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共有名義の不動産(戸建・マンション・土地)の共有持分のみ売却はできるのか?!

更新日2021-05-24 (月) 01:54:47 公開日2018年11月19日

共有持分

✿共有名義とは
不動産(戸建てやマンションなどの建物や土地など)を取得する際、共同でお金を出し合いその出資額の持分割合に応じた所有持分で登記することを言います。共有者との共有状態にあります。

✿共有持分とは
複数の人(共有者)が1つの不動産を共同で所有している時に、それぞれの共有者がその不動産について持っている所有権の割合を言います。
例えば、3,000万円のマイホームを夫と妻がそれぞれ1,500万円ずつ出資して購入した場合、夫と妻それぞれ2分の1ずつが所有持分(所有権の割合)になります。

不動産購入時に共有名義にする場合は共有者で持分割合を決める必要があります。

✿持分割合とは
上記で説明した所有権の割合を表すものです。
(共有者のAさんが3分の2 共有者のBさん3分の1)というような割合で表します。

共有名義(共有持分)の共有不動産を所有されている場合、共有者が複数名いらっしゃいますので、通常とは異なる部分が多くあります。

・自分名義の共有持分のみ売れるだろうか・・
・その時、ほかの共有者の許可は必要なのだろうか・・
・どんな手続きや問題点、注意点があるのだろう・・
・どんな対策が必要なのか...

そのような疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。

「自分名義の共有持分のみ売れるだろうか・・」という件について結論を言えば、自分名義のみ共有持分を売却することは可能です。
共有持分は、あくまで独立した権利です。

また、自分名義の共有持分だけを売却する場合は、ほかの共有者(共有名義)の合意は必要ありません
自分の持ち分だけを他人に売ること自体は、ほかの共有者に反対者がいてもいなくても、自分の判断で売却できます。

ただし、自分名義の持分のみを売却するときは、注意しなければいけないことがあります。

まず、先ほどお話したように「自分名義の共有持分のみを売却(譲渡)することは可能です。
ちなみに、共有不動産全体を売却する場合は他の共有状態にある共有者の合意が必要です。
自分名義の共有持分のみと共有不動産全体の場合を混同されて「自分名義の共有持分を売却(譲渡)したいときも他の共有者の許可がなければ売れないのでは?」と勘違いされている方が意外に多くいらっしゃいます。

更に、共有持分の転売業者(「買取」をおこなう専門の業者)についても注意が必要です。
ここについては、後ほど説明します。

いずれにしても共有持分の売却にはさまざまな問題点があります。

ここでは、共有持分の売却を考えたときに必要になること、注意点、最善策等について事例を取り入れながら徹底解説します。

★目 次★


この記事の内容を【動画】でご案内しています。


🏠共有持分だけを売却(譲渡)したい時、買う人はいるのでしょうか

▶買い手がつくのは難しい

先ほどお話したように、たとえば、共有者が4名いらして、自分名義の持分が全体の4分の1ある場合、その4分の1を売却することは法律的には可能です。

ただ、「4分の1だけを買う人がいるのか?」となりますと、一般の個人はもちろん、不動産会社でも共有持分のみの買取は行っていないケースが一般的です。
そのため共有持分のみの買い手がつくのはなかなか難しいと言えます。

親戚や知人などに個人間売買をするという方法もありますが、個人間売買もさまざま問題点があります。

▶共有持分買取業者は共有持分のみ買い取ってくれる

仮に持分のみを買うとするなら、よほど、その物件の内容を熟知していて、これから先どうなるかというのを見通せるプロの共有持分買取業者です。
共有持分買取業者は基本的にどんな不動産の共有持分でも買い取ってくれます。

【共有持分買取業者のしくみ】
安く買取 

更に他の共有者(共有名義)の共有持分も安く買取

高く売る(転売)

転売利益を得る

画像の説明

▶業者への売却価格が安くなる理由

たとえば全部で1千万円の土地があり、共有者が4名いる場合、自分名義の持ち分は、250万円/人になります。
だからと言って「250万円で売買しましよう」という話には残念ながらなりません。

なぜなら、ほかの共有者との交渉が上手くいかないこともあり、最悪、裁判をして共有物の分割請求などもしなければいけないことがあります。
そうなってしまえば、年単位で時間がかかり、裁判費用や弁護士費用もかかります。
結果、250万円のものを250万円で買うというふうには当然なりません。

そのため、共有持分買取業者に売却する場合は、安くしか売れないというデメリットが生じます。

そのデメリットを考えると、業者に売ることも難しい問題となり、基本的に自分名義の持分だけを売却したいと思っても、購入者をみつけることは難しいという結論になります。

ただし、人情的、感情的なもので、「どちらかと言うと、お金より気持ちの問題で手放したい」ということであれば、安い金額にはなりますが、売却するという選択肢もあると思います。

【共有持分買取業者に持分のみを売却する手順】
・不動産の査定依頼
・買取金額の提示をしてもらう
・提示された金額に納得できたら契約締結
・決済を行い共有持分のみの不動産名義変更をして代金を受け取る

【共有持分買取業者に持分のみを売却するときのメリット】
・共有持分のみの売却となるため法律的には他の共有者の同意や報告なども不要
・決済と同時に持分の売却代金が支払われる(現金化できる)
・面倒な共有関係から離脱できる
・現金化できるまでスピーディ(早いときは数日で現金化可能)
 
【共有持分買取業者に持分のみを売却するときのデメリット】
・買取価格がかなり安くなる可能性あり

【共有持分買取業者に持分のみを売却するときの注意点】
共有持分を売却するとき、他の共有者(共有名義人)の同意は必要ないと説明しました。
ただし、他の共有者(共有名義人)が身近な人である場合、黙って売却することであとあとトラブルになる可能性もあります。
法律上、共有者(共有名義人)の同意は不要ですが、現実としては共有者(共有名義人)との関係も大切にしなければいけません。
売却後も長いお付き合いが続くようであれば、必要に応じて共有者(共有名義人)とも相談しながら持分の売却を検討されてください。

🏠なぜ、個人では買い手がつきにくいのでしょうか

個人の方で買い手が見つからない理由は、かりに、その持分だけを買ったとしても、まったく違う人(共有者)が、その他の持分を持っている(共有者の名義)わけですから、買った人は、自分だけで単独で使うことができません。
ほかの共有者の同意をいただかなければ、全体を使うことも売ることもできません。
何も自由にすることができないからです。

🏠どうするのがいちばん良いのでしょうか

▶自分名義の持分を他の共有者に買い取ってもらう(譲渡する)

たとえば、離婚協議中で、共有名義の家がある場合、共有者に自分名義の持分を譲渡するという方法があります。
(例:妻が夫に妻の持分を譲渡する)

ただし、この場合、気を付けなくてはいけないことがあります。

家を購入する時は、住宅ローンを使うのが一般的です。
その家を、共有名義で買った時、住宅ローンを使っている場合は、「連帯して債務を引き受けます」というケースになっていることがほとんどです。

仮に、その支払いがまだ残っている状態で、妻の持分を夫に譲渡する方法をとった場合、その後、住宅ローンは夫が支払うことになります。
しかし、万が一、夫が住宅ローンを払えなくなった場合は、妻にも支払いの責任がおよぶことになります。

画像の説明

▶共有者全員の同意を得た上で、共有不動産全体を同時に売りにだす。

いろいろ問題はありますが、これがいちばん良い方法です。

共有持分だけを売るというのは、経済的な効果から言うと、決して推奨されるものではありません。
できれば、ほかの共有者の方と一致団結して、一つの不動産として売る事を強くおすすめします。

しかし、この一致団結が、なかなか難しい場合があります。

🏠共有物である共有不動産全体を売却する場合

たとえば、親から相続した相続不動産を兄弟3人で、3分の1ずつ共有しており、この相続不動産(共有不動産)を売却しようと考えた時、原則、3名全員の同意がなければ売却することはできません。
ひとりでも売ることに反対すれば売却は不可能です

▶所有者全員の承諾が必要

共有名義の共有不動産全体を売却する場合は、所有者(共有者)全員の承諾をとることが前提にあります。
共有名義で3名いらっしゃるのであれば、3名の承諾が必要です。

▶準備するもの

・共有者全員の印鑑証明書
・実印

▶どんな時必要なのか

・売却の依頼をするとき
・契約を結ぶとき
・所有権移転をするとき

▶問題点

共有者の方が、みなさん仲が良くて、普段からコミュニケーションをとっていらっしゃる場合は何も問題はないと思います。
しかし、そうではなく、それぞれに言い分があったりすると、かなりの時間がかかり、トラブルになる可能性もあります。

▶税金

✿不動産譲渡所得とは
土地・建物などの不動産に限らず、株式・貴金属などの所有物を売却したことで手にした利益を言います。

不動産譲渡所得の計算方法
「売却金額-(取得費+売却費用)」
※売却金額(譲渡収入金額)取得費(建物にかかる減価償却費の計算)売却費用(売買にかかった費用)

✿不動産譲渡所得税とは
譲渡所得に対して課税される「所得税・住民税・復興特別所得税」を総称したものです。
不動産譲渡所得税の計算方法
「譲渡所得×税率」

不動産譲渡所得税は、必ずかかってくるというわけではありません。
その不動産を買ったときの価格よりも、売却価格の方が安い場合は不動産譲渡所得税の対象にはなりません。

譲渡所得についてはの記事も参考にされてください。

ちなみに税金は、相続したときにも「登録免許税」や「相続税」などが発生します。

「登録免許税」
不動産を相続したとき所有権移転登記の手続きをします。
このときに「登録免許税」が発生するのです。
登録免許税の算出方法
「登録免許税=固定資産税評価額 × 0.4%」

登録免許税についてはの記事も参考にされてください。

「相続税」
取得した遺産が一定の額を超えることで「相続税」が発生します。
相続税の算出方法
「相続税額=(全ての相続財産額—基礎控除額)×相続税率
相続財産額の合計が基礎控除額を上回っている場合のみ「相続税」が発生します。

ちなみに「不動産取得税」という税金があります。
「不動産取得税」は相続として亡くなった人からもらう不動産には発生しません。
ただし、生前贈与の場合は不動産取得税がかかります。
また、相続人以外の人が遺言書により相続した場合(遺贈)も取得税がかかります。

相続税についてはの記事も参考にされてください。

▶確定申告

共有者(共有名義人)の間で合意となり売却が出来た場合は、確定申告が必要です。

確定申告についてはの記事も参考にされてください。

▶共有者(共有名義人)と合意できないときの解決策

本来であれば、共有者(共有名義人)の当事者同士で、直接話し合っていただくことがベストです。
しかし、お互いのコミュニケーションがとれない、または、とりづらいという場合は、第三者を間に入れるという方法があります。

司法書士の先生と不動産業者が間に入り、1件1件お尋ねします。
委任状に署名、捺印をいただいて承諾をとります。
最終的には、代表者の方、あるいは出席して頂ける方には出席いただいて、所有権移転まで進行します。

しかし、この方法が必ずうまくいくとは限りません。
ただ、そうしなければ前に進まないという状況であれば、第三者を入れることで、温度差を調整しながら前に進むと言うやり方が懸命だと思います。

🏠共有持分を売却するときの注意点まとめ

▶共有持分を買ってくれるのは業者が多い

共有持分は、そのままではほとんど使えないため、買う人は個人ではなく業者がほとんどです。

▶共有持分の場合、業者は仲介しない

それに加えて、これらの業者は、エンドユーザーへの売却のための仲介もほとんど行ないません。

▶売却価格が安くなる

買い手が限られ、需要が少ないため、市場価格が低く、期待したほど値段が高くなりません。

▶持分のみではなく、全体を売却した方が売却価格は高くなる

共有不動産全体を売却し、持分に応じて分配するほうが高くなる可能性があります。
共有持分売却を検討する前に、共有者とよく話し合い、全体で売却できないかを考えることが必要です

▶有利に買ってくれる業者を探す

それでも、所有者全員での協議が整わないときは、共有持分は、あくまで個人で所有しているものですから処分することは自由です。
なるべく有利に買ってくれる業者を探し、比較したうえで売却を決めましょう。

共有名義の場合、いずれにしても、困難なケースが多くなります。
共有不動産売買に精通した信頼できる会社(担当者)に詳細を説明した上で、どのように対処すれば良いか相談されることをおすすめします。

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