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親族間売買、親子間売買の2大注意点、「みなし贈与」と「適正価格」とは⁉

更新日2020-07-11 (土) 22:30:10 公開日2019年12月5日

個人から著しく低い価格で
不動産等を取得したとき、

「みなし贈与」
とみなされ、贈与税が
課税される事があります。

みなし贈与

◎親族間売買は、『みなし贈与』にならないように『適正価格』で行おう!

親族間売買時における実際の取引価格(売買価格)を決めるときには、税金との関係を考慮しなければいけません。
税金との関係とは、ズバリ『みなし贈与』や『譲渡所得税』です。

特にみなし贈与は気を付けなければ、多額の税金が課され、時として何百万もの納税するはめとなり後悔します。
親族間売買した結果、買主へのみなし贈与とされ、納税しなければいけないのは避けたいものです。
実は親族間売買時の銀行融資が難しいのは、このみなし贈与の問題も多いに影響しているようなのです。

そこで、ここでは、親族間売買時に最も注意したい2つ、『みなし贈与』と、みなし贈与にならないための条件『適正価格』について解説していきたいと存じます。


♦解説者ご紹介♦
一般社団法人 結い円滑支援機構(yuika)正会員の不動産会社『コーラル株式会社取締役』兼yuika千葉支部長、親族間売買専門士・結い円滑支援アドバイザー、宅地建物取引士の石井雄二が、親族間売買における「みなし贈与」と「適正価格」の関係について徹底解説していきます。


★目 次★【最重要】親族間売買は、『みなし贈与』にならないように『適正価格』で行おう!


みなし贈与とは?…親族間売買時のみなし贈与とは、そもそもどんなことを言うの?

「親族間売買時のみなし贈与には気を付けるように!」と言われても、そもそもみなし贈与と言う意味を知らなければ何のことかさっぱりわからないでしょう。
まずは、この『みなし贈与』というキーワードについて説明しましょう。


みなし贈与とは、不動産などの財産を親族間売買(親族間で有償譲渡)したのに その行為を税務署から "贈与とみなしますよ!" とされる事です。
ゆえに次に、税務署が考える親族の範囲と、贈与についても解説しておきます。

親族間売買時の税務署が考える親族の定義とは⁉

親族間売買時に、税務署が考える「親族」とは一体どの範囲 なのでしょうか?
税務署が親族についてどのように考えているのかは、実は明確には発表されているわけではありません。
仮に、親族間売買をしようと思い、事前相談をしようと最寄りの税務署に行っても、明確な親族の範囲は教えてくれないのが現状なのです。
また、みなし贈与にならない価格についてご教授頂こうと税務署の相談窓口に行ったとしても、みなし贈与にならない売買価格を教えて頂くこともありません。

なぜ教えてくれないかは、考えてみればよく理解できるのですが、みなし贈与は贈与税が基本となっていて贈与税のかかる範囲は、親族の範囲などとは初めから関係無いのであって、また売買価格は自由なる取引の結果起こるものであって、この価格が正解というものではないと言えるからなのです。

では、現実としてはどうすればいいかですが、実は、みなし贈与にならないようにするには、親族云々を語るより、売買価格を精査する方が正しいと言えるのです。
ただし、税務署は親族関係と売買価格双方をチェックしていて、親族間売買してもみなし贈与にならないケースも圧倒的に多いのも事実です。

元々売買されたすべての内容をチェックするなど税務署には不可能と言えるのも現状ですから、みなし贈与になりやすい売主と買主の関係(間柄)をチェックしたうえで、売買価格がみなし贈与になっているかどうかを考査していると言えるのです。

このことから、親族間売買時は親族間云々を考えるより、売買価格をみなし贈与にならない価格にする事だけを考えれば良いのです。
ただし、まず税務署の考察は、当初親族関係にあるかどうかなのですから、親族の範囲を理解していても良いでしょう。

親族の考えとしては、まず一つ目の考え方として、税務署は法律上の親族の範囲と同意義にとらえている可能性が考えられます。

まず直系尊属(買い手からみて父母と祖父母、曽祖父母など上の世代)は最もチェックされると思っていいでしょう。
次に、所得税上の扶養もチェックしやすいと言えます。
所得税では血族6親等内、姻族3親等内が該当しますね。この範囲については「親族の範囲図」で確認しておきましょう。

親族の範囲図

配偶者については役所に婚姻届を提出している人に限られると言われます。内縁関係や事実婚での配偶者は該当しません。また同性パートナーシップ宣誓をしたパートナーも対象になりません。
また、事実婚の配偶者の両親や子どもは所得税では親族とみられませんので対象となっていないと考えられます。

贈与と贈与税

『贈与(ぞうよ)』とは、財産を持っている人が、無償で(ただで)他の人にあげる(与える)行為を言います。

例えば、ここにもう住まなくなったマンションが有って、そのマンションの所有があなたのお父さんで有るとき、お父さんから息子のあなたが無償で貰ったら、その行為を贈与と言います。

贈与の効力については民法第549条に「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をする事によって、その効力を生ずる。」と規定しています。

なお、財産をあげる人を贈与者と言い、その相手方である貰う人を受贈者と言い、贈与税は、個人から個人への贈与の場合に課税され、贈与を受けた法人には、贈与税ではなく所得税が課税されます。

法人から贈与を受けた個人も、贈与税ではなく所得税が課税されます。ただ法人格のない社団や財団、一定の公益法人は贈与税の課税対象になります。
それは贈与税の位置づけが、相続税を払いたくない人が、生前に財産を贈与することによって、相続税を免れる行為を防止するためにあり、相続税を補完する税金になるからです。

相続と贈与

『相続』と『贈与』との関係についてみてみましょう。
相続は亡くなった場合に発生することに対して、贈与は生前に起こることが大きく違います。
更に見れば贈与は、自分たちの意思で時期を決められますが、しかし相続は人の死により発生しますから時期は決められません。

なお一般的には贈与税は高く、相続税は安いとされています。

税務署は、どのようにして不動産売買があった事を掴むの⁉

では、税務署は一体どのような方法で親族間売買や不動産譲渡が有った事を把握するのでしょう?

実は、不動産を相続するにしても、贈与するにしても、売買するにしても、その行為を第三者へ知らしめ所有権を保全するためには法務局(登記所)に所有権移転登記をする必要があります。
実は、税務署と法務局は密接に連絡しあっていて、法務局に所有権移転登記をすると同時に税務署にも登記行為が解る仕組みとなっているのです。

所有権移転登記は税務署に筒抜け

法務局と税務署はその行政管轄は違います。
法務局は法務省、税務署は国税庁です。
ただ、この法務局と税務署は緊密につながっているため売買や贈与、相続などで法務局で所有権移転登記をしたとき税務署にも全て把握されてしまうのです。
また、この登記原因によって、税務署は課税する税金を把握し、相続の時は相続時、贈与の時は贈与税、また売買の時は所得税を課税してくるのですね。

親族間かどうかは、所有権移転登記の原因(記載事項)で判明する

ゆえに、親族間売買が行われたかどうかは、所有権移転登記の原因で判明してしまうのです。

法務局で所有権移転登記するときの一般的な原因としては、「売買」「贈与」「相続」となりますが、この登記原因により必要な記載事項は違います。

売買は、金銭の授受を通して不動産が移転したときに所有者の名義変更をすることになります。
通常、売買では、売買契約書が交わされますのでこの書面が登記に必要な書類となります。
ただ不動産の所有者を変える場合には、売買契約書が絶対に必要というわけではなく、所有権移転登記申請の手続きに「登記原因証明情報」の添付が必要になるだけです。
以前は登記申請の際には、「登記原因証書」として売買契約書や売渡証書などの書面をそのまま申請書に添付していましたが今は「登記原因証明情報」の添付が必要になっているのです。
この「登記原因証明情報」には、『登記の原因』と当事者として権利者(買主)、義務者(売主)双方の氏名など登記に必要な情報が記載されます。

なお、売買のときには権利者(買主)、義務者(売主)となり、相続のときは権利者(被相続人)、義務者(相続人)となり、贈与のときは権利者(贈与者)、義務者(受贈者)となります。

税務署は、この権利者、義務者で親族間売買かどうかを判断していると言われています。

みなし贈与をもっと詳しく解説

『みなし贈与(みなしぞうよ)』をもっと詳しく言うと、本来の贈与ではない形で不動産などの財産を受け渡しをする事をいいます。
本来の贈与とは、民法第549条に「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をする事によって、その効力を生ずる。」と規定していますから、この規定以外の形で行われた贈与という事になります。

なお、国税庁のHPでは、みなし贈与について次のように規定しています。

著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
引用:【国税庁HP・No.4423 著しく低い価額で財産を譲り受けたとき】より一部抜粋

解りやすく言うと、時価よりも著しく低い価格で売買した場合では、通常取引が有ったと仮定される価格【時価】と低い価格との差額が贈与が有ったものとみなされ贈与税が課税されるということです。
親子間や兄弟姉妹間など親族間売買では、代金授受のある売買なので、一見すると贈与には該当せずに問題ないように思えます。
しかし、時価よりも著しく低く売買してしまうと、時価で売買したときに本来は受領すべき価格との差額を税務署は買主である子供や妻、兄弟等が贈与を受けたものとみなします。
これを「みなし贈与」とされ課税対象になるのです。


つまり、相手に不動産(財産)を与える行為があったと「みなした行為」=贈与なのです。
ただ、当事者同士は贈与したつもりがない場合もあるでしょう。ただこの意識しない行為が問題にもされます。

みなし贈与の問題点(贈与税との関係)

先にも説明しましたが、一般的に贈与税は高く、相続税は安いとされていて、この贈与における税金額は相続における税金額の何倍にもなると言われています。
その状況が解っているときでも、親が子供に財産として不動産を与える人は多いのでしょう。
しかし、贈与税がかかるからと不動産を子供に時価よりも安価で売却した場合、購入した子供は時価と売買された価格の差額について贈与税を支払わなければならないのです(低額譲受)。
この場合、不動産を安く売却した親にも「みなし譲渡所得税」という税金が課税される事とがあります。

通常、不動産などの財産の親族間の移転は相続を選択されるでしょう。その理由は、移転原因で最も収める税金額が安いからです。
にもかかわらず、相続を待つのではなく贈与でも無く、売買で所有権移転する行為は、その裏に何かあると勘ぐられる事になるのです。
また、みなし贈与の問題点は、不動産を無償であげる贈与でも無く「安く売る」事で、相手に利益を与える行為があるという点です。
しかも、みなし贈与では贈与を受けた側は、その取引が贈与税の対象となっているとは気づかない場合が多く、その結果納税が滞納している事もあります。

尚、相続税法第9条は、みなし贈与を「対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」においては、その利益を受けた者は、その利益の価額に相当する金額を、贈与により取得したものとみなすと定めています。

贈与もみなし贈与もいずれの場合でも、受贈者(受け取り側)は贈与税を支払わなくてはなりませんが、しかし、みなし贈与の場合、滞納が多いという問題を含んでいるのです。

相続税法第9条の「みなし贈与」について-資本取引等を巡る課税関係を中心として-

親族間売買は、みなし贈与と切っても切れない関係にあります。
だからと言って、それでもどうしても親族間売買を執り行いたい人はいるでしょう。
ゆえに、ここでみなし贈与とされないための価格について解説してみましょう。

みなし贈与とされないためには、親族間売買を低額譲渡とみなされない事が大事なのです。

低額譲渡とは?

低額譲渡とは、時価より著しく低い価格(おおよそ時価の2分の1以下)での取引になります。
(ただこれを信じて売買すると痛い目に遭うので注意しましょう!)
ここで問題になるのが時価の把握となります。
時価が分からなければ、低額譲渡に該当するのかどうかも分かりません。

問題は、税務署が低額譲渡と判断し、その売買が低額譲渡に該当すると判断されれば、贈与が有ったもののみなされ(この状態をみなし贈与と言う)、先にも解説しましたように無駄に税金がかかる事になるので、適正価格以下の最も低い価格で売買したいときは、できれば不動産鑑定士の作成する鑑定評価書を取りつけ適正な時価を把握する必要があります。

ただ、この不動産鑑定士の作成する鑑定評価書はそれなりの作成費用が掛かるものです。

従って、通常の親族間売買においては、不動産業者の査定額(できれば2社以上の査定額)を基に、適正な時価を割り出し、低額譲渡とならないようにしている場合が多いのが現状です。

低額譲渡でもみなし贈与とならない売買(譲渡)

著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合であってもみなし贈与とならないケースがあります。
譲り受けた人が資力を喪失して債務を弁済することが困難であることから、その弁済に充てるためにその人の扶養義務者から譲り受けたものであるときは、その債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。


参考:国税庁(税務署)の時価の定義と適正価格の決定方法について

親子間・親族間売買で基準となる時価とは、実際に市場で売買が行われている取引価格とされています。
ただ税金課税をする国税庁では「著しく低い価額」であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定としており、これに関して明確な基準が設けられているわけではありません。
※国税庁HP☛【「著しく低い価格で財産を譲り受けたとき」】より一部分を抜粋


時価に関するひとつの目安として、東京地方裁判所の判例(平成19年8月23日付)で時価のおよそ80%の親族間売買価格は著しく低い価格での売買(低額譲渡)ではないと判断され、みなし贈与税は発生しないという裁断を裁判所が下しており、この判例を基に親族間の不動産売買は適正価格である時価を決めるようになります。

◎裁判判例:東京地判平成19年8月23日(行ウ)第562号
「著しく低い価額」とは経済合理性のないことが明らかな価額であり、取引の実情を勘案し、社会通念に従い判断すべきものである
相続税評価額が時価の80%程度の水準であり、譲渡価額が相続税評価額同程度かそれ以上であれば、「著しく低い価額」での譲渡とは言えない
「著しく低い価額」での譲渡でなければ、時価との差額について贈与税課税はされない
「著しく低い価額」に当たるかどうかの判定において、実質的に贈与を受けたか否かという基準が妥当なものとは解されない


なにがなんだかさっぱりわからなくなってきました。
国の機関というものは、私たち一般人ではほぼわからない言葉を使い説明するので、ここではもっと理解できるように、みなし贈与とされない不動産の親族間売買時の価格(適正価格)の求め方について説明してみたいと思います。

適正価格とは、みなし贈与とされない売買価格=時価の事

適正価格とは、みなし贈与とされない売買価格=時価の事をいいます。

適正価格と時価の関係

上記でも取り上げましたが、通常の不動産売買では、その売買において利益相反関係となり、売主の少しでも高い価格での売却希望と、買主の少しでも安い価格での購入希望を調整して売買が行われるため、価格が安すぎるとか、反対に高すぎるとか、どちらか一方に偏り売買がされる事は考えづらくなります。

この売買の価格を、一般的に時価と言い、同時に適正価格とも言って税金課税における基準として税務署は位置付けしています。

しかし、親子間や兄弟姉妹間など親族間売買するときは、上記のような通常の不動産売買と違い、利益相反関係にない買主となる子供や妻、兄弟などの負担を軽減するために売買価格を時価より低く設定してしまうケースがあります。

親子間や兄弟姉妹間など親族間売買はどうしても市場の原理が働きづらく、その結果、時価が基準となる不動産売買の原則から大きく外れ低くなりすぎる傾向にあります。


では、どうやって実際にみなし贈与とされない売買価格である時価を求めるか見てみましょう。


なお、よく[親族間売買時の適正価格は不動産鑑定士の鑑定書が必要ですか?」というご質問をいただきますが、親族間売買時の適正価格算出には不動産鑑定士の高額な鑑定書は必ずしも必須ではありません。
価格設定を下記で解説する適正価格にすればいいのです。

親族間売買時の一般的な適正価格とは

まず、親族間売買時の『適正価格』とは何だろうって疑問がわきます。
実は、この適正価格という言葉を、親族間で不動産を売買するときにはじめて知ったという方が多いのです。

この適正価格、『三省堂大辞林』によると、「原価・利潤などを考慮に入れて、適当と思われる価格」と解説されていますが、この解説を不動産に充てはめてみると、何だかチンプンカンプンで分からなくなってしまいます。
ただ、例えば、不動産会社が売主となる新築マンションや新築一戸建ては、不動産会社にとっての適正価格と言えば、割とわかりやすくなるのではないでしょうか。

【参考】新築マンションや新築一戸建ての適正価格

新築マンションの適正価格は『土地取得費+建築費総額+販売管理費(広告費・販促費)+不動産会社利益』でマンション全体の総額を出し、それを基に一戸一戸に割り振られた価格を出して、これをマンション一戸の適正価格としています。
但し、この価格はあくまで売主であるマンション開発業者が適正であると決めたものであって、これで購入者がいなければ独りよがりとも言えるのです。

これは新築一戸建ての場合も当てはまり、『土地取得費+建築費総額+販売管理費(広告費・販促費)+建売会社利益』が適正価格を決める根拠となります。この場合も購入者がいなければ独りよがりな価格とも言えるでしょう。

新築マンションも新築一戸建ても、その適正価格とは、売主の売りたい価格と、買主の買いたい価格とが折り合った時の価格、つまり利益相反関係にある売主(各業者)と買主(一消費者)が売買で合意がなされた価格と言えるのです。

●利益相反とは、
対象となる行為の結果、一方にとっては利益となると同時に、もう一方にとっては不利益になってしまう行為であり、一方にとっては利益になるけれど、他方にとっては不利益になることを言います。

では、中古物件(中古マンションや、中古の一戸建て)の適正価格とは、具体的にはどういう決め方をすればいいでしょう。

中古マンションや中古一戸建ての適正価格

中古物件の場合も、基本は新築マンションや新築一戸建てと同じで、売り手と買い手が売買の合意がなされた価格と言えます。
ただ、中古物件の場合、売り手も買い手も売買素人な側面が有り、この売買合意価格が適正かどうか判断が難しいと言われています。
そのため、不動産会社(宅地建物取引業者)が仲介者として売買に介在するときに、根拠のあるデータを基に物件査定し売買価格の適正さを売主買主にアドバイスすることが求めれています。(国土交通省が定めた標準媒介契約約款・宅地建物取引業者の義務)

●宅地建物取引業法第34条の2
宅地建物取引業者は、当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

不動産業者が、この義務を遂行するために用いるデータは物件種別で違います。

中古マンション、中古一戸建てについて以下で説明しましょう。

中古マンション

・同地区過去1年間のマンション成約事例及び査定時販売中事例
・当マンションの直近成約事例及び査定時販売中事例
・当マンションと比較的条件の近いマンションの成約事例と査定時販売中事例

次に中古一戸建てについてですが、中古一戸建てについては土地、建物それぞれに割り出します。

中古一戸建て・土地

多くの場合、土地は実勢価格(一般的な個人間で実際に取引される価格=取引価格)を想定し割り出すことになります。

通常、土地は、取引事例比較法とやはり公示価格や路線価を用います。

具体的な方法は、所在地から直近1年間の近隣の過去取引事例、公示価格や基準地価、相続税評価額(相続税路線価)、固定資産税評価額(固定資産税路線価)の5つを指標として物件調査をおこない、物件の特性である方角や道路幅員、土地の形状や周辺環境などの客観的データと、建物の管理状況や室内の利用状況を調査して多角的角度から比較算出します。
このとき注意すべきは、土地の所在によって実勢価格(一般的な個人間で実際に取引される価格)は、公示価格や路線価以上の値段になっている場合も有ったり、否、それら以下になっている場合もあるということです。

●実際の取引価格にはさまざまな要因が絡んでくる

実際の取引価格はケース・バイ・ケースという面が強いのですが、あまりにも路線価からかけ離れた値段、例えば路線価から3割以上低い値段がついた土地は、なにか理由があると考えた方がいいでしょう。
特に、親族間の不動産売買は税務署に目を付けられ、おおよそ問題にならないケースの取引でも何かないかと審査されると思って良いのです。


中古一戸建て・建物

建物は、税務上のルールを考慮して割り出します。
具体的には、2つの方法があり、固定資産税評価額を用いる方法が最もポピュラーな建物価格相当額です。
またもう一つは、建物購入代金に経過年数、減価償却率を考慮して割り出す方法が有ります。

●固定資産税評価額
固定資産税額の基準となる評価額の事で、土地は不動産鑑定士が正常価格と評価した価格に70%を乗じてから画地補正を施して求めるものとされ、建物は全く同じものを新築した場合の建築費から、築年数の減価をして求めるものとされています。

居住用建物の減価償却費相当額・減価の額を求める計算式

減価償却費の一般的な計算方法としては定額法と定率法があり、特に届出をしない場合は定額法で計算します。
自宅建物の減価償却費相当額(減価の額)を求めるには、建物の取得価額、残存価額、耐用年数に対応する償却率、取得してからの経過年数を用います。
計算式は、次のようになります。

【減価償却費相当額=取得価額×0.9×償却率×経過年数】

取得価額購入代金と購入するのに要した諸費用の合計額です。
残存価額耐用年数がきても最低限残る建物の価値のことです。減価償却費相当額の計算では、残存価額は、取得価額の10%とされます。残存価額を10%とするために、取得価額に0.9を乗じます。
耐用年数税法上の法定耐用年数の1.5倍の年数です。
償却率耐用年数によって償却率が決まっています。
経過年数取得してからの年数です。1年未満の端数が生じたときは、6ヵ月以上の端数は1年とし、6ヵ月未満の端数は切り捨てます。

なお、もし建物取得価格が解らない場合は、固定資産税評価額を用いる方法で割り出すしかありません。

価格計算時に用いる書面

確定申告時に用いる『譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)】を利用します。この書面は税務署に置いてあります。
この譲渡所得の内訳書は、譲渡した不動産の概要や売却金額、支払った費用などを記載した書類で、売却後に税務署から売主に送られてくるので、記入して確定申告書に添付するようになっているので、事前にこの書面を利用していれば間違いが無くなるのです。

適正価格・まとめ

適正価格とは、利益相反関係にある売り手(一消費者)と買い手(一消費者)が売買で合意がなされた価格ということから考えなければなりません。
マンションや一戸建てを売りたい売り手は、少しでも高く売りたいと思い、反対に買い手は少しでもそのマンションや一戸建てを安く買いたいと思うものです。そこでは利益が相反する状態にあります。
従って、それぞれがそれぞれの思惑で物件価格などを含めた売買条件等の交渉、すり合わせを行い、最終合意した条件のもと、売買契約がされるのです。
このとき売買価格は売り手と買い手にとって自然と適正となっているのです。

しかし、この売買が親族間で行われたとき、それぞれの思惑は利益相反の関係にあるといえるでしょうか?
特に親からその子供が不動産を買う時、完全なる利益相反は無いと言えるのではないでしょうか。
例えば親が所有する不動産を、わが子に譲るとき、通常や安く譲りたいと思うのが普通ではないでしょうか。子も親から譲り受けるのですから、安い価格で、できればただ同然で譲り受けたいと思うものでしょう。
そう、ここでは利益相反は成り立っていないのです。

親族間売買時の対象は、ほぼ中古物件(中古マンションや、中古の一戸建て)が主でしょう。
この中古物件売買は、買い手が親で、買い手がその子であったとき、利益相反関係に無い場合が考えられ、売買価格の適正(妥当性)が完備されていない状態であると言えるのです。

売買価格の適正(妥当性)が完備されていない状態で売買することを低額譲渡と言い、税務署により親族間売買がこの低額譲渡と判断されたとき、売主から買主へ贈与があったものとみなされ、受贈者に多額の贈与税が課税され、相続税よりも高額税率で贈与された者(受贈者)の負担が大きくなるのです。

親族間売買するときには、みなし贈与とならないように注意すべしですが、ただこの低額譲渡についての基礎的考え方を知らなければ、防ぎようが有りません。

適正価格と税金(贈与税)の関係

適正価格より著しく低い価格だと、「みなし贈与」の対象として買主となった妻や子供、兄弟などに贈与税が課税されてしまうことがあります。

また、売主の住宅ローンの残債を全額返済しなければ、買主は新しく住宅ローンを組んで不動産を買うことは出来ません。そのためこの売買適正価格である時価を大きく上回る売買価格を設定して売買した場合、今度は売主に売却益が生じる結果となり譲渡所得税が課税されてしまいます。

親子間や兄弟姉妹間など親族間売買では、このようなみなし贈与にも譲渡所得税を納める事もない適正価格である時価の設定が一番重要なのです。

譲渡のケースで見る課税される税金種別

売り手と買い手の関係で、売買(譲渡)では課税される税金種別が変わります。

売り手買い手
個人から個人へ売買所得税贈与税(みなし贈与税)
個人から法人へ売買みなし譲渡所得税法人税
法人から個人へ売買法人税所得税
法人から法人へ売買法人税法人税


親族間売買時はみなし贈与とならないように適正価格で行おう・まとめ

以上、親族間売買時に注意すべき『みなし贈与』と『適正価格』について解説してきました。

贈与は、兄弟姉妹間、家族間、身内間など親族間で行われることが多く、契約書などを作成していないこともありますが、契約書の有無にかかわらず、このようなときの金銭の授受、不動産の所有権移転(名義変更)などがあれば、贈与の可能性を疑われます。

贈与税は相続税よりその税率が高く、多額の納税をしなければいけません。

税務署は、親族間に財産の移動があったとき、そこに贈与が有ったのではないかと徹底的にマークし、このような親子間、兄弟姉妹間、家族間などの親族間などで行われる財産の名義変更にとても注意を払っています。

ゆえに親族間売買は、よく高い贈与税を避けるために利用されます。

親族間売買の場合、その性質から高い贈与税を避ける狙いも有る事から、贈与と見なされない価格を設定する事が重要なのです。
このみなし贈与とされない価格を適正価格と言いますが、それをいくらにするかという問題はとても重要な事です。
売買価格が相場と比較して著しく低い金額での売買(これを低廉譲渡といいます)とみなされると、実質的な贈与とみなされて贈与税が課税されてしまいますから、親族間売買においては売買価格設定はとても重要になります。

親族間の売買価格(適正価格)は、前述しました国税庁の時価の定義として「実際に市場で売買されている取引価格」となっているので、不動産会社2社以上から価格査定書を取得しておくと万全でしょう。

実際、認知症など売主自身の意思表示のできない場合などの成年後見人が行う不動産売買時において裁判所の判断する売買基準時の適正価格を求める時には、不動産会社2社以上からの価格査定書を基に取引価格の決定は下されています。

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そんな事情が背景となり、親の所有するマイホームを子供が売買と言う形で譲り受け、その売買益を生活費に充てる親族間売買は、とても有効な生活防衛策として近年クローズアップして注目されているのです。
しかし、親族間売買はリスクも多いことがご理解いただけたと思います。
親族間売買と言うだけで、実際のところ銀行等金融機関は住宅ローンになかなか門戸を広げず、現実的には親族間売買できない人は多くいるのが実情なのです。
また、不動産会社も、その他の士業者も親族間売買に不馴れな事が現実で、なかなか頼りにならないという事情があります。
そこを何とかしたいと、親族間売買の実績を多数持つ不動産会社コーラルを中心に、結い円滑支援機構(yuika)は設立されました。
親族間売買を行いたい、または困った、悩んでいる、どこかに相談しる窓口がないの?などのときは、ぜひyuikaへご相談ください。
Yuikaが窓口となり、まずはあなた様のご相談対応をいたします。
また、その後具体的な親族間売買をしたいという時には、親族間売買に精通した親族間売買専門士『結い円滑支援アドバイザー』の在籍する不動産会社をご紹介し、売買に必要なすべての段取りを組みますので、安心して取引を行って頂くことができるようになります。
親族間売買なら何で、もどんなことでも、まずはyuikaへお問い合わせくださいませ。

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