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不倫慰謝料の時効ってあるの…?
更新日2020-10-26 (月) 23:26:09 公開日2020年3月13日
皆さんは不倫慰謝料請求に時効があることをご存知でしょうか?
請求しないまま時効になったら慰謝料請求はどうなる!?
配偶者の不倫・浮気が発覚したとき、「離婚」という言葉が頭に浮かぶ人は少なくありません。
しかし、幼い子どもや今後の生活のことを考えると「すぐには離婚できない」と考える人も多いでしょう。
子どものため、生活のために、離婚することなく夫婦として継続する道を選んだ場合、被害者(夫または妻)は、不倫・浮気について心が傷ついたままで、その後の生活もずっと不安定でピリピリした夫婦関係になる可能性があります。
まして、被害者の立場では、何も責任追及をしないとなると納得いかないという話になるでしょう。
そこで考えられる責任追及が「不倫慰謝料の請求」です。
慰謝料はよく聞く言葉ですが、不倫慰謝料の場合、被害者の傷ついた心に相当する分のお金を要求するという方法になります。
不倫慰謝料は、不倫した配偶者(夫または妻)と不倫(浮気)相手の両方に請求することができますが、離婚しないという選択をしたのであれば、今後の生活もありますので、配偶者(夫または妻)に請求する意味はあまりないといえます。
その場合は、不倫(浮気)相手にだけ請求することも可能です。
ただし、ここで注意しなければいけないことがあります。
今回のテーマは「不倫慰謝料には時効がある?」ですが、その通り、不倫慰謝料には時効があります。
不倫慰謝料に時効があることをご存知ない方もいらっしゃいますので、時効が過ぎて請求できなくなったということがないように解説したいと思います。
★目 次★
この記事の内容を【動画】でご案内しています。
不倫慰謝料請求の時効
不倫慰謝料請求の時効は、相手に慰謝料を請求できる権利を失う期限のことをいいます。
①不貞行為の事実と、浮気(不倫)相手が誰なのかの両方を知ったときから原則3年以内
②不倫(不貞行為)が原因で離婚したときから原則3年以内
③不倫相手の素性がわからない場合は除斥期間(じょせききかん)20年
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
引用:民法
✿不貞行為とは
配偶者以外の異性と自由意志で肉体関係を持つことです。(民法第770条第1項)法定離婚事由として認められる離婚原因のひとつです。
✿除斥期間とは
不貞行為があったときから20年経過すると、被害者が不貞行為があったことを知らなかったとしても不倫慰謝料請求の権利が消滅するという期間です。
ひとつずつ見てみましょう。
①不貞行為の事実と、浮気(不倫)相手が誰なのかの両方を知った時から原則3年以内
配偶者が不倫していることはわかっても、不倫相手が誰なのかわからない場合(名前・住所など)は具体的な請求先がわからないため消滅時効のカウントダウンは開始されないため浮気(不倫)相手に対する慰謝料請求に時効がくることはありません。
あくまでも、不倫相手の名前・住所などが判明した後から3年となります。
ただし、このケースでも、配偶者に対しては不倫慰謝料の消滅時効は進行します。
なぜなら配偶者の名前・住所は当然判明しているためです。
②不倫(不貞行為)が原因で離婚したときから原則3年以内
配偶者の浮気・不倫により被害者がどれだけ精神的苦痛を受けていても、一定期間が経ち、配偶者や浮気(不倫)相手が「時効の援用(えんよう)」をすると、被害者は不倫慰謝料を請求する権利がなくなってしまいます。
✿時効の援用とは
「もう慰謝料請求権は消滅している」と意思表示することです。
浮気(不倫)相手が「時効が完成しているから慰謝料は払わない」と意思表示をすることで慰謝料の支払を拒否することができるというものです。
口頭ではなく内容証明郵便など記録に残るものを使うケースがあります。
反対に、浮気(不倫)相手が時効の援用(時効を主張してこない)をしないときは浮気(不倫)相手もわかっていて、3年以上経っていたとしても、慰謝料を請求することは可能です。
③不倫相手の素性がわからない場合は除斥期間(じょせききかん)20年
20年以上不倫の事実に気づかない場合、請求権(慰謝料を請求できる権利)が消滅します。
3年の時効は、不倫相手が判明した日、あるいは離婚した日が基準になりますが、20年の期限(除斥期間)は浮気(不倫)相手が判明したかしないかは関係なく、不倫の行為(不倫関係が始まった日)が行われてから20年と定められています。
20年経過すると、不倫について不倫をした配偶者にも浮気(不倫)相手にも慰謝料の請求はできなくなります。
さらに、途中で不倫(不貞行為)が発覚した場合は、そこから3年後が時効となります。その場合、20年の期限(除斥期間)は関係なく、3年の時効がきた時点で慰謝料の請求権が消滅します。
請求権の消滅
整理してみましょう。
①不貞行為の事実と、浮気(不倫)相手が誰なのかの両方を知ったときから原則3年以内
②不倫(不貞行為)が原因で離婚したときから原則3年以内
③不倫相手の素性がわからない場合は除斥期間(じょせききかん)20年
先述したこれらの時効を言いかえると次のような場合は請求権(慰謝料を請求できる権利)が消滅するということになります。
①不倫の事実と浮気(不倫)相手がわかったあと3年経過しても慰謝料を請求しない場合
②離婚して3年以上経っても慰謝料を請求しない場合
③浮気(不倫)の事実に20年以上気づかなかった場合
このように不倫慰謝料請求の時効は請求する相手やそれぞれの状況によって期間が異なります。
請求権が消滅すると、その後、慰謝料を請求しても、浮気(不倫)相手や配偶者から受け取ることは難しくなります。
不倫慰謝料の時効を止める3つの方法
不倫(不貞行為)の慰謝料請求の時効を止める(時効の中断)方法は「慰謝料を請求する意思がある」ということを、慰謝料を請求する相手に伝えることです。
ただし、たとえば口頭で伝えても「聞いてない」と言われたら終わりです。
そのため、早めの手続きを取り確実な方法で請求する相手に伝える必要があります。
不倫慰謝料の時効を中断する確実な方法を3つご案内します。
➀裁判(裁判上の請求)
②催告(配達証明付き内容証明郵便の送付)
③債務を承認させる
➀裁判(裁判上の請求)
裁判を起こし慰謝料を請求する方法です。
家庭裁判所に裁判(訴訟)を提起した時点で、仮に時効が間近に迫っていたとしても、時効のカウントがストップします。
裁判所の手続きを利用するためには「訴訟の提起(不倫を原因とした慰謝料請求について裁判を起こしますと申請すること)」と「調停の申し立て」が必要です。
✿調停とは
夫婦間や不倫相手との間での話し合いで、慰謝料の金額や支払いについてまとまらない場合に、家庭裁判所を通じて話し合い、合意を目指す仕組みのことです。
家庭裁判所にて、調停を申し立てることで、時効を止めることができます。
「調停」についてはの記事も参考にされてください。
②催告(配達証明付き内容証明郵便の送付)
時効が間近に迫っているというときには、まず「催告」を行うことで一時的な対処が可能になります。
✿催告とは
内容証明郵便で慰謝料を請求し一時的に時効を止めることをいいます。
催告を行うと催告のときから6ヶ月間時効を延長でき、その間に裁判を提起すれば時効を中断できます。
催告は口頭でもできますが、口頭はトラブルが生じるおそれがあるため、配達証明付き内容証明郵便を利用して行うのが一般的です。
✿内容証明とは
差出日・差出人の住所、氏名・宛先の住所、氏名・文書に書かれた内容を日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。
✿配達証明とは
配達した日付を証明してくれる郵便の制度です。
配達証明付き内容証明郵便を慰謝料を請求する相手(配偶者もしくは不倫相手)に送ります。
催告には注意しなければいけないことがあります。
注意1)
配達証明付き内容証明郵便を送付しても時効が6ヶ月延長されるだけです。
その6ヶ月のうちに慰謝料請求について和解成立させるか、裁判をしなければ、6ヶ月後には時効が成立してしまい請求権は消滅してしまいます。
注意2)
催告による6ヶ月の時効延長は1度きりです。
催告するたびに時効が延長するわけではありません。
(例)
不倫発覚が2017年2月1日という例を使って説明します。
不倫発覚が2017年2月1日ですから、本来の時効は3年後の2020年2月1日になり、時効以降は請求権が消滅します。
しかし、時効が来る前の2019年10月10日に配達証明付き内容証明郵便を送付すると、時効を6ヶ月延長できますので新しい時効は2020年4月10日になります。
③債務を承認させる
✿不倫慰謝料請求での債務承認とは
不倫した配偶者や浮気(不倫)相手に不倫慰謝料の支払い義務があることを認めさせることをいいます。
先ほど説明した「配達証明付き内容証明郵便」を送付したことにより、相手が慰謝料の支払いを承認(慰謝料の支払義務を認める)すると、消滅時効の進行を止めることができます。
「催告」のところでも説明しましたが、「債務承認」も「催告」と同じく口頭でも成立しますが、トラブルが生じる可能性がありますので、たとえば「不倫慰謝料を支払います」というような相手が承諾したことを明記必ず書面化(署名・捺印)する必要があります。
慰謝料請求をするのであれば早めの手続き開始が重要
慰謝料請求をするのであれば、できるだけ早く手続きを開始することが必要です。
時効がくるということもありますが、不倫(不貞行為)があったことを第三者にわかってもらうためには証明できる証拠が必要になります。
不倫(不貞行為)の証拠集めは、相手も証拠隠滅をする可能性がありますので、通常でも困難です。
それが時間が経過するほどますます難しくなるためです。
まとめ
不倫や浮気による不貞行為とその相手の両方が判明して3年経過すると、消滅時効の対象となり、慰謝料を請求することができなくなってしまう可能性が高いので注意してください。
まずは不倫慰謝料の時効について把握することが必要です。
そして、時効が過ぎてしまわないうちにきちんと慰謝料を請求されてください。
2020年4月より改正民法が施行され消滅時効の制度がかわります。
不倫慰謝料請求の時効については、大きく内容が変わるわけではありません。
しかし経過措置も含め旧法と全く同じというわけではありません。
気になるようでしたら専門家(弁護士)に確認されてください。
また、時効期限が迫った不倫慰謝料の請求についても、自分ですることが不安であれば専門家(弁護士)にお願いするのも良いと思います。
自分でするときは心理的なストレスもかなり大きくなると思います。
手続きに専門知識も必要となりますので、万が一間違ってしまえば手間もかかってしまいます。
うまくいかず最終的に専門家に依頼したとしても、そのときは時効間近ということにも成り兼ねません。
弁護士に依頼した場合、当事者同士より感情的になることは無く、交渉もスムーズに進みます。
結果、時効にかかることなく早期解決も可能になります。
・早期解決ができる
・慰謝料請求に関する時効が中断・回避できる
・最新の法律で対応してもらえる
もし依頼したいけど弁護士に心当たりがないという場合は、YUIKAへご相談ください。
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