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離婚後の子供との面会交流について
更新日2020-08-04 (火) 22:51:04 公開日2020年2月3日
離婚したあと
親権を持たない親は
子どもに会えないのか...
どうすれば会えるのか...
ここでは離婚後も子どもと会える権利「面会交流権」について解説します。
離婚時の取り決め
離婚をするときは、さまざまな決め事が必要になりますが、未成年の子どもがいる場合は、さらに子どもに係る大切な取決事項があります。
未成年の子どもに関する主な取り決め事項は次の4つです。
①子どもの親権
②養育費の支払額・支払方法・支払期間権
③離婚後の子供の戸籍や名乗る姓(苗字・名字)
④子どもとの面会交流
この記事では「④子どもとの面会交流」について、離婚によって離れ離れになってしまった子どもと会うための方法等について解説します。
★目 次★【離婚後の子供に面会交流について】
✿面会交流権(民法766条)とは
離婚したあと、離れて暮らしている子どもと直接会ったり、連絡をとりあうことができる権利を言います。
面会交流権は、親子である以上、お互いに会いたいと思うのは自然のことであるため、親だけではなく子どもの権利でもあります。
ここでは「離婚時に元妻が未成年の子どもを引き取った(親権者になった)」という例を使ってお話します。
離婚後、元夫が元妻に「子どもに会わせてくれ」と言っても、なかなか会わせてくれないというケースは少なくありません。
「面会交流について決めなければ離婚できない」ということではありませんが、とくに親権を持たない元夫は、このようなことにならないよう、離婚する前に面会交流についてきちんと決めておく必要があります。
通常、離婚する夫婦は夫婦の話し合いにより離婚する(協議離婚)ことが一般的です。
協議離婚の場合、面会交流についての決まり事を離婚協議書などに文書に残すことをおすすめします。
しかし、協議離婚の場合、夫婦間での話し合いになりますので、関係性がこじれていればいるほど、子どもに会いたい夫と会わせたくない妻の意見があわず、面会交流について、まったく決まらないケースもあります。
夫婦の話し合いで決まらなかったときはどうすればいいのか…
家庭裁判所の面会交流調停
そういった場合は、家庭裁判所に面会交流の「調停」を申し立てることができます。
調停では、先述した「面会交流に関する取り決め事項」について具体的な取り決めを行います。
家庭裁判所の判断基準
調停では、調査委員が子どもの生活状況・精神状態・意思などを調査し、子どもにとって適正な取り決めができるように話し合いをします。
調停で話しがまとまらないときは審判に移行します。
家庭裁判所の面会交流を認めるか認めないかの判断はあくまでも子どもの利益の観点になります。
もちろん、元妻の了承があれば、面会交流を月2回3回と増やしたり、宿泊することも可能になります。
ただし、合わせたくない意思が固いときは、調停員が子どもを第一に考え、元夫婦の話しを聞いて調整することになります。
「子供に会いたいのに会わせてもらえない」など元夫婦の間で揉めている場合、面会交流は、月に1回程度が多いようです。
調停で定められた面会交流について相手が拒絶(守らない)したときはどうなる
元妻が面会交流を拒絶すると、元夫は慰謝料を請求することができます。
元夫は、親として子どもと会う権利があります。
さらに家庭裁判所の調停や審判で定められた権利も持っています。
その権利を無視して拒絶されたとなると元夫は大きな精神的苦痛を受けます。
そのため、元夫から元妻へ慰謝料の請求ができるのです。
慰謝料の金額は、拒絶した事情、会えなかった期間などによりさまざまです。
大きいときは100万円前後になることも予想されます。
慰謝料の支払い請求を受けた元妻が、それも無視する場合は、裁判となり強制的に元妻の財産から慰謝料を取り立てるという可能性もあります。
面会交流調停
面会交流調停の方法を解説しておきましょう。
申立人
・父
・母
申立先
相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
管轄裁判所を調べたい方はこちら
申立てに必要な費用
・収入印紙1200円分(子ども1人につき)
・連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
申立てに必要な書類
(1) 申立書及びその写し1通(6の書式及び記載例をご利用ください。)
(2) 標準的な申立添付書類 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
※審理のために必要な場合は追加書類が必要な場合があります。
なお、面会交流調停の申立書と記入例は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
どこまでの内容を決める必要があるのか…
面会交流に関する取り決め事項
家庭裁判所の面会交流調停に限らず、夫婦間のみの話し合いでも以下の内容は決めておいたほうが良いでしょう。
1.子どもと面談する頻度
子どもと会う頻度を決める
面会交流の頻度は月に1度が平均と言われています。
2.子どもと会う場所
具体的にどこで会うかを決める
元夫の自宅、あるいは元夫が元妻の自宅に来る、レストランや遊園地といった公共の場所など
3.子どもと会う時間
子どもと会う時間を何時から何時まで、何時間にするかを決める
4.子どもの受け渡し方法
元妻が元夫と待ち合わせしている場所まで連れていくなど、具体的に決める
5.付添人の有無
元夫が子どもと二人だけで会うのか、第三者を交えて会うのかを決める
6. お小遣いやプレゼント
子供の健全な成長のためにも、高価なプレゼントを面会交流の度に渡すのは良くありません。
誕生日やクリスマスなどの節目に渡すのは良いか、またそのような特別な日に会えるかどうかを決める
7.連絡方法
元夫婦がメールアドレスや電話番号を交換し、面会交流についての連絡方法を決める
8.学校行事の参加
体育祭・文化祭・入学式・卒業式などの学校行事への参加有無について決める
9.宿泊の有無
子どもと一泊旅行に行ってもいいかなどを決める
10.間接的な交流方法
子どもと手紙やメールなどで連絡してもいいかなどについて決める
子どもの養育費と面会交流を取り決める合意書のひな型は、法務省のウェブサイトからもダウンロードできます。
面会交流調停の現状
現状では面会交流調停の約60%が調停成立で終了しています。
面会交流調停で合意ができず、調停が不成立になったときには、審判の手続きに自動的に移行し、家庭裁判所の裁判官が一切の事情を考慮して面会交流を認めるか認めないかの決定と、認める場合は面会交流の方法を判断します。
家庭裁判所の面会交流事件の約10%が、このような裁判官の審判で終了しています。
そのうち85%程度が面会交流を認める結果となっています。
ここで、実際問題として、何が最も重要なのかを考えてみましょう。
離婚する夫婦はどうしても自分たちの感情を優先してしまう傾向があります。
しかし、もっとも考えなければいけないのは、やはり子どもの意思ではないでしょうか。
子どもの意思
夫婦が離婚したとしても、親と息子の関係・親と娘の関係が切れることはありません。
離れて暮らすことになり、月に一回程度しか触れ合う機会がなくなったとしても、幼い子どもが「お父さんと会える」「お母さんと会える」という機会を設けてあげることが大切です。
面会交流の期限
面会交流の期限は、子どもが成人するまで(2022年からは18歳)となっていますが、現実で考えると幼い子どもはいいとして、中学生くらいになれば自分の意思がしっかりしています。
子どもが「会いたくない」と言うのなら、会うことを強制することは難しいでしょう。
そのくらいの年齢になれば、法律云々ではなく、それまでの親と子どもの関係で決まると言えるのではないでしょうか。
何にしても子どもの意思を第一に考えてあげることが重要です。
まとめ
離婚することによって一番の被害者は子どもです。
親は感情に任せ、また専門家と法律の拠り所があって解決できることもあるでしょう。
しかし、子どもはそうではありません。
DVなどの問題がある親の場合を除き、子どものために積極的に会う機会を作ってあげてください。
なかには調停中に親権者である親が次のような主張をするケースがあります。
・絶対に子供と2人きりで会わせたくない
・子供に暴力するから2人きりになってほしくない
・子供を連れ去られるかもしれない
このように二人で会わせることが不安な場合は、家庭問題情報センター『通称エフピック(FPIC)』という第三者機関を利用することもできます。
面会交流をはじめ離婚に伴うさまざまなお悩みをお持ちの方はお気軽にYUIKAにご相談ください。相談料はもちろん無料です。
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