらの費用、また売れなかった場合の維持費なども考慮しているため、買取価格は通常の売買価格よりも下がってしまいます。
「仲介」の場合
相場価格に近い価格で販売価格を設定し、最終的に相場より少し下がった価格で売却になることがほとんどです。
「買取」の場合
一般的には、相場価格の70%〜80%程度の価格となります。
買取の種類
業者に買い取ってもらう場合、大きく分けて2つあります。
保証買取(保証付き買取)
買取保証とも言います。
一定期間、通常の売却活動を行って購入希望者を募ります。
定められた売却期間中に購入希望者が見つからなかった場合、事前に決めておいた売却価格にて不動産業者に買い取ってもらうという買取の方法です。
一般の人にも売るための販売活動を行って、それでも売れなかったら業者が買い取ってくれるということになりますので、売却までの時間に余裕がある方は、こういった方法をとることができます。
即時買取
売却活動をとくに行わず、売主さんと買取業者の買取金額が折りあった時点で、不動産業者に買取りしてもらう方法です。
簡単に言うと、リサイクルショップなどに不用品を買い取ってもらうのと同じようなイメージになるかと思います。
買取の場合の査定は3社以上に依頼しよう!
売却する不動産によって、不動産会社も得手不得手があります。
これは時計や絵画など嗜好品の買取の場合でも、得手不得手の中古買取業者がいることと同様です。
従って、買取を専門とする不動産会社の中でも、提示する買取金額に1〜3割以上の開きがあると考えてください。
そのため、少なくとも3社、できれば5社程度に買取査定を依頼することをおすすめします。
買取業者が提示する買取査定額は、買い取る時期や買い取る立場によって大きく変わる可能性もあります。
不動産の市況は景気や春先など時期によっても変動します(5月の買取り額と11月の買取額では大きな差があることも)
また、買取会社の決済期などでも買取価格は変わります。
さらに、不動産の市況が悪くなると不動産会社が買取条件に買取金額の有効期限を設けてくることがあり、場合によっては買取金額見直しを要求して来ることもあります。
もうひとつ変化する要素があります。
それは誰(仲介する不動産会社)が仲介するかによって買取価格が変わることもあるということです。
買取業者は買い取った後、リフォーム(リノベーション)して再販する場合が約99%。
つまり、再販価格によって買取価格が決まることになります。
この再販時売却に強い不動産仲介会社が仲介していた場合で結果的にその不動産会社が買取ることになった場合は、少々強気の買取価格を提示することができるというわけです。
このように、タイミングや買取業者によって、買取金額が異なる可能性があります。
買取も仲介も、売却時期やタイミングの見極めを誤ると大きく損をしてしまうことを把握しておきましょう。
不動産買取のメリット/デメリット まとめ
売却を「仲介にするのか、買取にするのか」その判断ポイントをまとめると、下表のようになるでしょう。
不動産会社に直接買取ってもらう方法(買取)と、不動産会社が購入者を探して取引の仲介に入る方法(仲介)の2通りのうち、どちらを選ぶかの基準としてみてみるのもいいかもしれません。
「仲介」がおすすめのケース
・売却金額は下げられない(できるだけ高く売りたい)
・売却時期は急がない(いつでも良い)
・築年数が新しい物件を売却したい
・立地条件が良い不動産を売却したい
・購入希望者の内覧に抵抗はない
・売却していることが分かっても問題ない
・維持管理もしっかりしていて室内状態も良い
「買取」がおすすめのケース
・買取価格が仲介時の売却価格より2、3割安くてもかまわない
・売却に至るまでの手間・時間が煩わしい・面倒
・資金の必要時期が確定していて期日迄に確実に売却したい
・他人に知られずに売却したい
・瑕疵担保責任を負いたくない
・築年数が古かったり内装が汚かったりで買主がつきにくいかも
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