住宅ローン(抵当権つき)が残っている不動産の売却について

更新日2020-07-11 (土) 22:35:38 公開日2019年5月15日

①住宅ローン

抵当権という言葉を聞いたことはあるけど、細かいところまではわからない方も多いのではないでしょうか。
また、住宅ローンが残っている(抵当権付きを含む)不動産を売却することはできるのだろうか…
抵当権を抹消するためにはどうしたらいいのだろうか...
その債務はどうなるのだろうか...

そのようなお悩みをお持ちの方に読んでいただきたい記事です。


✿抵当権とは

土地や建物などの不動産を購入する時は、住宅ローンでお金を借りる方がほとんどです。
その時、購入する不動産に金融機関が設定する権利(不動産を借金の担保として確保する権利)を抵当権と言います。
わかりやすく言うと、住宅ローンの支払いが難しくなった時は、その不動産を金融機関が取り上げますと言う担保権です。

抵当権を設定して住宅ローンを借りている場合、もし返済が滞ってしまったら、不動産が差し押さえになり競売にかけられる可能性があります。
ただし、1回滞納しただけで差し押さえられるというわけではありません。
差し押さえられるまでには、督促状が届きますので、その状況になったら注意が必要です。

🏠不動産を売却する理由

持分売却

まず、中古の不動産を売りに出すとなった時は、必ずそれぞれの理由があります。

大きな理由として
・お金に困っているので売却したい
・結婚した時、夫婦共有名義で住宅ローンを組んで家を建てたが、離婚することになり、家を売却して関係を清算したい
・事業資金が足りなくなったので持っている不動産を売却したい

このような理由で不動産を売りに出すわけですが、この場合、住宅ローンが残っているのが普通です。

🏠住宅ローン(抵当権つき)でも不動産売却は可能

そこで疑問となってくるのが、抵当権つきの住宅ローンが残っている場合、その不動産を売却することはできるのか、またその債務はどうなるのか…ということです。

結論を先に言えば、抵当権付きの不動産であっても売却することは可能です。

▶売主側の立場でみた場合

住宅ローンを全部支払わなければ不動産を売却することができないとなるとそれは大変です。
売りに出す理由として、お金に困っているから不動産を売却したいということが多いのに、売却するために、住宅ローンの残りをすべて支払うことなんて無理…ですよね。

でも、安心してください。
抵当権付の不動産であっても、残っている借金を、売却して買主から受け取る代金ですべて完済できるという見通しがあれば、問題なく、不動産を売りにだすことが可能です。

売主が購入時に住宅ローンを借りた金融機関は、売却した代金で融資している債務をすべて回収できるのかだけに関心があります。
そのため、買主が現れて、売れる見込みが高まってから金融機関に連絡しても大丈夫です。

④売却額とローン残

ただし、債務を完済するために、債務以上に高い金額で売却する必要があります。
不動産売却は、完済(抵当権をはずす)することが条件となります。
完済できなければ所有権移転も不可能です。

結果として、もし、売却金額より債務額が多い場合は、売主は差額を別途準備することになります。

▶買主側の立場でみた場合

先ほどお話したように、買手側は、不動産(抵当権付きの不動産を含む)を購入する場合、購入代金の全部、または一部を銀行等の金融機関で住宅ローンを受けます。

購入予定の不動産に抵当権が付いている場合、金融機関は、抵当権が抹消(完済)できたことを確認してからでなければ、住宅ローンの融資を実行しません。
そのため、買主側としては、抵当権付きの不動産を購入する場合も危険性はありません。

重要事項説明や不動産売買契約のときに、売主側から渡される登記事項証明書の乙区欄に「抵当権、根抵当権」の項目があったとしても問題ありません。

🏠司法書士・不動産会社の存在

理屈上は抵当権付きの物件を購入するのは危険だという認識ですが、不動産取引の実務上は資格を持った宅地建物取引士が売買を媒介しますし、何より司法書士が取引の安全をすべてチェックしてからでなければ取引は実行されませんので、買主が前持主の借金をそのまま引き継ぐようなことはありません。

▶司法書士

⓼司法書士バッチ

抵当権設定は金融機関にとって非常に重要な登記となるため、金融機関が買主本人に任せることはありません。
必ず司法書士への依頼を求められます。
不動産売買は、関係者の間に立って確実に登記申請をおこなう司法書士の存在が必須となります。

司法書士が申請する登記は次の通りです。
①抵当権抹消登記(売主) 
②所有権移転登記(売主から買主へ) 
③抵当権設定登記(買主)

上記の登記を司法書士が申請することにより
・買主の融資先金融機関は、担保権が抹消された不動産に自らの抵当権を設定することが可能になる
・買主は、売主の担保権が消えた不動産の登記名義を取得することが可能になる
・売主は、売買代金を受け取ることができる
このように関係者の権利関係が守られます。

▶不動産会社

③宅地建物取引士証

買主が住宅ローンを受ける場合、重要事項説明書をローン審査へ提出する必要があります。
重要事項の説明は法律により定められており、宅地建物取引士にしか行うことはできません。
重要事項説明書が作成されてない状況で、買主が銀行から住宅ローンの融資を受けることはほぼ不可能です。
融資を受ける場合は、必ず不動産会社に重要事項説明書を作成してもらう必要があります。

🏠抵当権についての注意点

▶個人間取引

買主側が注意する点として、個人間取引があります。
個人間取引とは、不動産の売買に、不動産業者(仲介)を介さず、現金で直接取引することです。

不動産会社が仲介する売買では、不動産会社が手続きの流れを詳しく説明してくれます。
しかし、個人での売買ではすべて自分達で考えて滞りなく進めていかなければいけません。

よくあるトラブルの例をあげると、売主の借入先金融機関への完済申込みがあります。
完済申込みとは、決済日に買主から受け取った売買代金をもって、売主の住宅ローン残債を一括で返済するための手続きを売主の金融機関にしてもらうための申し込みです。

この申込をしなかった場合、買主から売買代金が支払われたとしても、売主の住宅ローンの支払いに充当されず、そのまま売買代金が預金口座へ残ったままになってしまいます。
つまり、買主が購入する不動産についている債務をそのまま引き継いでしまう可能性があります。

売主の住宅ローンを完済しないまま抵当権がついた不動産を売買することは法的には可能です。
しかし、そのまま名義変更をしたことが金融機関に知られてしまった場合、一括返済などのペナルティーを科せられる可能性があります。

不動産業者に仲介手数料を支払うのが惜しいという理由で、個人間で直接取引をしてしまったり、無資格者が仲介に介入している場合などは、大きなトラブルに発展する可能性がありますので注意が必要です。

それでも、不動産会社の仲介がない個人売買をおこなう場合は、金融機関も抵当権抹消書類の準備が必要になりますので、少なくとも決済日の2週間前までにはくれぐれも忘れないように完済の申込みが必須となります。

ここまで、売主に住宅ローンの残債がある場合の例をご紹介しました。
もう1つ「債務は完済しているが抵当権の抹消をしないまま放置し、必要書類も紛失した」と言う状況で個人間売買する例をご紹介します。

売主から買主へ名義を変更をするためには、先に抵当権を抹消する必要があります。
この例であれば、登記申請に必要となる書類がないため簡単に抵当権の抹消を行うことはできません。
方法としては、売買の手続きに入る前に抹消すべき抵当権の抵当権者(売主が融資を受けている金融機関)に協力依頼をおこない法務局に対して事前通知と言う手続きをすることになりますが、この手続き及び金融機関への説明は非常に面倒です。
当事者だけで行う個人間売買であれば、大きな障壁になると言えます。

🏠抵当権と根抵当権について

登記簿の乙区に記載された抵当権とは、借金をした証としてその不動産に担保が付いていることを知らせると言う意味があります。

個人が不動産購入などで住宅ローンを組む場合は、融資金額が決まっているため「抵当権」となります。

しかし、商工業者などの事業者が融資を受ける場合は、商業活動によって、借り入れたり返済したりとお金の動きが激しいため、いちいち抵当権を付けたり解除したりではスムーズな事業活動ができません。
そのため、一定の範囲(極度額と言う)の借金をカバーできる方法を採用しています。
それが根抵当権という手続きになります。

不動産のことがあまり詳しくない方は、「抵当権設定」と聞くと驚かれる場合がありますが、今回ご案内したように、とくに大騒ぎするほどのことではありません。

🏠抵当権付きの不動産は相続もできるのか

ちなみに、抵当権が付いている不動産は売却は可能として、相続はどうなのか…
という疑問についてご説明します。

結論は、抵当権付きの不動産であっても、相続の対象(相続可能)になります。

この場合、相続税が課税されるという点では、通常の不動産と変わりありません。
抵当権が設定されているからといって不動産の相続税評価額が下がるわけでもありません。

ただし、未払い分については、マイナスの財産となりますので、財産の総額から差し引いて相続税が計算されることになります。

売却ではなく通常の抵当権抹消はどうなる?

ちなみに、売却するのではなく、住宅ローンを長年コツコツと返済していくことで完済した場合は、借入をした金融機関から抵当権抹消書類が送られてきます(自身で窓口に取りに行く場合もあります)
その書類をもって抵当権抹消登記を申請します。
この抵当権抹消登記も司法書士に依頼するのが一般的です。

🏠まとめ

抵当権つきの不動産であっても売却や相続をすることは可能です。
ただし、不動産業者や司法書士などの専門家を介していない場合、大きなトラブルに巻き込まれる可能性が大きいと言えます。

抵当権設定登記は登録免許税の減税を受けることができます。
減税を受ければ、登録免許税が4分の1になりますので、要件が揃うのであれば必ず抵当権設定登記についても減税を受けることをおすすめします。

登録免許税減税の詳細は次の関連記事でご確認ください。

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