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浮気・不倫の慰謝料請求に必要な要件(条件)を確認しよう!

更新日2021-02-10 (水) 17:10:51 公開日2020年4月3日

浮気(不倫)慰謝料を請求するときの
5つの要件(条件)について解説!
「不貞行為・故意過失・婚姻関係破綻・時効・証拠」

5つ

配偶者の浮気(不倫)がわかったとき不倫慰謝料請求を考える人は少なくありません。
しかし、浮気(不倫)されたからと言って必ずしも慰謝料を請求できるとは限りません。
獲得するためにはいくつかの要件(条件)があります。
ここでは、慰謝料を請求し獲得するための5つの要件(条件)について解説します。

★目 次★


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Q

画像の説明

慰謝料請求を獲得するために必要な要件(条件)
1.不貞行為(性行為)がある
2.浮気(不倫)相手が故意または過失である
3.婚姻関係は破綻していない
4.慰謝料請求の時効になっていない
5.浮気(不倫)の証拠集め

1つずつ確認してみましょう。

1. 不貞行為(性行為)があったことが必要

慰謝料を請求するためには、当然、不貞行為(性行為)があったことが必要です。
不貞行為は裁判で離婚が認められる原因になります。

たとえば、「相手(浮気相手)が積極的にしつこく迫ってきたので仕方なく不貞行為をしてしまった」と言い訳をする人もいます。
大人として自分の意思で誘いを断ることはできますから、それはまったく言い訳になりません。

ただし、不貞行為というのはあくまでも肉体関係があったことが必要になりますので、デートしていただけ、あるいはメールのやり取りだけという関係であれば、慰謝料を請求するのは非常に難しくなります。

2.浮気(不倫)相手が故意または過失であることが必要

浮気(不倫)相手が、夫または妻のことを「既婚者(結婚している人)だと知っている」
または「既婚者だと普通は気づくはずの状況」であったことが必要です。
不貞行為というのは損害賠償の対象になりますので故意(わざとすること)であることが必要です。

故意がなかった場合は過失が必要になってきます。

過失とは

過失というのは不注意、ミス、落ち度などをいいますが、少し注意していれば既婚者だとわかったはずなのにその注意を怠ったと言えるときです。

浮気(不倫)相手が夫または妻が既婚者だと知らなかったとしても、浮気(不倫)が長期間に及ぶ場合や回数が多い場合には過失も認められやすくなり慰謝料請求をしやすくなります。

実際の裁判実務上では「既婚者だと知らなかった」という主張は認められにくいようですが、念のために対策はしておくべきでしょう。
過失(知らなかった)とは言わせないための状況や証拠についていくつかご紹介しましょう。

・夫または妻と浮気(不倫)相手が同じ勤務先である
夫または妻と浮気(不倫)相手が同じ勤務先であれば既婚者かどうかは当然わかるはずです。
・家(自宅)が近所である
・共通の知人がいる
・夫または妻が結婚指輪をしている
このような状況があれば、浮気(不倫)相手の「既婚者だと知らなかった」といういい訳は通りにくいと言えます。

あと、なかには夫または妻の携帯電話をチェックするという人がいます。
浮気(不倫)しているのが夫の場合、もし夫と浮気(不倫)相手とのメールに「来週の旅行楽しみだね。奥さんに見つからないようにしなきゃ」というような内容があれば、それは浮気(不倫)相手が完璧に夫は既婚者であるということを知っている証拠になります。重要度が上がっていきますので、可能であれば、その箇所のメールを開いた状態で夫のスマートフォンを撮影するなどして保存しておいてください。
このように相手がいい訳をできなくなるような証拠を集めることが大切です。

故意・過失が認められるケース

・既婚者であることを知りながら肉体関係を持った
・既婚者だと知っていたが婚姻関係が破綻していると思い肉体関係をもった

故意・過失が認められないケース

・出会い系サイトなどで、お互いの素性をまったく知らず既婚者であることにも気付かないまま肉体関係を持った

3.婚姻関係が破綻していないことが必要

不貞行為の当時に婚姻関係が破綻していなかったことが必要です。

なぜなら、不貞行為の慰謝料請求時によく問題となるのが、慰謝料の請求をされている側が、「不貞行為時にはすでに婚姻関係(夫婦関係)は破綻していた」という主張をすることがあるからです。
なぜ「婚姻関係(夫婦関係)は破綻していた」という主張をするかと言うと

平成8年3月26日の裁判例 
裁判要旨
「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不貞行為責任を負わない」
引用:裁判所(裁判例検索)

これをわかりやすく言うと、夫の不貞行為がわかった時、夫婦の婚姻関係がすでに破綻しているときは、特段の事情がない限り、妻は夫に不貞行為の責任を負わない(慰謝料請求はできない)ということになるからです。
この根拠は、不貞行為が配偶者に対する不法行為となるのは、婚姻関係(夫婦関係)が上手く行っているときに裏切りとも言える不貞行為をすることであるため、すでに婚姻関係が破綻していた場合は、不法行為にならないということになります。

しかし、この婚姻関係破綻というのは、よほど長期間別居しているような事実がなければ、通常であれば、その主張は認められることは多くありません。
ただし、この婚姻関係破綻についても対策をしておくに越したことはありません。

整理すると、不貞行為により、夫婦生活が破綻し離婚した場合は慰謝料請求が認められます。
一方、不貞行為がわかったとき、すでに夫婦仲が悪く破綻して別居している状態であれば慰謝料請求は認められません。

4.慰謝料請求の時効になっていないことが必要

慰謝料請求に時効があることはご存知でしょうか。
慰謝料請求には時効があります。そのため消滅時効になっていないことが必要です。

時効

浮気(不倫)の慰謝料請求は「浮気(不倫)の事実と浮気(不倫)相手を知ったとき」から3年で時効となり、請求できる権利が消滅します。
そのため慰謝料を請求しても、浮気(不倫)相手や配偶者から受けとることが難しくなります。

しかし、3年がカウントされるのはあくまでも「浮気(不倫)の事実と浮気(不倫)相手を知ったとき」からになります。
もし、浮気(不倫)の事実は知っていたが、その相手が誰だかわからないという場合は、カウントが開始されないため浮気(不倫)相手に対する慰謝料請求権に時効がくることはありません。
さらに、浮気(不倫)相手を知っていたとしても、浮気(不倫)相手が時効を主張してこない場合は関係ありません。
もし浮気(不倫)相手もわかっていて、3年以上経っていたとしても、浮気(不倫)相手が特に時効の主張をしてこない場合は慰謝料を請求することは可能です。

5.証拠集めが必要

証拠が揃っていることが必要です。
ある程度、継続性のある肉体関係を伴う男女の関係を証明できる証拠が必要になります。
たとえば証拠はメールのやり取りだけというような場合は継続的な肉体関係までは証明できないことがあります。

証拠の考え方

慰謝料を請求する場合、不倫している側としては、必ずと言っていいほど何かしらの言い逃れをしてくるはずです。
そのため、言い逃れができないような決定的な証拠を集める必要があります。
メールなどは、いくらでも言い逃れが出来るのです。

たとえば、ホテルの出入り、浮気(不倫)相手の家の出入りを撮影するなど、言い逃れができないような決定的な証拠が必要になってきます。

メールや領収書などの証拠は「継続性や回数の幅を広げる・デートの証拠を証明する・親密の度合いを強める」といったあくまでも決定的な証拠を補足するために使用するというのが正しい考え方と言えます。

以上、浮気(不倫)の慰謝料請求に必要な5つの要件(条件)についてご紹介しましたが、慰謝料を請求するために、浮気(不倫)相手について最低限知っておくべきこともありますのでご案内します。

浮気(不倫)相手について最低限知っておくべきこと

「住所」・「名前」

浮気(不倫)相手について最低限「住所」と「名前」は把握しましょう。
なぜなら、住所が分からない場合、話し合いや交渉に行くことができません。
内容証明を送ることもできません。
名前が分からない場合、たとえば、浮気(不倫)相手が会社の寮に住んでいた場合は、同じ住所に多くの人が一緒に住んでいることになりますので浮気(不倫)相手を特定できないからです。

「勤務先」

「勤務先」も判明させておけばさらに良いです。
なぜなら慰謝料を請求したときの支払いに関係があるからです。
ある程度きちんとした会社に勤務していると分かれば、慰謝料請求の見通しもしやすくなります。

たとえば、浮気(不倫)相手が、請求した慰謝料の支払いに対し「一括払いでは難しい」ということで請求額が分割払いになってしまうケースもあります。

注意点!
慰謝料請求や養育費請求といった金銭支払いが分割払いになったときは必ず、「公正証書」を作ってください。
「公正証書」は「公証役場」で作成します。
「強制執行認諾約款付」の公正証書がありますので、これで作成してください。

「公正証書」についてはの記事をご確認ください。

協議離婚と離婚調停

例えば、養育費で説明します。
養育費は、子供が二十歳になるまで支払われるお金ですが、途中で支払いが滞るというケースは少なくありません。
理由のひとつとなるのが公正証書を作っていないことです。

強制執行認諾約款付の公正証書をつくっている場合、支払いが途中でストップしてしまったとしても、裁判に申し立てることなく、すぐに強制執行(給料差し押さえや預金差し押さえ)が可能になります。

話しを戻します。
慰謝料を請求したとき、浮気(不倫)相手からの毎月の分割払いが滞ることは十分あり得ます。
このように支払いがストップしてしまったときのために、勤務先を知ることが必要なのです。
公正証書を作っていると、浮気(不倫)相手の給料差し押さえがすぐにできるためです。

ただし、たとえば、不貞行為をした夫から既に慰謝料として200万円を受け取っていた場合、不貞行為の慰謝料の妥当な金額であるため、不貞行為の相手には請求できません。

不貞行為の慰謝料請求の相場は・・?

慰謝料を請求できるとしても、いったいどのくらい金額を請求できるのでしょうか。
気になる人もいると思いますので、慰謝料請求の相場について少しお話しましょう。

慰謝料請求の相場(目安)

離婚も別居せず夫婦関係を継続する場合50万円~100万円
浮気が原因で別居に至った場合100万円~200万円
浮気が原因で離婚に至った場合200万円~300万円

不倫・浮気で被害を受けた側から、浮気(不倫)相手だけに慰謝料の請求をすることは法律上で認められており、そのケースは多く見られます。

浮気(不倫)相手だけに慰謝料請求する時の注意点

浮気(不倫)相手だけが慰謝料を支払う場合、その責任は、夫または妻と浮気(不倫)相手の2人にあります。

例えば
100万円の慰謝料を不倫相手だけが支払った場合「私は請求された慰謝料を全額支払った。あなた(夫または妻)の負担分(たとえば半分の50万円)を私に支払って」と浮気(不倫)相手から夫または妻に請求することができるのです。
この権利を「求償権」といいます。

✿求償権とは・・
共同不法行為者(浮気の当事者2人)の一方が自身の責任部分を超えて慰謝料を支払った場合,もう一方の共同不法行為者に自己の責任を超過する分を請求できることをいいます。

配偶者に対して求償権を行使しないことを条件として示談を成立させるときには、示談書の中にその旨を示談の条件として記載しておきます。

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